新たな拵が完成しました!
毎年恒例、年末年始の集中工作にテンヤワンヤの状態です。
たまにはゆっくり年末年始を迎えたいものです(*:今年から時流に流され年賀状を遠慮させて頂きますので、その旨ご了承ください)。
昨今、リピーターからのご依頼が大半を占めておりますが、この度は初めてお仕事を頂く方からのご依頼です。
当工房では基本的に、外装制作は下地からおこして完成に至るまで御刀が工房を離れることはありませんが、今回は違います。
まず、ご依頼者様が持ち込んだ状態で、すでに下地が完成していました。おそらくベテラン職人(鞘師さん?)の手によるもので、大変繊細な加工が施されていました。
刀装制作は、大きく分けて2種の工程に分かれます。
拵下地を作る工程と、鮫革着せや柄巻き、鞘塗といった仕上げの工程です。
通常、下地を作るのは鞘師さんの持ち場で、鮫革着せや柄巻きは柄前師さん(柄巻きに特化して鮫革工作をしない職方さんや逆に鮫革加工のみを施す職方さんもいるので、ここでは総称的に柄前師とします)、鞘塗は塗師さんが各々受け持ちます。これ以外にも、刀装具を刀身に合わせて調整したり、ハバキや切羽を作る白金師さんも重要な役割を担っています。
前述の通り、当工房は全ての工作工程が守備範囲ですが、その理由の一つは多くの刀職が持ち回りで工作に取り掛かるとチグハグな外装を作り出してしまう危険性があって拵の最終調整が難しくなる場合があるのですが、そうした無駄な労力を極力少なくしたいからでもあります。(本来は、コーディネーターたる刀剣商さんなどが音頭を取るのですが、現在この立ち位置の識者がほぼ不在と言われています)
実際に、ベテランの職方さんたちが各々の領域を受け持ったにも関わらず、各々の箇所が自己主張をしてしまって全体のまとまりという意味で拵えとしての完成度が著しく低下した刀装を拝見することがあります。
さらには、大変高名な先生方の工作でも、修正のご依頼で当工房へ再度持ち込まれるケースが後を絶ちません。例えば、反りの深い刀身に反りの浅い直刀用?の真っ直ぐなハバキが作られているケースなど、鍔が上を向いているような不自然な外装に仕上がってしまったりします。
今回は、高い技術力を必要とする塗りを施しますので、名実ともに当代きっての名塗工師中田陽平さんに、鞘塗をお願いしました。
中田さんは、漆器の産地として有名な香川県高松市にてご家族で中田漆木(http://www.nakatashikki.com)を長年営んでいらっしゃる代々の工芸家さんです。
以前から交流があり、中田さんのものつくりへの情熱と直向きな姿勢には、常々共感を覚えておりました。
新宿高島屋さんでのイベントの打ち上げの席にて、「いつか共同でものつくりに挑戦したいですね!」と意気投合していたもののなかなかチャンスに恵まれず、この度長年の思いが結実するよい機会になりました。
ご依頼者様からはお任せ頂いていた部分でもありますが、鞘塗は意匠を凝らして闇蒔絵で仕上げたいと考えて構想を練りました。
となれば、一通りの塗り方をかじっただけの当方の腕では力不足(Unknown様より誤用のご指摘を頂きました。×役不足→○力不足、お恥ずかしいことですがご指摘頂きお礼申し上げます。)ですので、卓越した技術を持った専門家中田さんに相談した方がより良いものをカタチにできると考えて、今回の共同制作の相談に至ったのでした。
途中、当方の至らぬ情報共有の不味さから、塗り直しをお願いするなど2度も鞘塗をお願いする羽目になってしまいましたが、結果的に良い作品に仕上がってくれました!(初の合作でしたので、妥協を許さぬ姿勢で臨みたいという思いに、中田さんを付き合わせてしまいました。)中田さんには、お忙しい中多大なご協力とお仕事のご負担をお掛けしてしまいましたことを、この場にてお詫びとお礼させて頂きます。
とはいえ、本当によい刀装に仕上がりました。他ではちょっと目にすることのできない意欲的な創作刀装の美を実現することが出来たと思っています。
作業中の中田さん
これからも、当工房の鞘塗は、中田漆木さんにお願いする予定です。中田さんの卓越した技術をご所望される方は、ぜひ当工房へご相談ください。
中田さんの動画も絶賛配信中!
