くろじいの独り言

ハイアットライフタイムグローバリスト日記
   World of Hyatt Lifetime Globalist

まえがき

2016-01-23 | おいしい

先日載せたup「ターブル・オギノ」のDELIサラダが日常の一般家庭向きだとすれば

こちらは本格的down


TABLE OGINOの野菜料理200
素材から発想する、進化を続けるデリカテッセン

誠文堂新光社刊 3200円+税

おいらこの前書き読んで感動したzzz

フレンチに拘らず店まで改装した荻野シェフの熱い想いを感じるexclamation2

以下勝手に転載

野菜ほど料理人としての腕を試されるものはないのかもしれない、そのままでも美味しいけれど、煮ても焼いても揚げても表情をがらりと変える。その種類と個体差、季節感や組み合わせを考えると、野菜料理には無限の可能性があるのではないだろうか。
食べる人のことを最優先に考えて作られた野菜たち、私は農家から直接いただいている野菜のことをそう呼んでいる。

あえて私が農家から直接送っていただいている野菜は、栽培方法もさまざまであるが、農家それぞれが最適な方法と判断して栽培した上で出荷してくださるものだ。
共通しているのは、自分たちが作った野菜を食べる人たちのことを最優先に考えて作られてるということ。
農薬はおろか、肥料すら与えない栽培法を確立させた農家もある。
しかし、残念ながらそうした野菜の流通システムがまだ確立されてないがゆえ、スーパーで買うことはなかなかできない、また、畑から直接届けられる野菜は、いつ、どこで、なにが、どれだけ収穫されるかもわからない。


形も大きさもバラバラ、事前にメニューには書けない、行き着いたのが、箱を開けてメニューを考えるというスタイルだ。
しかしたった35席のレストランで使える野菜の量には限界があり、提供価格も非日常的なものになってしまう。

この素晴らしい愛情のこもった素材たちを、もっと気軽に日常的に食べてほしい。

そうしたことを考えているうちに、「ターブル・オギノ」というブランドでデイリーな店をやってみようと思った、コンセプトはスローなファーストフードだ。

2012年、代官山に小さいながらも「ターブル・オギノ」をオープンさせ、すぐにコンセプトに共感してくださる企業の協力で、各地に店舗が増えた。
店舗が増えるに連つれて使用する野菜の量が増え、全国の農家とおつきあいができるようになり、北は北海道、南は沖縄までたくさんの農家に野菜を送っていただいている。

そうして日本全国のさまざまな野菜にふれるうち、古典的なフランス料理のテクニック、メゾットだけでは、美味しく食べさせる術に限界を感じるようになった。
時間を作ってフランス以外の国に積極的に旅に出て歩き回り、その国の食文化に直に触れたことで視野が広がり、また修行時代から特に力を入れて取り組んできた賄い料理の知識にやテクニックに本当に助けられた。

フランス料理も、外国の食文化を積極的に受け入れて発展してきた、日本はそれ以上に外国の食文化を受け入れる寛容さと好奇心を持ち合わせており、多国籍、無国籍な意識で野菜と向き合うことによって、その野菜の持ち味を素直に表現できるようになった。

本書にあるような素材同士の意外な組み合わせ方や調味における一定の考え方が、自然のサイクルに任せた素直な野菜たちに寄り添い、それらを臨機応変に料理していくための一助となれば幸いである。

いつか流通が整い、選択肢のひとつとして、こうした野菜が広く身近な存在として、出回ることを夢みている。
全国にはこのように地道ながらも、訥々と食べ手である消費者のこと、料理人のこと、自分たちの礎である土壌のこを一心に考えて、生産に情熱をかける農家がたくさんいるということを知ってほしい。

そろそろ生産者と消費者の間にいる、われわれ料理人が、本当の豊かな食とはなにか、というテーマを論議し、実践していく時期ではないだろうか。

荻野伸也