◆『日本語ジャングル』(能文社)
http://dp20101654.lolipop.jp/img/j jungle nobunsha.pdf
※無料公開のPDF版電子ブックです。
本著は、言の葉庵メールマガジン連載中のコラム、「日本語ジャングル」の過去の記事をとりまとめ、再編集したものです。
期間は、2006年1月より、2013年6月まで。まぐまぐメルマガ発行以前に、当社より直接お届けしていた旧メルマガコンテンツもふくめ、原則すべての過去記事を収録しています。
「日本語ジャングル」はもともと、メルマガ専用コンテンツとして、本サイト「名言名句」「推奨名著」などのメインカテゴリーに含まれない、広範多岐にわたる、日本文化の様々なトピックスを、時空を超えてお届けしようとしたもの。
下記目次をご覧になればおわかりいただけるように、「日本語」や「古典」関連カテゴリー以外、顔文字・役割語・中世キリシタン・七五調・漢字の起源・正座・書道・日本庭園から"叱る文化"まで、日本という文化・精神現象を神代から第二次大戦まで、通覧しています。
全27話、260ページと、少しヴォリュームもありますが、目次を見てご興味のありそうなものから飛ばし読みしていただいてもお楽しみいただけるはず。
本著各記事をきっかけに、二千年の日本文化と歴史にご興味をもっていただけたら、紹介者としてこれほどうれしいことはありません。
以下、本著の目次と一話~三話の冒頭部分を簡単にご紹介しましょう。
目次
◆万葉集は古代韓国語で詠まれていた P5
◆顔文字 P8
◆書聖の十字 P13
◆辞世の句 P17
◆奇想天外な事典 P26
◆標準語 P34
◆役割語 P43
◆七五調〈前編〉 P54
◆七五調〈後編〉 P64
◆いろは歌〈前編〉 P73
◆いろは歌〈後編〉 P86
◆漢字の起源 P107
◆ルイス・フロイスが見た日本の奇習 P121
◆今昔物語の奇譚 P128
◆正座の起源 P135
◆叱る P147
◆能、翁の謎 P161
◆利休の最後の手紙 P171
◆室町の役者名鑑『四座役者目録』 P180
◆秀吉と利休、数奇の戦 P188
◆天下人の能狂い「信長」編 P196
◆天下人の能狂い「秀吉」編 P202
◆文化・芸術は何のためにあるのか P209
◆石の文化 P214
◆聖者となった極悪人『今昔物語』 P227
◆仏教は誰のためにあるのか P238
◆六千人の命のビザ P248
第一話
◆万葉集は古代韓国語で詠まれていた 2006.1.11
古今東西、カテゴリー、ジャンル一切問わず、言の葉庵が発見した日本語の謎、秘密をレポートし、前人未到の日本語ジャングルへと誘います。
第一回目は、日本の言の葉の聖典〝万葉集〟の謎を解き明かす、こんな本をご紹介。
万葉集には「難訓歌」とよばれる歌がある。ようするに、読みが難しい。解釈が難しい。つまり、学者にもなんのことか、さっぱりわからない、という歌が非常に多いのです。それは、万葉の歌の大半が韓国語、それも古代韓国語で詠まれていたからといいます。さて、このとんでもない歴史的・文学的スキャンダルをすっぱ抜いたミラクル ブックを紹介しましょう。それは...
