黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

子宮頸がん予防ワクチン勧奨中止

2013-06-19 09:12:36 | 健康・病気

子宮頸がん予防ワクチンは、ようやく勧奨(お勧め)中止になりました。重篤な副反応を878人も出してから、やっと勧奨は中止となりましたが、接種は続けるというものです。

このワクチンは、ヒトパピローマウイルスワクチンであって、ウイルス感染を予防するだけで、がんの予防は検診を受けなければできませんし、日本人の子宮頸がんに多いウイルスには対応できていません。厚生労働省もこのワクチンが「最終的に子宮頸がんを減らしたというエビデンス(科学的根拠)はない」と認めています。

副反応も重篤で日常生活が狂わされた人も108人に至り、全面中止すべきものです。被害者の中でも、まだ救済されていない人が多数を占めています。

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福島の子どもたちの保養の効果

2013-06-09 17:13:05 | 健康・病気

 

福島のこどもたちの保養の必要性とその効果、「基金」の活動について<o:p></o:p>

 

 私は、「未来の福島こども基金」の代表をしています。<o:p></o:p>

 

今、福島のこどもたちの多くは、ICRP(国際放射線防護委員会)の基準である外部被ばくの成人の限度の1ミリシーベルトを超えた地域に住んでいます。本来なら移住、特に集落ごとの移住が望ましいのですが、それができずに残されたこどもたちに私たちができることは、せめて少しの期間でも汚染されていない土地で、過ごしてもらいたいのです。チェルノブイリの経験では、24日間の保養で約25~30%の内部被ばくが減少することが判っています。私たちにできることは、今福島の汚染地に住んでいる子どもたちの一人でも多くに、保養に出て体もこころもリフレッシュして欲しいのです。子どもたちは保養に来るときは暗い顔をしていますが、2週間の保養を終えて帰る時は皆明るい顔をしています。希望を持たせることが必要なのです。福島にいたらそれができない為、私たちの「未来の福島こども基金」が、DAYS被災児童支援募金と共同して、保養を援助しています。それにかかる費用の援助をお願いします。募金して下さる方は、「未来の福島こども基金」のホームページを見て下さい。子どもたちの東京からの交通費と母子ともの滞在費を募金でまかなっているのです。よろしくお願いします。<o:p></o:p>

 

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福島の子ども健康相談会を通して見えたこと

2013-06-09 17:08:17 | 健康・病気

 

福島の子ども健康相談会を通して見えたこと<o:p></o:p>

 

2011年6月から始まった、福島市での子ども健康相談会には、いろいろなことがありました。<o:p></o:p>

 

当初の2回くらいは、福島から避難すべきか留まるべきか迷っていた親たちが来ていました。その人たちには、すぐ避難しなさい。父親を残してでも、母親と子どもは高線量の地域の福島市から避難すべきですとアドバイスし、母親の背中を押すことが大切でした。しかし、3回目以降は違いました。避難したくてもできない母親の相談が中心になったのです。その人たちは、地域に住んでいる人たちに、何とか被ばくを低くしようと話すと白い目で見られるようになり、学校の給食の食材をせめて県外産を使ってとか、校庭の線量が高いので土を削ってとか言えなくなってしまったので、その悩みを聞く場に変わっていったのです。「友達から別れたくないから避難しない。もう子どもは生まない」という女子高生もいます。来年進学するので、その時に低汚染地域に移るという子もいます。遅くはないから、中学、高校、大学などの進学の際に遠くても非汚染地に移ることを勧めています。家庭内で意見が違ったり、離婚問題が起きたりしています。<o:p></o:p>

 

 多くの現地の人は、政府や福島県立医大副学長の山下氏の安全だというキャンペーンに乗って、安全と信じているか、避難できずにあきらめているかなのです。外部被ばくもさることながら、内部被ばくを少しでも減らそうと、家では県外産の食品を買って食べていますという人は少数になり、何か言うと周りから「それならば出ていけば」と言われてしまい、話す場がなくなってしまった人の、健康相談会ではなんでも言える場になっていったのです。福島市の半分は高線量地域に入り、避難すべきなのですが、政府は認めず、「安全だ」を繰り返すばかりで何もせず、取り残されています。チェルノブイリでは、年間5ミリシーベルト以上の地域は、強制移住地域で、年間1~5ミリシーベルトは移住勧告地域で、年間1~0.5ミリシーベルトで放射線管理地域になっています。これを現在の福島県とその周辺の自治体にあてはめたらどうなるのでしょうか。<o:p></o:p>

 

 多くの人は、当初は心配していたけれど、避難できない現実の中で「汚染は低いから大丈夫だ」という政府や原子力ムラの学者たちの宣伝に乗らざるを得なくなっています。<o:p></o:p>

 

