門前の小僧

能狂言・茶道・俳句・武士道・日本庭園・禅・仏教などのブログ

感性は教えられない

2014-07-31 19:50:24 | 能狂言
『能楽タイムス』8月号の能評某氏の記事に目が留まり、共感したのでシェアしよう。

先月の狂言のとある会、狂言〈川上〉での観客の反応。
妻が夫に三下半をつきつける場面では、会場大いに笑いにつつまれる。
しかし、その夫へ別れ際に愛惜の想いを妻がついもらす場面、
ストーリーからいえば、しんみりほろりともらい泣きすべきところ。
しかしここでも台詞と仕草にのみ反応し、笑いが起こったという。
能評某氏、「この笑いは理解できない」とぼやいた記事であった。

ぼくも能を見て、いくどとなく同じような体験をしている。
シテが曲のもっともつめどころ、最高度の緊張感の中、
一句を謡う、または一瞬の所作をするシーン。
たとえば〈井筒〉の井戸をシテが見込む場面など。
ここで手元の袋やパンフをめくり、がさがさ音を出したり、
まったく関係ないものをみつめていたり(非常口のランプや後見等)、
携帯をいじくるなど…。
「ここは動けないし、息もできるわけないでしょう」と、
毎度思ってしまう。

「お能を見て泣いたことも感動したこともない。どうやったら涙が出るの?」
と、ずいぶん長く能を見て稽古も続けているある知人から質問されたことがある。
これはむろん答えようがない。
感性は人それぞれで、面白いところも、膝を乗り出してみるところも
まったく別だからだ。

井筒のここで感動しなさい…
隅田川のここで泣きなさい…
マニュアル化できなくもないが、それもなんか違うかな、と思っている今日この頃である。

感性を磨きなさい、といわれても磨きようがないので、
せめて「古典原作を読みなさい」、「能を数見なさい」、
としかいいようがないのだけれども。

この〈芸術不感症〉問題は、何も現代だけのものではなく、室町、戦国、江戸時代にもあったんだろうな、と推測している。

「戦国武将と茶の湯」講座、恵比寿に教室移設しました。

2014-07-30 11:22:49 | カルチャー講座
銀座おとな塾産経学園の閉校にともない、「千利休侘び茶の世界」(今期テーマ:戦国武将と茶の湯)講座を、8月よりよみうりカルチャー恵比寿へ移設、あらためて開講することとなりました。

◆【言の葉庵】講座一覧
http://nobunsha.jp/img/kozalist.pdf

◆よみうりカルチャー恵比寿
http://www.ync.ne.jp/ebisu/

恵比寿での第一回講座は、8/21(木)10:30よりスタートです。
今回は、〔キリシタン大名と茶の湯〕をテーマとして、安土桃山時代に武将たちの間で大ブームとなった、茶の湯とキリスト教の関係を歴史と文化の両面から深く考察していきます。
利休七哲にもキリシタン武将が複数名いましたが、今講座では高山右近(洗礼名ドン・ジュスト)をとりあげます。

右近遺愛の〈侘助肩衝茶入〉〈右近作 茶杓、共筒〉や、古田織部〈黒織部沓形茶碗XP合わせ字〉など、キリスト教の影響を受けた茶道具の由来を解説。堺衆とフロイス・アルメイダ等イエズス会宣教師との交わりも史書にたどりながら、中世茶の湯創世の秘密に迫ります。

新教室は恵比寿駅直結、アトレの7階です。
ご興味がありましたら、この機会にぜひご参加ください。

能と茶道、最奥の秘伝書をやさしく読む会

2014-07-23 19:33:04 | カルチャー講座
■寺子屋素読ノ会
7/28(月)夜、開講します。
http://nobunsha.jp/img/terakoya%20annai.pdf

Aクラス:『風姿花伝』を読む 17:30-19:00
Bクラス:『南方録』を読む 19:30-21:00


世阿弥『風姿花伝』、千利休『南方録』。
能と茶道の数多い伝書の中で、最高峰と目される、
一子相伝の秘書を有志の皆様と1ページずつ丁寧に
ひもといていく読書会です。

『風姿花伝』は「第四神儀にいわく」を講読予定。
能の起源説、
1.神代(あまのうずめ)
2.インド祇園精舎
3.聖徳太子・秦河勝
4.翁の発生
5.興福寺神事能の起こり
の5つを観世家の伝承からたどりましょう。

『南方録』は「墨引」の段落を講読予定。
あまりに機密度の高い秘伝中の秘伝のため、
漏洩を恐れた師の利休が弟子の聞書きに墨を引いて
抹消したといういわくつきの章段です。
珠光→紹鴎→利休へと師弟直伝で伝えられた
幻の茶法〔曲尺割〕について、その技法を図入りで、
厳密に精緻に解説したもの。
今日の茶道では、すっかり失われてしまった
〔曲尺割〕の真実を解明していきましょう。


※初参加の方には初回参加用の配布資料を個別にご用意します。
事前に【言の葉庵】HPより、メールまたはFAXでご連絡ください。

7/23(水)能〈杜若〉鑑賞講座

2014-07-21 10:34:21 | カルチャー講座
7/23(水)10:30-12:00
@自由が丘産経学園

◆お能鑑賞 はじめの第一歩
~神や鬼、美女に化ける能の演技の秘密~
http://p.tl/si54

2014年4月期後期講座の第一回目は
能〈杜若〉をとりあげます。

能の5つの分類、神男女狂鬼のうち、第三番目のジャンルが
「女ものの能」。別名、鬘ものともよばれ、もっとも
お能らしく、もっとも深い感動を味わえる、能の名作が
集中する曲柄です。

〔講座予定内容〕
1.三番目の能とは
能の作者たちは女ものの能をどのように定義していたか。

世阿弥「ただ美しく柔和なる体幽玄の本体なり」(花鏡)
金春禅竹「優にやさしく物深く、しかも果敢(はか)なきすぢ交はるべし」(拾玉得花) 

2.幽玄とは
中国から輸入された〔幽玄〕の概念は、禅仏教により普及。以降芸術の深く微妙な表現をあらわすキーワードとして民間に伝播していった。
 雅楽→和歌→能→俳諧

3.能〈杜若〉
・曲の概説
・あらすじ
・みどころ/鑑賞ポイント
・伊勢物語の業平の和歌
・『伊勢物語』九段 業平東下り 音読
・「かきつばた」の折句解読
・能〈杜若〉薪能ビデオ鑑賞