『もうひとつの万葉集 李寧熙(いよんひ)』文春文庫1991
本作骨子を、カバー裏解説から引用します。
―万葉集が編まれてからおよそ千二百年。今、韓国語によってまったく異相の万葉集が浮かび上がる。これまでに誰にも読み解くことのできなかった謎の難訓歌も、韓国語でみごとに完全解読。雄略天皇、額田王、柿本人麻呂、山上憶良などの歌に秘められた真の意味とは何か?今こそ文学史が書き改められる―
【原文】
雄略天皇の詠んだ代表的な難訓歌である(巻一の一)
籠もよ み籠持ち ふくしもよ みぶくし持ち
この岡に 菜摘ます児 家聞かな 名告らさね
そらみつ 大和の国は おしなべて 我こそ居れ
しきなべて 我こそいませ
我こそば 告らめ 家をも名をも
【従来の解釈】
籠も 良い籠を持ち ふくしも 良いふくしを持ち
この岡で 菜をお摘みの娘さんよ 家を聞きたい 名のっておくれ
〈そらみつ〉この大和は ことごとく わたしがすべている国だ
すみずみまで わたしがおさめている国だ
【真の意味】
古代韓国語による読解
狛よ 瑞穂の狛たちよ 復旧よ 瑞穂の復旧の者たちよ
この丘に 私は(先代と)並び立ち
ここに家を作り 告げて住もうと思う
さろみつ やまとの国は 押さえおきて 統治者は私一人である
鎮めねかして 私は自ら位に就く
私は急ぎ来て 告げる ここに来る 出てくると
第二話
◆顔文字 2006.1.28
今週のテーマは、まさか!の「顔文字」です。若い人向け(または若い人の動向が気になるおじさん、おばさん向け)のものも、今後どんどんやっていきますm(__)m
★顔文字にも英語がある★
まず、そもそも顔文字が日本語なの?という疑問にお応えせずばなりますまい。今わたしたちがメールやブログで毎日目にするこのタイプの顔文字は、日本語です。証拠は、今アメリカ人の使っている顔文字...
べーっ :p
ウォークマンを聴く [:-)
よだれ :-)~
秘密を持ってる :-X
ちなみに同じ意味で、日本語の顔文字では...
よだれ ( ̄¬ ̄)
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――-┐
│つまり、日本の顔文字は普通の文字と同じく「縦書き」、アメリカの顔文 │
│字は英語と同じく「横書き」。顔文字にも日本語、英語があります。 │
└――――――――――――――――――――――――――――――――――┘
★顔文字はいつできた?★
1986年のある日、「アスキーネット」パソコン通信に、下のような通信文が登場。
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┐
│200バンメヲ ネラウゾ! │
│By ナゼカ サイキン カルク ナッタ ワカン asc10441 (^_^) │
└―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
この書き込みの署名の後ろについてる「(^_^)」が日本の顔文字の始まりといわれています。当時は日本語表示ができるパソコンが少なく、カタカナで会話していました。以後、ワカンさんがチャットで使う(^_^)を見た人たちがマネをして、ハンドルにいろいろな顔文字をつけるようになり、顔文字が発展していったという話し。
第三話
◆書聖の十字 2006.2.17
古今東西、カテゴリー、ジャンル一切問わず、言の葉庵が発見した日本語の謎、秘密をレポートし、前人未到の日本語ジャングルへと誘います。今回は、書家 石川九楊の新聞連載コラムから、奥深い〝書〟の世界をご紹介しましょう。
書の世界に、永字八法といわれるものがあります。楷書の成立とともに始まったとされ、書聖、王義之書法の源とも言われています。「永」の一字、八画の中に書写の基本法則すべてがある。すなわち、点(そく)、横画(ろく)、竪画(ど、はね、てき)、右上がり横画(さく)、長い左払い(りゃく)、短い左払い(啄たく)、右払い(磔たく)の八法より構成されている、とされるものです。王義之は15年間「永」の一文字のみをひたすら書き続け、八法の原理を体得。それをすべての字に応用したと伝えられています。
「永」には、書のエッセンスすべてが眠っている。
それでは、書家の書く「十」の字には、何があるのか。「新十字十選」と題し、日経新聞に書家 石川九楊の連載コラムがあり、歴代の能書・名筆それぞれの「十」字の筆法を解明しています。
たとえば楷書体の鏡とされる初唐代、褚襚良「雁塔聖教序」にあらわれた「十」字の筆法を九楊は、以下のように解体・分析します。
『〈十〉字の横画の起筆後、徐々に緩め、再び終筆部分に向けて加える、なだらかな力の諧調は、しなやかでありながら、張り詰めた麗しい横画の反りをつくりあげている。さらに、起筆後、力が緩み、再び終筆部付近で力が加わり、ふっくらとした縦画の姿を生み出した力の諧調もまた見所である。いとおしいまでに美しく、いくらながめていても見飽きることがない。(中略)横画の中央で縦画がこれを直角に横切る。これは幾何学的美学。天から地へ重力がはたらき、縦画はまっすぐ垂直に引かれ、重力を支えるため横画より縦画は太い』