福島市では、国の出した食品の基準値を安全値と受け取っている人が多く、国の政策に乗ってしまっています。そこから抜け出せないから、自分の取っていることをそれで合理化せざるを得ないからかもしれません。「内部被ばくだけで1ミリシーベルト以内は大丈夫」と広報され、それを信じるしかできない状況に置かれています。 <o:p></o:p>

 

当初多かった健康相談会への参加者も減っています。避難という言葉も使えなくなり、引っ越しとか移住という言葉を使うことになりました。チェルノブイリの経験から私たちがやっていることも保養からリクリエーションに替えようという話になっています。<o:p></o:p>

 

それでも福島の人は現実に不安を持っていますし、見かけは国や県の言いなりですが、現実は違い、福島県の全県民202万人を対象にした「基本調査」のアンケート回収率はわずか21.8%(2012年3月22日現在)。(週刊東洋経済2012.4.28-5.5号)<o:p></o:p>

 

実際、表向きは国や県の言うことを聞きながら、本心信じられない所があるのではないでしょうか。だから、福島では原発事故被災という言葉は、いつの間にか使えない言葉になっています。言ったら自分たちの不安を増すだけで、そこから逃げ出したい気持ちになります。でも現実には社会的に、経済的に、家庭内で、できない状況にあります。そうしたらどういう行動をとるでしょうか。<o:p></o:p>

 

県は福島県民の18歳以下の子どもの甲状腺の検査を2014年3月末まで先行検査をすると言っています。3月現在で、経過観察のA2判定が29.7%、二次判定のB判定が0.7%(26人)でした。(前記週刊東洋経済)その後の情報では、県民健康管理調査で、昨年度分のB判定が186人で、9月の時点では60人の精査分より甲状腺がんが1人であったということです。チェルノブイリでもそうでした。1年後に出た甲状腺がんの子どもは無視されました。チェルノブイリでは、その後毎年少数出て、4年後に急増したのですが、その後増え続け6年後の1992年国際的に発表されましたが、反論も多く、国際的に認められるにはもっと時間がかかりました。(「チェルノブイリ検証」今中哲二:チェルノブイリ10年.原子力情報室編)福島でも、今後年一人か二人出ても認められないでしょう。 がんの増加と共に非がん疾患の増加も同じ経過をたどると思います。<o:p></o:p>

 

私たちが支援した食品の放射能測定で判ったことは、牛乳は地元企業の牛乳が検出限界以下で、大手企業は基準値以下ですが、出ています。いろいろな食品で、福島産でも検出限界以下のものもありますし、やはり茸類やイチゴ類、いのししなどの野生動物には出る率が高いです。葉菜,根菜も測定して見ないと判りません。<o:p></o:p>

 

内部被ばくも、ホールボディカウンターの測定値で見ると、1年前に比べて低くなっています。機械の精度が上がったからか、実際にそうなのかは判りません。<o:p></o:p>

 

私たちは、測定の方は現地の方に任せて、次の仕事に移りました。保養またはリクリエーションです。それでできることは、汚染地を離れて2~3週間過ごすことです。その間にチェルノブイリの経験では20%体内のセシウムが減少するのです。そして孤立している子どもたちに仲間ができ、希望を持つことができます。<o:p></o:p>

 

学校サナトリウムが夢ですが、今、恒久的な小さなサナトリウムを沖縄の久米島に作りました。「球美(くみ)の里」です。遠いので交通費が最大の問題です。学童は休み期間中に、乳幼児は平日に行くしかないのが現状です。現状では、まだいろいろな障害があります。乗り越えていきたいと皆頑張っています。<o:p></o:p>

 

健康相談会を通して判ったことは、国や県は何もしてくれません。福島県の3分の2は、高濃度、中濃度の移住勧告すべき汚染地に入っています。チェルノブイリの例から言えば、避難すべきなのですが、できないのです。除染はしても、またしばらく経つと汚染されてしまいますし、一軒だけ除染しても住めません。除染の費用より、移住の費用を出すべきです。除染して戻ることは幻想に過ぎません。チェルノブイリでの事実がそれを物語っています。26年経っても戻ることはできないのです。<o:p></o:p>

 

私たちは、本当は移住することが良いのですが、それができない多くの人に、特に子どもたちの内部被ばくを減らすことと、それに寄与する保養を勧めています。<o:p></o:p>

 

子どもたちに健康上の問題が出てくるのは、3~4年後だと思います。甲状腺がんなどの発がんと白血病の増加です。それから疲れやすいとか、病気にかかりやすくなります。がんにならなくても、体のどこかに病気が出て来ます。それがチェルノブイリの現実です。NHK出版「低線量汚染地域からの報告」によれば、2008年には成人被災者の健康状態は、健康な人は21.5%で、慢性疾患を持つ人は78.5%に増加しています。その多くは循環器系疾患とのことです。1988年には健康な人は67.7%だったのですから、大変なことです。年間1ミリシーベルト以上の地域の人は、できるだけ移住して下さい。<o:p></o:p>