毎年恒例、年末年始の集中工作にテンヤワンヤの状態です。
たまにはゆっくり年末年始を迎えたいものです(*:今年から時流に流され年賀状を遠慮させて頂きますので、その旨ご了承ください)。
昨今、リピーターからのご依頼が大半を占めておりますが、この度は初めてお仕事を頂く方からのご依頼です。
当工房では基本的に、外装制作は下地からおこして完成に至るまで御刀が工房を離れることはありませんが、今回は違います。
まず、ご依頼者様が持ち込んだ状態で、すでに下地が完成していました。おそらくベテラン職人(鞘師さん?)の手によるもので、大変繊細な加工が施されていました。
刀装制作は、大きく分けて2種の工程に分かれます。
拵下地を作る工程と、鮫革着せや柄巻き、鞘塗といった仕上げの工程です。
通常、下地を作るのは鞘師さんの持ち場で、鮫革着せや柄巻きは柄前師さん(柄巻きに特化して鮫革工作をしない職方さんや逆に鮫革加工のみを施す職方さんもいるので、ここでは総称的に柄前師とします)、鞘塗は塗師さんが各々受け持ちます。これ以外にも、刀装具を刀身に合わせて調整したり、ハバキや切羽を作る白金師さんも重要な役割を担っています。
前述の通り、当工房は全ての工作工程が守備範囲ですが、その理由の一つは多くの刀職が持ち回りで工作に取り掛かるとチグハグな外装を作り出してしまう危険性があって拵の最終調整が難しくなる場合があるのですが、そうした無駄な労力を極力少なくしたいからでもあります。(本来は、コーディネーターたる刀剣商さんなどが音頭を取るのですが、現在この立ち位置の識者がほぼ不在と言われています)
実際に、ベテランの職方さんたちが各々の領域を受け持ったにも関わらず、各々の箇所が自己主張をしてしまって全体のまとまりという意味で拵えとしての完成度が著しく低下した刀装を拝見することがあります。
さらには、大変高名な先生方の工作でも、修正のご依頼で当工房へ再度持ち込まれるケースが後を絶ちません。例えば、反りの深い刀身に反りの浅い直刀用?の真っ直ぐなハバキが作られているケースなど、鍔が上を向いているような不自然な外装に仕上がってしまったりします。
今回は、高い技術力を必要とする塗りを施しますので、名実ともに当代きっての名塗工師中田陽平さんに、鞘塗をお願いしました。
中田さんは、漆器の産地として有名な香川県高松市にてご家族で中田漆木(http://www.nakatashikki.com)を長年営んでいらっしゃる代々の工芸家さんです。
以前から交流があり、中田さんのものつくりへの情熱と直向きな姿勢には、常々共感を覚えておりました。
新宿高島屋さんでのイベントの打ち上げの席にて、「いつか共同でものつくりに挑戦したいですね!」と意気投合していたもののなかなかチャンスに恵まれず、この度長年の思いが結実するよい機会になりました。
ご依頼者様からはお任せ頂いていた部分でもありますが、鞘塗は意匠を凝らして闇蒔絵で仕上げたいと考えて構想を練りました。
となれば、一通りの塗り方をかじっただけの当方の腕では力不足(Unknown様より誤用のご指摘を頂きました。×役不足→○力不足、お恥ずかしいことですがご指摘頂きお礼申し上げます。)ですので、卓越した技術を持った専門家中田さんに相談した方がより良いものをカタチにできると考えて、今回の共同制作の相談に至ったのでした。
途中、当方の至らぬ情報共有の不味さから、塗り直しをお願いするなど2度も鞘塗をお願いする羽目になってしまいましたが、結果的に良い作品に仕上がってくれました!(初の合作でしたので、妥協を許さぬ姿勢で臨みたいという思いに、中田さんを付き合わせてしまいました。)中田さんには、お忙しい中多大なご協力とお仕事のご負担をお掛けしてしまいましたことを、この場にてお詫びとお礼させて頂きます。
とはいえ、本当によい刀装に仕上がりました。他ではちょっと目にすることのできない意欲的な創作刀装の美を実現することが出来たと思っています。
作業中の中田さん
これからも、当工房の鞘塗は、中田漆木さんにお願いする予定です。中田さんの卓越した技術をご所望される方は、ぜひ当工房へご相談ください。
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