読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

プロ野球重大事件-誰も知らない”あの真相” 野村克也 角川新書(角川oneテーマ21)

2013-03-06 23:42:42 | 読んだ
あの、野村克也が、プロ野球の重大事件を暴露するのか?
という興味を持って読んだ人はがっかりするのではないか。
重大事件を野村流に読み砕く、というようなもので、裏事情とか隠されていた真相、というものではない。

のだが、面白い。
先ず一つは、自分にかかわる「事件」のときは、ほとんど「恨み節」である。
で、他人のことは割と冷淡で冷静なものの見方、といっても「穿っている」という感じのほうがするけれど。

野村スコープの野球界版。といったほうがいいのではないか。
野村克也が見た、これまでのプロ野球。というもの、というカンジ。
まあ、私は今までも野村の本を割と読んできたので「またか」という場面も多いのだけれど・・・

さて、野村の目、野村スコープというのは、野球においてたった一つで最も重大なことがテーマである。
つまり「勝つ」ということである。

「勝つためには何をすべきなのか」ということが、彼の情報収集そして分析のテーマなのである。

そのなかで、なるほどと思ったのは、身体能力だけでは勝率を上げられない、ということである。

孫子にもあるように、「彼を知り、己を知れば、百戦して危うからず」なのであるが、あまり戦う人はこれをしないみたいである。
情報を集めて分析をして、勝つ方法を見つけて、身体を鍛える(=技術を高める)
一言でいうと、そういうことなのである。

でも、そんなことを、例えば私が言ったとしても誰もありがたがらない。
野村克也だから、ありがたがるのである。

なにしろ、たとえ話に出てくることが実際に起きたことなのである。

この本を読んで、今やっているWBCを見ると、日本は本当に勝つ気があるのか疑問に思える。
チーム構成に戦略がないように思えるのだ。
世界で勝つためには、日本はどう戦うかのか、その戦いを進めるにはだれが必要なのか。
ということがないように思える。

まあ、とりあえず各チームの主力を集めておいて、それからやろうか、みたいな・・・

例えば、野村野球は、これしか人がいないのなら、これをどうやって勝てるようにするのか考える。
でも、今回は、まず戦い方があって選手があると思うのだが・・・

本日は、キューバに3対6で負けた。
9回表までイライラさせられる展開であった。

特に打者なのだが、なんというか職人気質の選手が多いようで、打てないと悩む、悩んで練習するからなお深みにはまるようだ。
どこかにノー天気な奴がいないと、そういう雰囲気は壊せない。

今後どう戦うのか、興味があるが、ぜひ野村克也の本を読んではどうだろうか。
いまや、野村野球では勝てない、というのならそれを証明してもらいたいし、野村野球は基本理論であって現実とは乖離するのであれば、それを示してほしい。

野村野球が絶対だとか、特に優れているとは言えないが(私はいわば素人ですから)、理論的には非常に納得できる。

さて、WBCは野村の目、野村の考え方で観てみよう、と思っていたのだが、そうするとなんだか気持ちが沈んでしまう。
まあ、プロ野球が開幕すると、理屈も何もなく、ただひたすら東北楽天ゴールデンイーグルスを応援するのであるから、それはそれでいいか。


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