 

また妊娠しても避難せず、福島で子どもを産む母親が少なくないことに驚きました。異常なく生まれて、元気に育ってくれることを祈るしかありません。<o:p></o:p>

 

多くの公害・薬害被害者たちと同じように、国は原発事故の被害者を、僅かな補償金で切り捨てていくでしょう。<o:p></o:p>

 今私たちにできることは、子どもたちの保養です。どうかご支援をお願いします。また私たちの実践を契機に、各地に恒常的な保養施設ができることを願っています。

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子宮頸がんワクチンは止めよう

2013-05-19 11:07:47 | 健康・病気

子宮頸がんワクチンは、メリットが少なく、デメリットの多いワクチンです。最近の東京新聞の記事を載せますから、ご一読下さい。既に重篤な副作用被害者が、製薬会社からの報告では死亡1件を含む861人の重篤な副作用が出ていて、厚労省は101人しか認めていず、しかも因果関係を認めることに、消極的です。日本脳炎ワクチンより、後遺症の多いワクチンで、しかも将来検診も受けなければいけないというメリットの少なく被害の多いワクチンですから摂取するのはやめましょう。

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子宮頸がんワクチンによせて

2013-04-29 12:30:44 | 健康・病気

 4月1日から予防接種法が改定され、子宮頸がんワクチン、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンの3種が定期接種となり、公費負担となりました。
 

 子宮頸がんワクチンは最悪で、接種しただけでは予防できません。やはり子宮がん検診が必要なのです。しかも、副反応も多く、既に千人を超え、重篤な副反応だけで66人も出ています。してもしなくても検診が必要なワクチンがそんなにしなければいけないワクチンなのでしょうか。予防接種法の救済給付だけでも重篤な副作用で10人が給付を受けています。

 予防法でも、コンドームをつければよいことですし、かかっても自然治癒率の高いヒト・パピローマウイルスですし、最終的には検診しかないのですから、する必要性のないワクチンと言えるのではないでしょうか。しなくたって検診を受ければよいのですから。

しかも、世界の生産量の四分の一を日本が買っているというのです。新型インフルエンザワクチンを買い戻させた見返りに、導入されたとのうわさもあります。本当に必要なワクチンとは考えられません。それより、早く結核や破傷風をなくして下さい。結核は日本の結核政策が欧米と異なり、遅れているためだし、破傷風はワクチンで完全に近く防げるのに毎年死亡者を出しています。

私はワクチン反対論者ではありませんが、その有効性と副反応による障害者が出たりすることとの天秤にかけて判断します。子宮頸がんワクチンは私の孫たちには受けさせません。必要がないからです。

 

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新作の著書の紹介

2013-03-29 12:32:04 | 健康・病気

二年目の3.11を迎え、三作目の原発事故関係の本を出しました。

「放射線と健康 本当に私たちが知りたい 50の基礎知識」東京書籍、1300円+税、です。前二作と違った趣きの本です。ご一読下さい。

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私の著書紹介

2013-02-28 15:15:42 | 健康・病気

私の著書を紹介します。

一つは、「ここがまちがい小児医療」(現代書館)

二つ目は、「原発事故と子どもたち」(三一書房)

それに小出裕章さんとの共著で「原発・放射能子どもが危ない」(文春新書)

これらがあります。是非ご一読下さい。本に書いていないことを、できるだけブログで流していますが、その内にまとめたいとも思っています。

本の写真は、「黒部信一」で検索して頂ければ、出てくると思います。

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チェルノブイリから福島を考える

2013-02-05 17:37:01 | 健康・病気

低線量被ばくの子どもたちへの影響と、これから福島の子どもたちに出てくるいろいろな病気についてお話ししたいと思います。それは、一つには外部被ばくであり、高度に汚染された地域に未だに住んでいるからで、そして二つ目は、飲食物による内部被ばくです。それらが長い時間をかけて、子どもたちの体を蝕んでいきます。今まだ子どもたちに大きな症状は出ていません。チェルノブイリからの経験で明らかなのは、まず甲状腺がん、白血病や脳腫瘍も出ますし、がん以外のいろいろな病気、特に疲れやすいとか、病気にかかりやすい子どもが増えていきます。

最近チェルノブイリで生まれている被曝二世の先天性の骨の異常が注目されています。子どもたちには、甲状腺がん、白血病の他に脳腫瘍が増えて来ています。その他機能的な障害は、がんや骨の異常と違って異常率を数値化できないのですが、現地の小児科医たちは、90%の子どもたちは病んでいると言っています。

