おはようございます。
普通、幽霊といいますと足のないのが通例とされていますが、僕は足だけの幽霊の話を知っております。
第16話は、そんな話です。
僕の兄貴が勤める会社は自動車の部品を造っていて、その工場(幾つも在るのだけれど)の1つに、地元の話題に上った幽霊話がある。
工場内には第1工場と第2工場があって、その間に出来上がった製品などを出荷するためのトラック用の道路がある。その道路の脇にトイレがあって、主にトラックの運転手が使っていた。
そのトイレは改装したばかりで、全面に化粧タイルが貼られており、全室シャワートイレを完備、さらにはエアコンまで装備しているホテル並みのトイレだった。
ある深夜3時頃、そのトイレに運転手が入った時のこと。
男子用便器で用を足していると、一番奥のトイレの扉が開いたような気がした。先客がいたわけである。
男子用便器で用を足していると、一番奥のトイレの扉が開いたような気がした。先客がいたわけである。
ただし「変だな」と思った。というのも、トイレの水を流す音がしなかったからである。
「マナーがなっていない奴だ」
と思っていると、後ろを誰か通り過ぎる気配がした。
「マナーがなっていない奴だ」
と思っていると、後ろを誰か通り過ぎる気配がした。
振り返って見るが、誰もいなかった。いくら立派なトイレとはいえ、基本的に狭い空間である。
自分の後ろを人が通れば、直ぐに判るはずだが、誰もいない……。
「おかしいな。気のせいか?」
自分の後ろを人が通れば、直ぐに判るはずだが、誰もいない……。
「おかしいな。気のせいか?」
すると、再び一番奥のトイレの扉が開いたような気がして、後ろを誰か通り過ぎる気配がするのだ。
慌てて後ろを振り返ると、上半身のない足だけの幽霊が通り過ぎて行ったそうである。
慌てて後ろを振り返ると、上半身のない足だけの幽霊が通り過ぎて行ったそうである。
しかも、1人でけでなく、何人もの運転手が体験していた。
その噂は、あっという間に工場内に広がって、従業員の中にも同様の体験をする者が頻発したのだ。
その噂は、あっという間に工場内に広がって、従業員の中にも同様の体験をする者が頻発したのだ。
事の事態に会社側も放置して置けなくなって、霊媒師を呼んで視てもらった。
すると霊媒師が曰く
「この土地は昔、一揆の輩が立てこもった場所で、大きな騒乱があり、たくさん人が死んでいる」
すると霊媒師が曰く
「この土地は昔、一揆の輩が立てこもった場所で、大きな騒乱があり、たくさん人が死んでいる」
「この工場を建てる際にこの土地を鎮めるため、四方に清めになる物を建立したはず。それをきちんとしなさい」
とのことだった。
ただ工場を建てたのはかなり前のことだったので、そのことを知っている者がいなかったが、いわれた通りに工場敷地内を探し回ったのだ。
すると工場の端(工場の敷地は、ほぼ正方形になっている)沿いに盛り土がしてあって土手のようになっており、松や桜など木々が植えてある場所に、それはあった。
長い間、放置されていたので、木々の落ち葉で埋もれており、探し出すのに苦労したが、それはちょうど工場の四隅に配置された祠だった。
その祠を掘り出して中を開けると、それぞれの祠に小刀と甲冑が出てきた。
甲冑は分けて入れられていて、兜、胴、手甲、具足となっていた。
甲冑は分けて入れられていて、兜、胴、手甲、具足となっていた。
そして、足の部分に当たる具足と小刀を納めた祠だけが、壊れていたのだった。
つまり、あの足だけの幽霊は、これを知らせるものだったという訳だ。
つまり、あの足だけの幽霊は、これを知らせるものだったという訳だ。
もちろん、直ぐに祠は綺麗に直して元に戻したら、足だけの幽霊は出なくなったそうである。
そんな不思議な話でした。