漢字の本家、中国書家の書く「十」の字は、楷書体の特徴たる、幾何学的・建築的美学の集大成である、と読み解きます。(後略)』
http://dp20101654.lolipop.jp/img/j jungle nobunsha.pdf
※無料公開のPDF版電子ブックです。
本著は、言の葉庵メールマガジン連載中のコラム、「日本語ジャングル」の過去の記事をとりまとめ、再編集したものです。
期間は、2006年1月より、2013年6月まで。まぐまぐメルマガ発行以前に、当社より直接お届けしていた旧メルマガコンテンツもふくめ、原則すべての過去記事を収録しています。
「日本語ジャングル」はもともと、メルマガ専用コンテンツとして、本サイト「名言名句」「推奨名著」などのメインカテゴリーに含まれない、広範多岐にわたる、日本文化の様々なトピックスを、時空を超えてお届けしようとしたもの。
下記目次をご覧になればおわかりいただけるように、「日本語」や「古典」関連カテゴリー以外、顔文字・役割語・中世キリシタン・七五調・漢字の起源・正座・書道・日本庭園から"叱る文化"まで、日本という文化・精神現象を神代から第二次大戦まで、通覧しています。
全27話、260ページと、少しヴォリュームもありますが、目次を見てご興味のありそうなものから飛ばし読みしていただいてもお楽しみいただけるはず。
本著各記事をきっかけに、二千年の日本文化と歴史にご興味をもっていただけたら、紹介者としてこれほどうれしいことはありません。
以下、本著の目次と一話~三話の冒頭部分を簡単にご紹介しましょう。
目次
◆万葉集は古代韓国語で詠まれていた P5
◆顔文字 P8
◆書聖の十字 P13
◆辞世の句 P17
◆奇想天外な事典 P26
◆標準語 P34
◆役割語 P43
◆七五調〈前編〉 P54
◆七五調〈後編〉 P64
◆いろは歌〈前編〉 P73
◆いろは歌〈後編〉 P86
◆漢字の起源 P107
◆ルイス・フロイスが見た日本の奇習 P121
◆今昔物語の奇譚 P128
◆正座の起源 P135
◆叱る P147
◆能、翁の謎 P161
◆利休の最後の手紙 P171
◆室町の役者名鑑『四座役者目録』 P180
◆秀吉と利休、数奇の戦 P188
◆天下人の能狂い「信長」編 P196
◆天下人の能狂い「秀吉」編 P202
◆文化・芸術は何のためにあるのか P209
◆石の文化 P214
◆聖者となった極悪人『今昔物語』 P227
◆仏教は誰のためにあるのか P238
◆六千人の命のビザ P248
第一話
◆万葉集は古代韓国語で詠まれていた 2006.1.11
古今東西、カテゴリー、ジャンル一切問わず、言の葉庵が発見した日本語の謎、秘密をレポートし、前人未到の日本語ジャングルへと誘います。
第一回目は、日本の言の葉の聖典〝万葉集〟の謎を解き明かす、こんな本をご紹介。
万葉集には「難訓歌」とよばれる歌がある。ようするに、読みが難しい。解釈が難しい。つまり、学者にもなんのことか、さっぱりわからない、という歌が非常に多いのです。それは、万葉の歌の大半が韓国語、それも古代韓国語で詠まれていたからといいます。さて、このとんでもない歴史的・文学的スキャンダルをすっぱ抜いたミラクル ブックを紹介しましょう。それは...
『もうひとつの万葉集 李寧熙(いよんひ)』文春文庫1991
本作骨子を、カバー裏解説から引用します。
―万葉集が編まれてからおよそ千二百年。今、韓国語によってまったく異相の万葉集が浮かび上がる。これまでに誰にも読み解くことのできなかった謎の難訓歌も、韓国語でみごとに完全解読。雄略天皇、額田王、柿本人麻呂、山上憶良などの歌に秘められた真の意味とは何か?今こそ文学史が書き改められる―
【原文】
雄略天皇の詠んだ代表的な難訓歌である(巻一の一)
籠もよ み籠持ち ふくしもよ みぶくし持ち
この岡に 菜摘ます児 家聞かな 名告らさね
そらみつ 大和の国は おしなべて 我こそ居れ
しきなべて 我こそいませ
我こそば 告らめ 家をも名をも
【従来の解釈】
籠も 良い籠を持ち ふくしも 良いふくしを持ち
この岡で 菜をお摘みの娘さんよ 家を聞きたい 名のっておくれ
〈そらみつ〉この大和は ことごとく わたしがすべている国だ
すみずみまで わたしがおさめている国だ
【真の意味】
古代韓国語による読解
狛よ 瑞穂の狛たちよ 復旧よ 瑞穂の復旧の者たちよ
この丘に 私は(先代と)並び立ち
ここに家を作り 告げて住もうと思う
さろみつ やまとの国は 押さえおきて 統治者は私一人である
鎮めねかして 私は自ら位に就く
私は急ぎ来て 告げる ここに来る 出てくると
第二話
◆顔文字 2006.1.28
今週のテーマは、まさか!の「顔文字」です。若い人向け(または若い人の動向が気になるおじさん、おばさん向け)のものも、今後どんどんやっていきますm(__)m
★顔文字にも英語がある★
まず、そもそも顔文字が日本語なの?という疑問にお応えせずばなりますまい。今わたしたちがメールやブログで毎日目にするこのタイプの顔文字は、日本語です。証拠は、今アメリカ人の使っている顔文字...