広河隆一さんとチェルノブイリ子ども基金が現地の人の協力を得て行なった調査があります。原発事故の時にチェルノブイリ原発から3キロメートルのプリピャチ市に住んでいた住民と、17キロメートルのチェルノブイリ市に住んでいた住民と、非汚染地のモスクワ市の住民の、事故後10年後の健康状態を調査したのです。放射能被害を受けたプリピャチ市とチェルノブイリ市のデータは一致し、モスクワだけが大きく低いのでした。多かった症状は、頭痛、めまい、疲れやすい、風邪をひきやすい、手足など骨が痛む、甲状腺異常などでモスクワに比べ非常に多く、モスクワの住民は半分以上が健康と回答しているのに、プリピャチ市とチェルノブイリ市の住民で健康と回答したのは5%以下でした。これらから見ると、明らかに放射線による健康障害としてしか考えられません。

現実にチェルノブイリで被曝した子どもたちや、未だに汚染地に住んでいる子どもたちは、様々な症状を訴え、脳神経系、免疫系、内分泌(ホルモン)系、筋骨格系など多種の病気になっています。

これまで放射線の影響は、「発がん性(がん、白血病)と寿命短縮、老化現象の促進」が言われて来ましたが、それ以外の障害があることが、チェルノブイリ事故後の健康調査や現地の医師たちの話からわかってきました。特に晩発性障害として前記の他に「白内障、不妊、慢性皮膚炎、加齢現象」があると言われて来ましたが、チェルノブイリの現地の医師たちの間では、それまでは知られていなかった様々な症状が見つかったのです。しかし、そのことを臨床医が発表しても、疫学的な裏付けがないために、なかなか取り上げられませんでした。せいぜいマスコミに取り上げられるだけで、医学界からは問題にされていませんでした。

またチェルノブイリで見つかる子どもの甲状腺がんの四分の一以上(75%と言う説もありますが)は転移を起こしていて、転移の症状で見つかりました。甲状腺がんはそれ自体は致死率は低いのですが、他の臓器に転移、再発すると大変危険なものになります。致死率は高いのです。早期に発見すれば致死率は2~3%です。チェルノブイリでも早期に発見され、手術し、成長して子どもを産んだ女性も少なくありません。しかし、その場合でも甲状腺が無いために、一生甲状腺ホルモンを飲み続けなければなりません。過剰に飲まない限り副作用はないので、心配はありません。見つかるのが遅いのは、甲状腺がんそのものはしこりとして腫れてくるだけで、痛くもかゆくもなく、見過ごされてしまうからです。それで肺や骨や脳、頸部リンパ節などに転移してみつかることが多いのです。

崎山比早子氏によると、1986年を一として1993年の倍率を、チェルノブイリの原発事故処理者に急増した疾患を多い順に見ると、消化器、内分泌、脳神経、感覚器、泌尿器、循環器、良性腫瘍、悪性腫瘍となり、特徴的なことは、一人で同時に四~五種類の病気を抱えていることです。さらに血液や造血系の病気の増加、白内障、動脈硬化、糖尿病、知的能力の障害なども出ています。

ベラルーシのバンダジェフスキーによると、1999年までの調査では、ベラルーシの死亡原因は第一は心臓病で、ついで悪性腫瘍で、それ以外は少なくなり、消化器系、呼吸器系、感染症、泌尿器系でした。

ベラルーシの元ゴメリ医科大学長で病理学者のバンダジェフスキーによる研究で、その実情が明らかにされました。ゴメリ医科大学での死亡者の病理解剖により、放射線の蓄積は、甲状腺、骨格筋、小腸、心筋、脾臓、脳、肝臓、腎臓の順でした。障害は心臓血管系に強く表れ、心臓の弁や血管の不調、心筋代謝不全、子どもの高血圧など。腎臓の内部の変化と機能の変化。肝臓の不調、脂肪肝、肝硬変。免疫系では感染への抵抗力の低下で結核、ウイルス性肝炎、呼吸器疾患への感染。造血系への低下。女性の生殖系では、受精卵の胎盤への着床前の死亡。胎児の骨格系の形成不全。様々な先天異常の増加。女性のホルモン系の乱れ、甲状腺の異常と甲状腺がんの増加。神経系では胎児期の影響で子どもの学習能力の低下。白内障、硝子体異常、屈折異常など、人体のほとんどの器官の障害や機能異常が起きていることが判りました。

チェルノブイリ子ども基金の佐々木真理事務局長が、毎年現地へ行って現地の医師たちからの要望を聞いてきていましたが、放射性ヨウ素が無くなっているのに甲状腺がんが増え続けていること、若い人の心臓疾患での急死の増加や、異常が見つからないのに妊娠しないこと、骨の異常を持つ子の出産が増えていることが、現地で訴えられ、これまで理解できなかったことが、この研究の発表で判ったと言われました。

