徒然刀剣日記

刀剣修復工房の作品・修復実績と刀剣文化活動のご紹介

大小拵(特殊加工大刀拵編)

2013-06-25 00:15:23 | 拵工作
ついに、大小拵の大刀が完成しました!



脇差拵制作時の投稿
大小拵(脇差し)(2012/12/04)

この度の工作内容は、以下の通りです。
・刀身研摩
・白鞘(つなぎ含む)
・拵制作(鍔のみ、お持ち込み)
ハバキ以外、全てに手を加えました。

刀身研摩時の投稿
刀身の研摩(2013/06/11)

今回の白鞘は、大変腕の良い鞘師にお願いしました。
昨今の高級な白鞘は、全体にラミネートによる汚れ防止が施されており(もちろん取り外す事も可能)、従来の和紙で包んだものよりも安心感があります。

特殊加工の拵工作時の苦労話や工夫について、以下にまとめました。

下地制作に関する投稿
「鞘下地」(2013/05/01)
鞘下地の工作に関する記事です。
鞘下地は、当工房にて制作する場合と鞘師にお願いする場合とがあります。
観賞用の拵えの場合のみ、鞘師にお願いしています。

鞘の加工に関する投稿
「鯉口の特殊加工」(2013/05/01)
武道用途などで、特に強靭さを要求される鞘の代表的な工作工程です。

柄下地への工夫に関する投稿
「茎(ナカゴ)の短い刀」(2013/05/04)
ナカゴの短い刀剣類を、武道用途に用いるための柄下地の加工内容です。

拵下地に関する投稿
「一寸柄拵の下地」(2013/05/10)
特殊なご依頼もご相談ください。刀剣工作最後の砦として活動中!

柄前工作に関する投稿
「特殊加工の長寸柄」(2013/05/15)
特に使用する事を前提とした、柄前の工作内容です。

拵えの価値に関する投稿
「拵えの本来の役割」(2013/05/16)
当工房の方針など。ご依頼者様とトコトン相談の上、工作を行なっています。

塗装に関する投稿
「鞘塗り」(2013/06/24)
最後の工程「塗装」と、伝統工芸職人としての覚悟?

ご覧頂けます様に、全てが特別仕様の拵えです。
ブログでご紹介した工作以外にも、切羽の作成、鍔の責金など付随する工作も行ないました。
今月中に納品いたしますが、長くお預りしていたため、娘が嫁に行く様な複雑な気持ちです。

刀身の研摩

2013-06-11 22:27:42 | 刀身研摩
日本刀の研ぎは、包丁やナイフの研ぎとは違って、ただ刃を立てることが目的ではありません。
鑑賞を目的とした研摩になりますので、刀身全面に砥石を当てて、鉄の美しさを表面に出さなければなりません。
もちろん、武道用途などで斬れることのみを追求した研ぎもありますが、現在一般的な刀剣研摩と言えば鑑賞研ぎになります。

今回の刀身にも、ご依頼者様のご予算に合わせた真面目な研ぎを施しました。



この刀身は、昨今集中工事中のお刀です。
拵一式、白鞘、研ぎに至るまで、全ての工作を実施中のお刀なのですが、やっと全体像が見えてきました。



当初、安易な研ぎが施されており、肌が全く見えず「昭和刀かな?」と感じましたが、今回入念に研いだところ、良く錬れたつんだ地肌が顔を出してくれました。



刃中の働きも面白く、やっと日本の刀剣らしい風情が見えてまいりました。
もちろん、最上研摩ではありませんが、通常の鑑定や鑑賞には何ら問題ありません。



全ての工作が終了するまで、あと少し!
気合を入れて、残りの工作にも取り組みたいと思います。

下げ緒と柄糸

2013-06-08 22:46:36 | 拵工作
拵えの修復が終了しました!



鮫皮修復の様子は、Amebaブログへ→「柄下地の修復」(2013/06/01)

拵えを修復する際に、柄糸と下げ緒の色を変えることが出来ます。
これにより、外装の雰囲気がガラリと変わります。

今回の拵えでは、青系から赤系の柄糸に変更しました。(下げ緒はご依頼者様の持ち込みです。)



柄糸を下げ緒の色に近づけるため、柄糸を少しずつ何度も何度も染色をくり返し、大体同系色に仕上げていきます。

染色時の様子は、Amebaブログへ→「柄糸の染色」(2013/05/28)

全体の色合いが整ったことで、拵えのイメージが垢抜けたと思います。