徒然刀剣日記

刀剣修復工房の作品・修復実績と刀剣文化活動のご紹介

拵えの修理

2015-07-27 05:30:16 | 拵工作
武道用の刀剣外装の修復が終わりました!



この度のご依頼は、大変持ち難い柄前の全面調整と一部破損した鞘の修復・・・つまり拵え全体の修理です。



ご要望により、柄前をお身体に合わせて作り直します。
刀剣のスペックを最大化して使用するには、外装(特に柄前)の調整も重要です。



より良い柄成り(柄の形状)に仕上げるため、柄縁から新規に作成しました。
銅地の燻し仕上げです。

柄縁作成時の投稿はこちら(アメーバブログ)より!
白銀工作(その1)
白銀工作(その2)
白銀工作(その3)



鮫皮を塗り固めますが、新たに作った柄縁との相性を考えて、色合いを調整します。

鮫皮の補強塗装時の投稿はこちら(アメーバブログ)より!
塗り鮫



柄巻きは、正絹の諸捻り巻きから、鹿皮の片摘み巻きに変更。



柄巻き完成直後の投稿はこちら(アメーバブログ)より!
柄前の機能

鞘の破損部を補修して、刀装具の微調整を終えたら、作業終了です!

実戦刀の研磨

2015-07-08 06:24:07 | 刀身研摩
刀身の研磨が終わりました。



このお刀は、切れ味に定評のある某刀匠の作品です。
近衛師団に採用されたほどの高い性能を有しており、その強靭さから古来の製法とは違い、無垢鍛えだとか、スプリング刀だとか、当時から物議をかましました。



実際に、鑑賞研磨を施してわかった事は、世間で言われていることは間違っているようだ!ということです。肌は良く練れた肥前風の梨地で、所々に澄肌が見られます。よほど技量の高い刀匠でないと、これだけのチリチリと詰んだ肌は表現できませんし、無垢であるならば澄肌が現れる理由を説明できません。



焼き刃は、匂い縁の深い見事な丁子を焼いており、古風な趣すら感じられます。地刃共に鑑賞の魅力を十分に秘めており、まさしく実用の美を表す一振りだと思います。



刀身の体配・バランスも素晴らしい!の一言です。
砥石あたりは、日頃研ぐ現代刀や軍刀とは別格で、古刀の様なやさしい研ぎ味でした。驚くべきは、鉄の色です。白けた感じが一切なく、落ち着いた黒い地金が用いられています。

このような名刀が、当時不当な評価を受けてきたことは残念でなりませんが、上の出来だけを見ると、新刀有名刀工に見紛うほどです。

このお刀には、ご依頼者様こだわりの拵えをお作りします!