現実にチェルノブイリ事故後、旧ソ連圏で結核、ジフテリア、百日咳などの感染症が流行しました。

晩発性障害による大人のがんの発病率は、ICRPによると1ミリシーベルトの被ばくで1万人に0.5~1人と言われていますが、子どもでは、藤岡独協医大放射線科名誉教授によると、1ミリシーベルトの被ばくで1万人に発がんは6.5人で、その内、致死がんは5人と言います。甲状腺がんなどは早期発見すれば死亡率が低いからです。しかし、おとなに比べれば極めて高いのではないでしょうか。

福島の現状は、チェルノブイリでは、強制避難区域、計画的避難区域に当たる放射線量の土地にも未だに一部避難させただけで済ませ、全部にはしていません。しかも、それ以下のウクライナでは「放射線管理区域」と言われる区域は、福島では広範囲におよび、ウクライナでは現在多くの健康被害を生じています。福島ではこれからでてくると予想されます。

また除染はチェルノブイリでは、無効で意味がないとしていません。現実に一部除染しても帰宅できませんし、除染してもまた汚染されていってしまうのが現実です。

さらに原発事故処理は未だに行われていますし、無意味な除染も行われています。

これらの作業に従事している人々は、放射線を浴びていますから、今後さまざまな放射線障害が出てくることが予想されます。しかし、その人たちの放射線被曝管理はずさんになされていると報道されていることが心配です。

また、チェルノブイリでは、避難できない放射線管理区域などの低線量被ばく地に住む子どもたちを、学校サナトリウムを作って年一回24日間、非汚染地で汚染されていない食べ物を食べ、汚染されていない土地で勉強し、クラブ活動をしています。これによって、体内の内部被曝しているセシウムは、25~30%この期間だけで減少しています。

それでDAYS JAPANの「DAYS被災児童支援募金」と私たちの「未来の福島こども基金」では、沖縄県久米島に球美の里(くみのさと)という子どもたちのための保養所を作り、昨年7月から保養を開始しています。まだ小さな施設なので、学童受け入れはなかなか難しい面がありますが、今年から始める予定です。

最後に、保養によって得られる効果の一つに「希望」があります。子どもたちを不安や絶望から救いだし、希望を持たせ、それによって免疫の働きを活性化することです。

どんなに効果があるかという話を一つしましょう。

チェルノブイリ原発事故で、消火作業に当たった人の重症者たちは、ロシア人はモスクワの病院へ、ウクライナ人はキエフの病院へ運ばれました。モスクワへ運ばれた重症者には、アメリカから派遣された専門医が骨髄移植などの治療を行いましたが、救命できませんでした。キエフの病院では、高度の医療ができず、仕方なく、過去にソ連の国内の核処理場での事故で重傷を負いながら助かった人たちを呼んで、「俺たちも助かったのだから、お前たちも頑張れ」と励ましてもらったのです。すると結果的に救命できた人が出たのです。いかに希望を持つことが大切かを教えてくれました。これは、1996年に私がウクライナに行った時に、キエフのチェルノブイリ博物館で聞いた話です。

私は、以前から、精神神経免疫学によって、こころが免疫と連動することを知っていましたから、なおさら感動しました。子どもたちに希望を持たせることが大切で、それに保養が効果があることが、ベラルーシの保養所でも証明されているのです。

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吐き気や吐くことへの対処法

2012-12-18 14:46:11 | 健康・病気

      子 ど も が は い た 時            

               ど う す れ ば 良 い か 

☆こどもがはく原因は

1)よくあるのは、かぜなどで咳こんだ為にはく時で、たんがのどにからんで、舌の奥の押すとゲーッとなる場所に、たんがへばりついてうまく出せないのではく

のです。この場合は、はいた物を見れば、中にぬるぬるした、鼻汁のようなたんがまじっています。この場合は咳がおさまれば、はくのもおさまります。

)次は「おなかのかぜ」と言いますが、ウィルスによる胃腸炎です。この場合は、下痢や熱を伴うことが多いのですが、はくだけで終ることもあります。5才以下では、普通のかぜのウィルスでもなりますが、ロタウイルス、アストロウイルス、腸管アデノウイルスが多く、乳幼児ではロタウィルスなどではしばしばひどい嘔吐下痢症になり、水分補給を間違うと重症の脱水になり、死に到ることもあります。8才を過ぎると、大人でも嘔吐下痢を起こすような胃腸専門のウィルス(腸管ウィルス-例えばノロ・ウィルスなど)しか起こさなくなります。一年中ありますが、主に冬に多い。

☆嘔吐の合併症

 繰り返し、はくことによって、体力を消耗し、乳幼児では脱水になりやすいのです。はいた物を誤飲して、気管支に入り窒息する危険があります。はき気がある時は、顔を下か、横に向かせて、口の中からはいた物を、はき出すようにして下さい。4才すぎたら、めったにひどい脱水にはならなくなります。

