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第二十夜 怪談 訪れる者

2009-08-28 09:13:06 | 不思議夜話
 おはようございます。


 この「不思議夜話」も20話目になります。どこまで書けるのか、判りませんが、いけるところまで書いてみましょう。


 今回の話は、僕の友人H君が体験したものです。


 実はH君は、「車で待つ女」に登場したJさんの弟です。


 僕たちが高校生だった頃、H君の一家がお盆休みに2泊3日の予定で実家へ帰省することになった。
しかし、高校生ともなると家族と一緒に行動するなど稀で、彼はひとり家に残ることにしたのだった。


 目的は1つ。僕と夜通しTVゲームをすることだった。


 彼の家と僕の家は、極めて近く100メートルも離れていない。
僕は夜の8時頃、近くのコンビニでエネルギー充填物質(お菓子、ジュースといった類)を買い込んでH君の家へ上がりこんだ。


 楽しい時間というのは過ぎるのが早い。
気がつくと、深夜2時をまわっていた。
「そろそろお暇を…」
ということで、僕は帰宅した。
今にしてみれば、そのまま泊まってやれば良かったのだが、後の祭りである。


 H君は、さすがに疲れて就寝するため、2階の自分の部屋に入った。
部屋の中に入ると、いつもと部屋の空気が違うことに気がついた。
「何か、変だな。ムッとする」
とても蒸し暑かった。しかし、部屋を閉め切っていたので
「こんなものか」
と、部屋のエアコンにスイッチを入れてベットに入った。


 とても寝苦しかった。エアコンを入れたにもかかわらず、一向に部屋の中が涼しくならない。
部屋の空気が澱んでいる気がしていたが、そのうちウトウトしだしたのだった。


 とその時、いきなり金縛りになった。
体が動かせない。目だけが動かせた。動く目だけで部屋の中を見渡すと入り口のドアに誰か立っている。
こちらに背を向けているので、誰だか分からない。


 はじめ、それが僕だと思ったそうだ。引き返してきたと思った。(もちろん、僕ではありません)
しかし、違う。よく見ると着物を着ているようで女の人みたいだった。


 H君は金縛りにあった状態で、後ろ向きに立っている女の人を見ていると、その人が徐々にこちらへ向き直ってくるのが分かった。その向き直り方がパラパラマンガのようだったというのだ。
「誰だ!」
と叫ぼうとしたが、声がでない。
すると、辺りから音楽が聞こえてきたという。その音楽は、お正月に昔の宮中のようなところで演奏される雅楽のようだった。


 女の人が、完全にH君の方を向いた時、その女の人が、1ヶ月前に亡くなったはずの叔母さんであることが分かったのだった。
下を向いて、今度は、徐々にこちらに歩いてくる。歩くというよりパラパラマンガみたいに移動してくるのだ。


 あまりの怖さにH君は目をつぶったのだが、気配で分かる。どんどん近づいてきていた。
やがてベットの脇まで来ると、H君のベットの中へ掛け布団をめくって入ってきたのだ。
「!!」
彼は、気絶した。


 気がつくと朝というより昼頃だったという。


 そこで早速、僕のところへ電話がかかってきたのだった。
「早く来てくれ」


 ことの次第を聞いた僕は、彼の家へ行き、その日は二人で泊まったのだが、何事もなかった。
もちろん、朝までTVゲームをしたのはいうまでないことである。


 そんな不思議な話でした。