べーっ :p
ウォークマンを聴く [:-)
よだれ :-)~
秘密を持ってる :-X
ちなみに同じ意味で、日本語の顔文字では...
よだれ ( ̄¬ ̄)
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――-┐
│つまり、日本の顔文字は普通の文字と同じく「縦書き」、アメリカの顔文 │
│字は英語と同じく「横書き」。顔文字にも日本語、英語があります。 │
└――――――――――――――――――――――――――――――――――┘
★顔文字はいつできた?★
1986年のある日、「アスキーネット」パソコン通信に、下のような通信文が登場。
┌―――――――――――――――――――――――――――――――――┐
│200バンメヲ ネラウゾ! │
│By ナゼカ サイキン カルク ナッタ ワカン asc10441 (^_^) │
└―――――――――――――――――――――――――――――――――┘
この書き込みの署名の後ろについてる「(^_^)」が日本の顔文字の始まりといわれています。当時は日本語表示ができるパソコンが少なく、カタカナで会話していました。以後、ワカンさんがチャットで使う(^_^)を見た人たちがマネをして、ハンドルにいろいろな顔文字をつけるようになり、顔文字が発展していったという話し。
第三話
◆書聖の十字 2006.2.17
古今東西、カテゴリー、ジャンル一切問わず、言の葉庵が発見した日本語の謎、秘密をレポートし、前人未到の日本語ジャングルへと誘います。今回は、書家 石川九楊の新聞連載コラムから、奥深い〝書〟の世界をご紹介しましょう。
書の世界に、永字八法といわれるものがあります。楷書の成立とともに始まったとされ、書聖、王義之書法の源とも言われています。「永」の一字、八画の中に書写の基本法則すべてがある。すなわち、点(そく)、横画(ろく)、竪画(ど、はね、てき)、右上がり横画(さく)、長い左払い(りゃく)、短い左払い(啄たく)、右払い(磔たく)の八法より構成されている、とされるものです。王義之は15年間「永」の一文字のみをひたすら書き続け、八法の原理を体得。それをすべての字に応用したと伝えられています。
「永」には、書のエッセンスすべてが眠っている。
それでは、書家の書く「十」の字には、何があるのか。「新十字十選」と題し、日経新聞に書家 石川九楊の連載コラムがあり、歴代の能書・名筆それぞれの「十」字の筆法を解明しています。
たとえば楷書体の鏡とされる初唐代、褚襚良「雁塔聖教序」にあらわれた「十」字の筆法を九楊は、以下のように解体・分析します。
『〈十〉字の横画の起筆後、徐々に緩め、再び終筆部分に向けて加える、なだらかな力の諧調は、しなやかでありながら、張り詰めた麗しい横画の反りをつくりあげている。さらに、起筆後、力が緩み、再び終筆部付近で力が加わり、ふっくらとした縦画の姿を生み出した力の諧調もまた見所である。いとおしいまでに美しく、いくらながめていても見飽きることがない。(中略)横画の中央で縦画がこれを直角に横切る。これは幾何学的美学。天から地へ重力がはたらき、縦画はまっすぐ垂直に引かれ、重力を支えるため横画より縦画は太い』
漢字の本家、中国書家の書く「十」の字は、楷書体の特徴たる、幾何学的・建築的美学の集大成である、と読み解きます。(後略)』