☆はくのを止めるには

 胃腸炎ではく時には、胃腸に飲食物が入っていると、はきますので、飲んだり食べたりさせずに、お腹を休めてやることが第一です。(→食事療法、飢餓療法)この場合、はくことや下痢をするのは、身体の中にある悪い物を体外へ出してしまう為の、身体の自然の反応なのです。これを薬で止めることはできないのです。「はいても良いから飲ませなさい」というのは、間違いです。

 残念ながら吐き気を効果的に止める飲み薬はありません。吐き気止めの薬は、坐薬や飲み薬がありますが、余り効きません。あとは注射か点滴になります。

 ●胃の粘膜は変化がなく、胃の働きがおちて、胃の中に食べ物が残り小腸へ出て行くことがわかっています。だから飲食させずに、胃を休めることが大切です。

☆食事療法のやり方

)繰り返しはく時は、飲んだり食べたりするのを、すべてやめさせます。

○夕方はく時は、一晩寝てくれれば翌朝にはおさまることが多いのですが、朝起きてからはく時は、最低3~4時間、通常5~6時間(ひどい時は8時間)、飲んだり食べたりさせなければ、はき気は99%おさまります。

○はいた時に、脱水が始っていれば、のどが乾いて水を飲みたがりますが、飲ませてはいけません。どうしてもがまんができなければ、最低3時間以上たっていたら、氷の小さいかけらをなめさせて、がまんさせます。乳児は無理です。

○普通おなかはすかないことが多いのですが、すく時は硬いなめるあめをなめさせてがまんさせます。

)回復が始まると吐き気がおさまり、のどがかわきます。

はき気がおさまったら、まず飲み物から始めます。砂糖湯、お茶類、水などから始めますが、砂糖が5%くらい入っている方が、何故か吐きにくいようです。

 少しずつ時間をおいて、少量回数多く、ちびちび飲ませるのが吐かないで済むこつです。大人でも同じです。5~7歳くらいまでは、厳格にして下さい。その年齢を過ぎると、適当にしても吐かないことが多くなります。

吐き気が止まったら、

○コップに一口分だけ入れて飲ませ、20分位待ってはかないのを確かめて、まだ欲しがったら、次は二口分飲ませます。コップには必ず二口分だけにします。また20分位待って、はかなければ、次に欲しがったら三口分飲ませてもよいです。欲しがらない時はあげません。

○こうして少しずつ飲ませながら、はかないのを確かめて進めて行きます。

○もし又はいたら、また3時間飲ませずにいて、始めの一口からやり直します。

)少しずつ飲む量をふやして、コップ1/4杯までふやします。それ以上はふやさずに、欲しがれば20分位おいては繰り返しチョコチョコ飲ませます。

)コップ 1/4杯飲ませても、はかないようなら、リンゴジュース、みそ汁の汁だけ、乳酸菌飲料など、サラサラッとした飲み物を飲ませてもよいですが、量はふやさずにコップ1/4杯までとします。(丸一日はかなければ、飲む量の制限は解除してよいです。) ただしコーラや合成飲料や炭酸飲料、つぶつぶジュースなどはさけて下さい。高濃度の糖分と脂肪がよくないようです。

 それで、はかなければ、オレンジジュースや牛乳を飲んでも良いですが、量はコップ 1/4杯を守り、牛乳はふっとうさせたものを、膜を取って飲ませて下さい。ふっとうさせたあと、冷たく冷やしてもよいです。生ぬるい牛乳の方がはきやすいものです。また脂肪が吐き気をもよおします。砂糖を入れてもよい。

)おなかが回復してくると、食欲が出て、おなかがすきます。始めはあめでもなめさせて、がまんをさせるのですが、本格的におなかが回復してくると、あめをなめた位ではがまんが出来なくなりますから、固形食に進めます。

◇固形食の中では、消化の良い順は、欧米式の離乳食の順で考えて行きます。

①果物、特にバナナ、リンゴが良く、その他ジャムになるような果物や、メロンや西瓜のようにやわらかくつぶれるものがよく、みかん類、柿やパイナップルなどは、さけて下さい。みかん類の汁だけ飲むのは構いません。

②次が野菜類で、やわらかく煮えて、煮つぶしができる野菜、例えば人参、大根、ほうれん草、いも類などがよく、ごぼう、れんこん、きのこやたけのこなど、煮ても硬さがとれないものは避けて下さい。乳幼児ではねぎ類も避けて下さい。

果物や野菜は、お腹がすいてがまんできなくなってから与えます。

③第三が米、麦などの穀類です。おかゆ、おじや、パン、うどん、カステラなどがここに入ります。おも湯を作ることはありません。焼き立てのふかふかしたパンならそのまま食べてもかまいません。バターやジャムを使ってよいです。

