イ ン フ ル エ ン ザ と ワ ク チ ン の 話
1.インフルエンザウイルスによる典型的なインフルエンザの特徴
◎突然頭痛、身体の痛み(腰や手足)、だるさなどで始まり、次いで数時間以内に発熱、衰弱感、消耗感があり、ぐったりしたり、ごろごろ寝ていることが多く、のど、鼻水、咳などのかぜの症状は軽いことが多い。咳は出ないことも多い。
◎熱は37.5~40度くらいで、熱と頭痛が2~3日続く。熱がひいてから元気が出るのに1~2日かかり、半数に咳がひどくなり一週間くらい続く。
◎ウイルスに感染しても、50%以下しか発病しない。だから、必ずかかる訳ではない。新型が大流行しても、20~35%の発病率と予測されている。
◎毎シーズン日本の人口の約10%前後(だけ)がインフルエンザにかかる。
◎多く(99%)は自然治癒するが、高齢者・乳幼児ではまれに合併症が起きることがある。肺炎、脱水症、熱性痙攣、まれに子どもの急性脳症など。肺炎も8割は細菌性か、ウイルスと細菌の混合性だから、抗生物質が効くことが多い。
◎自然治癒する病気に、効果の低いワクチン(厚生労働省も有効性を認めていない)や、副作用のあるタミフル(10歳代の子どもへは原則使用禁止となる)を使う必要があるのか。しかも、ハイリスク(高齢者、肺気種や慢性気管支炎、気管支拡張症、塵肺などの病気がある)の人の方が、健康な人よりワクチンやタミフルの効果が低いと言う。新型ワクチンの有効性は明らかではない。
◎下熱剤や痛み止め(解熱鎮痛剤)は使ってはいけない。インフルエンザ脳症(大人も出ている)や子どもではライ症候群になる危険がある。解熱剤の使用が減ったらインフルエンザ脳症が激減して、タミフルの副作用が浮上した。
2.昨シーズンの流行したインフルエンザウイルス株は、A型香港型(H3N2)?A型ソ連型(H1N1)?B型で、毎年変異している。今年はA型の新型が流行しているが、今後別の型に変化するかもしれない。昨年の流行の後半はワクチン株ではなかった。それでH1N1は亜型を昨年の流行型にしたが、他は昨年と同じ亜型。でもワクチンで血中抗体を作っても、ウイルスは呼吸器内で繁殖し、血液中に入らないから、新型ワクチンは型があっても発病を抑えられない。
◎インフルエンザウイルスは呼吸器内でしか繁殖しないから8歳以上は下痢嘔吐をしない。するのは主に5歳以下。
3.インフルエンザワクチンの有効性、安全性はどうか。
①結論 「インフルエンザワクチンは、健康な高齢者の入院率と死亡率を減らす効果があるが、かかることを防ぐことはできない。子どもへの有効性はない。脳症を予防することも減らすこともできない。」私は、解熱剤を使わないことが、最大の脳症の予防であると考える。しかも、過去3年で死亡8名、重篤後遺症4名のワクチンの副反応報告が出ている。
② 厚生労働省は、「65歳以上の人の入院や死亡を減らす効果がある」とし、子どもに対しては、有効性を認めていない。だからワクチンへの公的補助は、65歳以上の人に対して、入院や死亡にかかる医療費の削減効果を期待して出しているのである。高齢者に対しても、インフルエンザを防げるとは言っていない。「99%自然治癒するものにワクチンやタミフルはいかがなものか。」と岡部元厚労省感染情報センター長も言っている。
③アメリカの公式(CDCによる)見解は(2006年7月発表)、インフルエンザワクチンの効果は、罹患阻止 (病気にかからない) 効果は30-40%、入院阻止 (入院しないで済む) 効果50-60%、死亡阻止効果は80%という。インフルエンザワクチンの効果は、かからずに済む効果は少なく、高齢者の入院や死亡を減らす効果があるという。子どもへの有効性も認めていない。
④また、子どものインフルエンザ脳症は、当初から解熱剤が疑われていたが、解熱剤の処方が減少するのと平行して、年々減少し、1998年には217名あったが、2004年には36名となり、2008年は28名であった。
厚労省研究班の報告でも、ワクチン接種者と非接種者とを比較して脳症の発生率に差がなかったという結果であった。タミフルの脳症予防効果は不明である。
4.タミフルは、日本以外の国では、普通の子どもや大人には使いません。イギリスでは「インフルエンザにかかった時に重症化するリスクがなければ、小児・成人ともタミフルの使用を勧めない」としているし、アメリカでも、1歳以上で「インフルエンザの重症化や合併症の高い人。どんな病気でもいつも重症化する健常児。かかると損失の大きい人。」に使うとしています。
タミフルは、発病後48時間以内に使うと、病気の期間を26%短縮する効果がありますが、肺炎を防ぐ効果も、高齢者の死亡を予防する効果もありません。乳児への安全性も判っていません。しかも副作用は、吐き気、気持ちが悪い、下痢や、めまい、幻覚、脳症、異常行動などで、死亡者も出ており、服用後24時間以内の、寝て起きた直後に出やすいといいます。タミフルを飲ませたら、いっときも目を離さないことで、昨年から10歳代には原則使用禁止となり、ほかのリレンザ、シンメトレルでも異常行動が報告されています。
5.他の予防法は効果があるのか。
①マスクの効果は?―ウイルスはマスクを通りぬける。マスクは、大量にウイルスをまき散らさない為に、かかった時にする、エチケットマスクという。
②うがいの効果は?―うがいをしても、ほこりなどは落ちても、ウイルスや細菌を洗い流すことはできない。
③手洗いの効果は?―手を洗うのは、汚れを落とすためで、ウイルスや細菌は落ちない。海外では、マスクもうがいも手洗いもしない。
④ 人混みをさけることは?―ウイルスは日光に弱いから、晴れた日は2m以上離れればうつらないが、曇りの日には風にのって数km飛ぶこともある。
人混みを避ければウイルスと接触する機会は少なくなるので、避けること。
⑤病気にかかったのは、身体のもつ自然の抵抗力が落ちたためで、自分の身体が休みなさいと言っているサイン。身体と心の休息が第一。薬を飲んで休息をとらないのは体に悪い。まず休息、次に薬。
★入学試験の時は一時的な対処法があるのでご来院の上、所長にご相談下さい
すずしろ診療所 黒部信一