読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

代官山コールドケース 佐々木譲 文春文庫

2017-08-01 13:38:59 | 読んだ


地層捜査シリーズ第2弾なのである。

地層捜査は2011年にオール読物で連載完結したもので、私のブログでも紹介をしている。
紹介しているのに「アレ?俺読んだっけ?」となるから、老化は怖い。

この文庫は2015年12月に発刊されているが、こっちも読んだのか?という疑惑が自らの中にあり、購入をためらっていた。
奥付を見ると2012年5月から翌3月まで週刊文春に連載されていたとのこと。
では、連載では読んではいない。と、安心して購入。

本題に入る前に脱線してしまうけれど、週刊文春や週刊新潮にはかなり読みたい小説が連載されていることが多い。
本当のこと言えば、連載小説を読むだけでも購入したいのだが、近頃の週刊誌は、それ以外の記事で腹が立つ記事が多い。
腹が立つのは、どうでもいいことを大げさにすることと、週刊誌こそが正義、というような記事の書き方。
なので、購入しない。

だったら「dマガジン」で読めばいい、とは思うけれど。それもなんだか・・・なのである。
なんかしりすぼみになってしまった。

さて、代官山コールドケースである。
主人公は警視庁捜査一課・特命捜査対策室の水戸部裕(ゆたか)警部補

事件は、川崎市で起きた強姦殺人事件でDNA鑑定をしたら、17年前の未解決事件「代官山女店員殺害事件」の現場遺留資料から出てきたものと同一であることが判明した。
しかも、当時殺害犯ではないかとされて変死した者とは違う者のDNAと合致。

今回の川崎の事件がきっかけで、神奈川県警が警視庁の事案である過去の事件を掘り返し、警視庁の失態を暴かれると不面目である。
ゆえに、神奈川県警より先に「代官山」の真犯人を逮捕し面目を保つ。
但し、警視庁として解決済みの事件を警視庁が再捜査はできないので「偶然による解決」を目指す。
というのが、今回、水戸部君に与えられた使命である。

組織として動くことはできないが、全面的に支援する。
といったって、難しい話である。

しかも相棒は一人。
女性警察官、階級は巡査部長、年のころは40前後、身長160㎝あるか。
細面で、甘さのない意志的な顔立ち。
名前は朝香千津子。
水戸部より年上。そして、亭主・子供持ち。ゆえに18時には娘を保育園に迎えに行かなければならない。

という、条件。

17年前に解決したとされる事件を蒸し返して真犯人にたどり着く、ことでさえ無理難題に近いのに、さらに厳しい条件。
小説としては最大に面白い。
しかも、警視庁のメンツのためなのである。
正義として真犯人を見つけることではない。ということがバカバカしいが現実的である。

これだけ読めば、絶対に面白くなるはず、と読み進める。
で、面白い。

ただ一つだけを除いて。
それは、代官山の地形や、17年前の代官山の様子と今の代官山の様子をわかりたい。
そうしないと、彼らの推理に近づいていけない。
これが悔しい。

というわけで、いつか東京に行ったら代官山を歩いてみたいと思っている。







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