 はき気がおさまったばかりですぐ穀類を食べると、またはいてしまうことがしばしばあります。消化に時間がかかる為、回復が長引くことが多いので、果物で満足できなくなってから与えます。でも本当にお腹が回復すると、穀類を食べないと、おなかがもたないです。

④もうここまで来たら適当にして大丈夫です。でも、うまくいかない時は、様子を見ずに、電話または来院して下さい。                            

☆脱水症状の見分け方

 子どもは、まず尿量が減り、それから尿回数が減ります。一番の目安は体重で、はき始めたらすぐ体重を量り、体重で判断するのが正確です。脱水で体重が減りますが、5%以下なら軽症、7~8%は中等症、10%で重症で、10%を超えると死亡する危険があります。中等症以上で点滴が必要です。

 症状としては、意識がうとうとして刺激があると目をあけますが、すぐうとうとし(眠いのではありません)、涙や唾液がでなくなり、唇や舌がかわいて、尿も出ず、手足も冷たくなります。うとうとするのを眠いのと間違えないこと。

どうしても、はき続ける時は、小児科医がいる病院へ行くことです。

私のやり方を守ってくだされば、99%大丈夫ですが、まれに、うまく行かなければ脱水が進行します。若い時に、点滴が間に合わなくて、死んだ子どもを沢山見ていますが、皆、はいてもはいても、飲み物を飲ましていたのです。吐くと、飲んだ分以上に、自分の唾液や胃液、逆流した十二指腸液(黄色や緑の液)をはき、飲まないよりも脱水の進行がはやいのです。吐き気が止まらず、様子がおかしければ、必ず受診して下さい。繰り返して言いますが、うとうとしているのは、脱水の中等度の症状で、眠いわけではないので、ぐったりしてうとうとしていたら、あわてて下さい。起きるのを待ってはいけません。 私の経験で、朝、吐き出してから、夕方にひどい脱水になった子どもは、皆3歳以下で、数え切れないくらいの嘔吐と、水様の下痢と、38.5℃以上の発熱がありました。4歳過ぎたら、すぐにはひどい脱水にはなりません。 吐き始めたら、胃を休めること。これをすることが、ポイントです。              小児科黒部信一

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ノロウイルスとはどんな病気?

2012-12-18 13:53:27 | 健康・病気

ノロウイルスって何?

今、報道されているノロウイルスによる集団感染は、どんな病気だろうか。

1.昔からある病気で、新聞報道以外でも、学校や幼稚園、保育所などで今流行しているウイルス性胃腸炎の一種です。ロタウイルスと共にウイルス性胃腸炎を起こす代表的なウイルスです。検査法の進歩により、短時間で検査できるようになったため、すぐ判り、感染力が強いため、騒がれているのですが、重症化することは少ないです。

2.特徴は、インフルエンザと同じく、自己規制的なウイルスで、ある程度体内で繁殖すると、繁殖を止めてしまうため、滅多に重症化せず、治ってしまうのですが、その為、かかった人がウイルスをまき散らすため、感染が広がるのです。吐き続け、脱水にならない限りと、余程免疫力が低下していない限り、死んだり、重症化することはありません。(嘔吐下痢対策は別紙) その理由は、生存本能から、かかった人が死ぬと自らも死んでしまい、子孫を残せないから、適度に繁殖を止めて次の人へ移って、効率的に種族を増やしていくのです。最近は、変異しているとも言われています。

3.ロタウイルスとは違い、ノロウイルスは、幼児期には軽度から中等度の下痢を起こし、乳児には重症の病気を起こさないと言います。主として年長児と成人に集団発生の胃腸炎を起こす最も一般的な原因です。集団の約三分の一がかかることが多いようです。免疫が2年以上は持続しないので、効果がなくなり、再感染します。それはインフルエンザと同じく、変異と関係あるようです。

4.症状は

 ノロウイルスは潜伏期間が短く(12時間)(別説では18~72時間)、嘔吐(吐くこと)と嘔気(はきけ)と腹痛が主症状であることが多い。下痢は起きる時も起きない(約半分くらい)ない時もある。嘔吐は成人より小児に多く、半数は37.5℃以上の微熱が出る。頭痛、筋痛も一般的。病気の期間も短く、普通は1~3日間(24~48時間)で一過性です。その為、症状や発生の仕方が食中毒によく似ているため間違えられることも多い。食中毒ではなく、ウイルス性胃腸炎です。症状と流行状況によって、ウイルス性胃腸炎は診断できます。効く薬はなく、治療には関係ないので検査は希望でします。

