徒然刀剣日記

刀剣修復工房の作品・修復実績と刀剣文化活動のご紹介

軍刀の修理

2013-04-16 20:57:39 | 拵工作
旧帝国陸軍が制式採用していた、九八式軍刀の修復です。



軍刀というと、粗悪品の代名詞の様に忌み嫌われる傾向がありますが、修復を手掛けていると、改めてその機能美に脱帽いたします。
九八式は、九四式同様に太刀拵の形状をしており、大変美しい外装です。
更には、戦地での実用性を加味し、鞘は鉄鞘であったり、刀身が勝手に抜けないようにストッパーが取り付けてあるなど、武器としての性能にもこだわった作り込みになっています。



今回の軍刀外装も、大切に扱われてきたことが伝わってくる一品でした。
柄下地破損、鮫皮隔離、柄糸の老朽化などなど、鞘下地も含めてけして良い状態ではありませんでしたので、全体に手を加えました。



ただ、ピカピカに仕上げるのではなく、歳月を経て身にまとった重厚感を損なわないように修復を施します。ここが、職人の腕のみせどころでもあります。

修復の途中経過は、Amebaブログへ→「柄下地の修復」(2013/4/12)

これからもたくさんの思い出と共に、大切に扱っていただけることでしょう。

上杉拵

2013-04-10 23:08:55 | 拵工作
上杉家に伝わる合口様式の拵を制作しました。



この拵えの様式は、上杉謙信の好みで考案されたと言われる、特殊な合口形状になっています。
本歌の特徴は、柄頭が大きく張り、鞘の形状も刃方が薄くなるなど、刀身に合わせて作られていることです。
そして最大の特徴は、何といっても鍔を用いずに合口拵えとしていることです。
恐らく、前時代の腰刀拵の特徴が反映されているのだと思います。



今回の上杉拵は、脇差のために製作しました。
ちなみに、刀身はヤフオクで購入した錆身の肥前刀?(¥36000送料込み)、現在研磨中です。
ハバキは、同じくヤフオクで購入したもの(¥1500送料込み)をリフォーム。
柄縁金具もヤフオクで落札(¥2000送料込み)、銅製に銀着せ、金製の五三の桐紋があしらわれた生まれの良さげな品をチョイス。
鮫皮には漆を塗り、水牛の角にてギリギリまで大きな柄頭を制作しました。
鞘は、刀身を落札した時に付属されていた危険防止程度の物ですが、江戸時代初期の鞘でしたので破損部(鯉口、栗型、コジリ)を修復しました。



修復の過程につきましては、追々アップします!
Amebaブログでも、更新中→「謙信公拵」(2013/4/10)