徒然刀剣日記

刀剣修復工房の作品・修復実績と刀剣文化活動のご紹介

天正様式の柄前

2014-10-26 00:37:59 | 拵工作
天正拵の柄前が完成しました。



拵一式のご依頼にてお預りしているお刀ですが、何とか納得のいく柄前が出来上がりました。



最近、特に多い拵えのご依頼は天正拵えなのですが、なかなか納得のいく作品を作ることが出来ません。



天正拵えは、柄下地の作成時から柄巻きが終わるまで、最も気を使う拵様式かもしれません。



今回の工作の特徴は、何と言っても柄糸の染色です。
通常よりも若干幅の狭い正絹の柄糸を用いて、藍染を繰り返して限りなく深い青を表現しました。また、鮫皮を一枚巻きに加工し、漆塗りは漆が固まっては塗り固まっては塗りと繰り返し、強靭さを加味しました。
角頭のサイズは、柄縁金具とほぼ同径に作り、柄成りの立鼓を誇張しました。
刀装具は、ご依頼者様のこだわりが感じられる江戸時代の作です。

次はいよいよ鞘の塗りに取り掛かります。

鎧通しの研磨

2014-10-09 02:42:18 | 刀身研摩
長らくお時間を頂いていた鎧通しの研磨が完了しました!


after polishing

鎧通しとは、甲冑武者が組み打ちになった時に、相手にトドメをさすための短刀です。
体配は特徴的で、重ねが厚く、平造りの刀身です。このたびのお刀は、若干竹の子反りになっています。


before polishing

何だか全体的に刃が眠く、何度研ぎ直してもボヤっとしています。以前に研いだ鎧通しも、同じ様な焼刃でした。
きっと、刀などに比べて、より実戦的な用途に合わせた焼き入れがされているのだろうと思いますが、定かではありません。

インドネシア刀剣紀行(その2)

2014-10-03 17:14:37 | 徒然刀剣紀行
前回の「インドネシア刀剣紀行(その1)」(2014/07/17)に引き続き、インドネシア共和国バンドンにて実施した日本文化紹介イベントの続きです。



インドネシア共和国は、東南アジアの南部に位置する島国です。日本からは、直行便で約7時間ほどで首都のジャカルタへ行くことができます。



スカルノ・ハッタ国際空港に到着すると、むせ返る様な熱帯地方特有の熱気に包まれます。



人口は2億3000万人を超え、世界第4位の規模といいます。ちなみに、大多数の国民はイスラム教徒で、世界最大のイスラム教国としても知られています。



近年の急速な経済発展により、巨大なショッピングモールや高級マンションが乱立しています。



貧富の差もかなり進んでいる様で、高速道路の架橋下などに人が住み着いています。



閑静な住宅地の壁を挟んで貧民街のプレハブが立ち並ぶ町並みには、違和感を感じます。



まず初めに驚かされたことは、永遠と続く交通渋滞の列。長距離バスに揺られること約5時間、今回の開催地バンドンへと向かいます。



バンドンは、ジャカルタから約200km離れた中堅都市で、複数の大学が点在するインドネシア屈指の学園都市です。町並みは、ジャカルタとはガラッと変わり、オランダ植民地時代の建造物が残るリゾート地です。



知識人や外国人が多く住んでおり、わりと英語も通じます。後日知ったのですが、インドネシアは英語教育に力をいれており、小・中・高と英語が必須科目になっているそうです。



街の中心部は海抜700mほどで、四方を標高2000mクラスの山々に囲まれていることから、日中の気温は27~28度、夜は17~18度と、大変涼しくて過ごしやすい環境でした。



この地で、イベントの運営と同時進行で、大戦時の日本軍将兵が残した日本刀の調査を行ないます。