
みをつくし料理帖第3巻である。
NHKのテレビドラマはこのあたりまでが放映されたのではないか、と思う。
さて、本書は
豊年星 - 「う」尽くし
想い雲 - ふっくら鱧の葛叩き
花一輪 - ふわり菊花雪
初雁 - こんがり焼き柿
の4話が収められている。
で、先ずは主人公「澪」の成長が著しい。
そして、何回も言うが「えらい」「けなげ」である。
まあ、時々カッとなってムチャもするけど・・・
そういう主人公であるから、周りが何かと助けてくれるのである。
誰かに助けてもらいたいなら、だれでも助ける。
誰かに愛されたいなら、だれでも愛する。
ということなのだなあ、とつくづく思うのである。
さて、物語は、澪のためにかけがえのない珊瑚の簪を売った「芳」であるが、それを『つる家』の「種市」が見つけ買い戻した。
しかし、芳の子、天満一兆庵の佐兵衛とともに江戸で働いていた富三に騙されて取られてしまう。
一体、富三は佐兵衛とどのようにかかわっていたのか?
そして、土用の丑の日には「う」のつくもの、「うなぎ」を出さなければならないのだが、値段が高いつまり庶民には高根の花。
そこで澪が考えたのは?
また江戸では鱧をたべる習慣がないことから料理する人がいない。
澪が料理することとなるが、その場所は、澪の幼馴染の「野江」つまり「あさひ大夫」のいる廓、翁屋。
女には料理などできないと、翁屋の主人伝右衛門が機嫌悪く食すが、あまりのうまさに涙する。
自ら『鬼の目に涙』といい、澪を認める。
また一人、澪を助ける人が出てくる。
そして、思いもかけず、野江と近づくことができた澪。
商売繁盛の「つる家」とまねて女料理人を売りにする店が出始める。
そして、なんと昔の「つる家」の跡地に同じ屋号の「つる家」が出店。しかも女料理人。
登龍楼で、澪やふき、そしてつる家をひどい目にあわせた末松が開いた店であった。
それでも料理では負けていないので客は戻ると踏んでいたが、偽つる家が食中毒をおこし、本物のつる家も巻き込まれ、客足は遠のく。
起死回生につきに三回「三方よしの日」をつくり酒を出すことにする。
そして客足も戻りつつあるなか、新しい料理「菊花雪」を生み出す澪。
そんな澪を小松原は「駒繋ぎ」の花にたとえて
『その花は、いかなる時も天を目指し、踏まれても、また抜かれても、自ら諦めることがない』
『見習いたいものだ』
と告げる。
つる家の「ふき」の弟・健坊がふきを訪ねてきて
『登龍楼をやめて、一緒に暮らしたい』とうったえる。ふきは心を鬼にして登龍楼へ帰すが、登龍楼から健坊が帰っていないとの探しに来る。つる家に関わりのある人たちは健坊を探すがなかなか見つけられない。ふきはものを食べられない状態になってしまう。
そして澪も料理に身が入らず味付けを間違う。
そんな澪に「りう」が言う。
『どんな時にも乱れない包丁捌きと味付けで、美味しい料理を提供し続ける。天賦の才はなくとも、そうした努力を続ける料理人こそが、真の料理人だとあたしゃ思いますよ』
食べられないふきのために「やき柿」をつくり食べさせると、ふきは立ち直る様子。
そんな時に健坊がみつかり戻ってくる。
種市は、健坊を登龍楼から引き取る決意をするが、りう、芳に反対される。そして澪が
『私も健坊と似た境遇だからわかります。甘えさせてもらえるなら際限なく甘え、優しくされるのが当然になる―――そうなってしまっては駄目なんです』
ほんと泣かされる。

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