門前の小僧

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名言名句第五十八回 『述懐』 人生意気に感ず 功名誰かまた論ぜん。

2016-12-30 07:48:38 | 名言名句

人生意気に感ず 功名誰かまた論ぜん。~魏徴『述懐』


今回の名句は、唐王朝建国の功臣、魏徴の詩『述懐』の掉尾を飾る二句です。

志を同じくする人に出会えたなら、自分の生涯は定まってもはやゆるがない。

名をあげ、功を成すことなど二の次である、

と魏徴は高らかに謳いあげています。

これはいにしえの豫譲の「士は己れを知る者のために死す」と同様の境地です。

http://nobunsha.jp/meigen/post_75.html



『述懐』は、『唐詩選』第一/五言古詩の巻頭に置かれ、漢詩の最盛である唐詩の幕開けを告げる名作です。

わが国でも「人生意気に感ず」は人口に膾炙し、魏徴の名を知らない人もおそらく耳にしたことのある有名な句ではないでしょうか。



さて『述懐』の成立年は特定されておらず、隋末の混乱した時代の中で、どの時期に置くかによって詩の内容と意向は大きく変わってしまいます。

これを通説に従い、武徳八年(西暦625年)とすると、李密のもとに身を置いていた魏徴が、高祖李淵に召され唐に降った頃となります。



この時、魏徴は高祖の命を受け、かつての李密軍の同志、徐世勣(後の李勣)の宣撫に向かうこととなりました。隊列を整え、潼関を進発。その行軍の途上で成した作であろうと推察されます。



「唐の高祖は宿敵であるわれを罰せず。あまつさえ深く信頼し、この重い任を下されたのだ。

あなたもしかるべき主君のもとで存分に働き、新しい国をともに築いていこうではないか」。

もしも高祖の降伏勧告書に、この『述懐』が旧友からの私信として添えられていたのなら、徐世勣は大きく心を動かされたかもしれません。



この後、徐世勣は唐に帰順。太宗の世となってより、大将軍として数々の殊勲をあげ、唐建国に大きく貢献していくこととなっていくのです。



高祖、魏徴、李勣、そして太宗。偉人、傑人とはいえ、一人の力には限りがあります。

しかし国を創らんという「意気」が人と人とを結びつけ、三百年の礎を築きあげました。

出会った瞬間、「百年の友に会った」「この人となら成し遂げられる」と目を開かせてくれる人がいる。

これは何も千三百年前の遠い国の物語ではなく、今のあなたを明日待ち受ける運命の出会いかもしれないのです。




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【言の葉庵】オフィシャルHP

http://nobunsha.jp/meigen/post_205.html

12/14禅と中世日本文化研修「最終回 禅と能(能楽堂見学会)」

2016-12-10 09:54:15 | カルチャー講座
12月14日(水)10:00~15:00、日本文化体験交流塾において、
禅と中世日本文化シリーズ研修「最終回 禅と能(能楽堂見学会)」を開講します。
http://www.ijcee.jp/culture/mizuno-zen/1214/

約2年ぶりとなる、矢来能楽堂での実地見学終日講座。
今回は座席の改装がなった、新しい矢来能楽堂で、見所から桟敷席、本舞台、楽屋裏まで、能楽堂のすべてを直接見学できる特別メニュー。
650年の歴史をもつ、我が国最古の伝統芸能のポイントを、入門者目線でくわしく、わかりやすく、かつ面白くご案内していく講座です。
「のう のう」、と能役者になった気分で橋掛かりを歩いてみませんか?


実施日:12月14日(水) 10:00~15:00
受講料:IJCEE会員 5,800円、一般 6,800円
定員65名


・研修メニュー

◇午前の部(10:00~12:00) 
「講義」(日本文化体験交流塾本部@小石川)

●能の歴史
●世阿弥とは
●風姿花伝とは
●能〈井筒〉〈小鍛冶〉ビデオ鑑賞講座


◇午後の部(13:30~15:00)  

「能楽堂見学会」(矢来能楽堂@神楽坂)

●能楽堂の歴史と構造
●能の各流派と観世九皐会
●能舞台と能の演技の秘密

●能楽堂バックステージツアー
【持参物】和装の白足袋(足袋ソックス・女性用薄いストッキングは不可)
※おもちでない方には能楽堂にて当日、足袋を販売します(600円)。

◇番外編

●神楽坂あるき(15:15~16:30)

研修終了後、有志で神楽坂の街を探索します。


寺子屋新クラス「南方録」12/9(金)スタート

2016-12-06 20:08:03 | カルチャー講座
◆寺子屋素読ノ会 ご案内
http://nobunsha.jp/img/terakoya%20annai.pdf

寺子屋素読ノ会、12月よりCクラス「南方録」が新たにはじまります。
15:00-16:30 於:新橋 生涯教育センター ばるーん

「南方録」は、利休の茶法を今日に伝える代表的な茶道書です。
今回、みなさまのリクエストにお応えして同書の冒頭、〔覚書〕より読み進めていきます。

初回は、千利休とその茶についてミニ講座を実施。
侘び茶を大成した利休の足跡を、初めて学ぶ人のために概略としてお伝えしていきたいと思います。

今回ご参加希望の方は、能文社あてメール連絡と、当日岩波文庫版「南方録」をご用意ください。
茶書としてはもっとも大部な本著の全七編をおよそ2~3年をかけて丁寧に、詳細に、読み解いていく予定です。

この機会に、ご一緒に日本文化の精髄に触れてみませんか。


※同日開講するその他のクラス

・Aクラス「葉隠」 10:00-11:30
・Bクラス「申楽談儀」 13:00-14:30