5.治療

 第一は脱水症の予防と治療が目的です。栄養状態の悪い人は、第二が栄養状態の維持です。普通の健康な子どもや成人は、嘔吐下痢の治療で、重症の脱水を防ぐことで十分です。

 ノロウイルスに効く抗ウイルス剤はないし、抗生物質も効果がありません。吐き気止めの薬や下痢止めの薬は、有効と証明されていないし、副作用の危険もあります。乳酸菌製剤類(ビオフェルミン、ミヤBMなど)は、重症度を軽くし、病気の期間を短くすることが認められています。

6.食事療法

 嘔吐や下痢が始まったら、何も飲ませずに、すぐに胃をからっぽにし、最低3~4時間から、吐き気がおさまらなければ5~6時間、胃を休ませること。

それによってほとんどの人(99%)は、吐き気がおさまり、口から水分を飲むことができるようになります。吐き気がおさまらなければ、おさまるまで待ちましょう。のどが渇いても飲ませてはいけません。適量のナトリウムとグルコースを含む経口補液剤OS-1(病院と一部の薬局にある)により、腸からの水分吸収が促進されると言いますが、軽い場合は水(子どもは湯冷ましがよい)やお茶類で充分です。

コーラ、ソーダ類、清涼飲料、果汁、スポーツドリンク、イオン飲料などの高濃度の糖分などは、嘔吐下痢がひどい子どもには飲ませてはいけません。

吐き気がおさまったら、水分補給は、6~8時間かけてゆっくり行ないます。少量を、回数を多く飲ませると吐かずにすみます。初期に点滴をすると、飲まないでいる時間をとれ、飲むことができるようになります。しかし、水分だけやうすめたミルク(私はうすめることを勧めません)だけを12時間以上続けると、ある程度の塩分や糖分が必要になるからよくありません。母乳は、吐かなければ飲ませてよいです。回復すると、まずのどが渇きますが、回復していなくても、脱水があるとのどが渇きますから、それで脱水がある程度あれば、点滴をします。嘔吐がなく、下痢がある程度おさまってきたら、お腹がすきます。始めは、甘い飲み物やあめをなめさせて我慢させるのですが、もっと回復すると我慢できなくなりますから、食事へ進めます。固形食は、果物特にリンゴやバナナから始め、ヨーグルト、野菜などへ進め、さらに炭水化物(おかゆやおじや、パン、うどん、じゃがいも、)や赤身の肉などへ進めます。脂肪を含む食品や単糖の多い食品(市販のジュースや炭酸飲料)は避けた方がよいです。

7.予防

 適切な手洗い(水か石鹸で十分)と隔離により、集団発生を防ぐことができます。胃腸炎ウイルスは効率よく感染するために変化していて、衛生的な社会でも感染します。

 家では、隔離することはありません。抵抗力の落ちた人だけが感染します。赤ちゃんは、別室に隔離して下さい。

便や吐いた物を扱う時は、病院や保育所、幼稚園、学校、飲食業などの場合は、手袋で処理した方が安全です。家では、処理後よく手洗いをすること。幼小児や高齢者では、適切な手洗いをしないことも多いし、その手で直接食べ物をつかんで食べたり、手や指をしゃぶったりすることで、感染しやすい。

 消毒は効果なく、吐いた物や下痢便がついたものは、よく洗い流すこと。消毒液の効果はないので、洗って日に干すことがよい。日光消毒が、一番効果があります。

8.感染経路

 便に汚染された食物や水の摂取を介して、人から人への感染です。汚染された手からもうつります。水を介した感染性胃腸炎の一般的な原因であり、養護ホーム、観光船、学校やサマーキャンプなどの施設での流行の原因である。

原因は、汚染された水、氷、氷菓子、貝(特にカキ)や甲殻類、サラダ(緑黄野菜)類、粉砂糖をかけたケーキやチョコレート菓子などが多いようです。

便へのウイルスの排泄は、発病後2~3日間で終わります。下痢が治るまでは、保育所、幼稚園、学校に行ってはいけません。空気感染は、文献上はありません。しかし、便からのウイルスの排泄も、下痢がおさまってからも1~3週間続くと言う報告もあります。

9.胃腸炎と呼ばれていますが、胃の粘膜の変化はなく、胃の働きが落ちて胃の中に食べ物が残り、小腸へ出て行くことが遅れることは判っています。そのために吐きます。結腸(大腸)の粘膜の変化も観察されていません。

 小腸では、主として小腸上部がおかされ、小腸の絨毛の粘膜細胞が消化と吸収の働きをしているのですが、この細胞が選択的に破壊されて、腸管の水分と電解質を分泌する細胞が残り、その結果、水分の吸収と分泌のバランスがくずれて下痢となります。二次的には乳糖の吸収不良や炭水化物の吸収障害も生じます。だから嘔吐さえ止まれば、水分を飲むことによって脱水を防ぐことができます。(ネルソン小児科学、ハリソン内科書より)

総合小児科 黒部信一

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