雨が続く夏、楽天イーグルスは負けが込み、仙台育英は春優勝した桐蔭学園を破ったものの敗退、8月後半は心が沈むようなできごとばかりで「あ~あ」というカンジであります。
ところが、そんなとき読書は進むわけです。
ということで、小説新潮8月号で最終回を迎えた、隠蔽捜査シリーズの最新版「棲月」を読んだのであります。
毎回のように言っていることでありますが、連載小説特に推理ものは毎月読んでも時々つながりがわからなくなるので、最終回を待ち、そして読む、ということをしているのです。ただし、すごく長い連載の場合は大変です。そんな時は、文庫が出るまで待つ。
つまり、私の読書は待つから始まるのであります。
さて、隠蔽捜査です。
題名の「棲月」というのは、筆者の造語ではないでしょうか?
棲むはおおむね住むということではありますが、「棲棲(せいせい)」は、あわただしいさま。忙しいさま。ということがネットで調べたらありましたので、その意味も込めてあるのかな、と思いました。
で、主人公の竜崎大森警察署長は忙しいのである。
ともかくも、書類の決裁をするのが大変である。
この決裁であるが、おおむね内容を見ずにハンコを押すいわゆる「めくら判」(不適切な表現の指摘は甘んじて受けます)がふつうであるのに、竜崎は書類に目を通すので時間を要するのである。
そして事件発生。
一つ目は私鉄のコンピュータ異常、続いて銀行も。
竜崎は、その事件が管轄を越えていることは承知だが、「最初に気づいた者が動く」という信念のもとに捜査員を派遣する。
管轄ではなく警察全部のこと、もっと言えば国民全体のあるいは社会の平和維持が警察の役目ということを認識しているからである。
社会や組織というのは、ナワバリとか役目に縛られているが、それが、全体の損につながることがある。竜崎はだから捜査員を派遣した。
で、そこに横やりが入る。
「それは俺の管轄だ、役目だ」
という人が現れる。
でも、竜崎は気にしない。
やるべきことは何か、が重要であって、誰がやるかなんて気にしないのである。
事件の最中なのにナワバリ争いでごたごたしている最中、幼馴染の伊丹刑事部長から電話あり「異動があるかも」と知らされる。
異動なんて言葉には動揺したことのない、というか異動なんて当たり前の事柄と受け止めている竜崎だが、なぜか大森警察署長から移動という言葉に心がざわめく。
また、長男にポーランドに留学したいと相談される。
そして二目の事件、殺人事件である。
殺人事件の捜査本部が大森警察署に設置され捜査が動き出す。
ということで、二つの事件とそれに関わるナワバリ調整、人事異動、長男の留学という大忙しになる。
そして住み慣れた大森警察署長室、官舎とも別れなければならない。
いや、それ以上に大森警察署長という、これまで経験したことのなかった職、部下たちとも別れなければならない。
ということが入り交ざっている。
それが「棲月」ということに表れているのではないか、と解釈したのである。
それにしても竜崎は私の心の師である。
「原理原則」は最も強いことである。それを貫くには強い人間でなければならない。
竜崎は「強い」ゆえに「変わり者」と評される。
変わり者は人の心をあまり考えない。
なにしろ
『俺の言っていることがずれているとしたら、ずれているのは世の中のほうだ』
というやつなのだ。
しかし、署長になってから竜崎は変わった、と妻・冴子から言われる。
それは、人の心を認めてきたのだということなのだろう。
事件の動き、陣頭指揮を執る竜崎の推理も面白いが、それに絡む家族との関係、署員との関係、も面白い。
隠蔽捜査シリーズは 面白い!
ところが、そんなとき読書は進むわけです。
ということで、小説新潮8月号で最終回を迎えた、隠蔽捜査シリーズの最新版「棲月」を読んだのであります。
毎回のように言っていることでありますが、連載小説特に推理ものは毎月読んでも時々つながりがわからなくなるので、最終回を待ち、そして読む、ということをしているのです。ただし、すごく長い連載の場合は大変です。そんな時は、文庫が出るまで待つ。
つまり、私の読書は待つから始まるのであります。
さて、隠蔽捜査です。
題名の「棲月」というのは、筆者の造語ではないでしょうか?
棲むはおおむね住むということではありますが、「棲棲(せいせい)」は、あわただしいさま。忙しいさま。ということがネットで調べたらありましたので、その意味も込めてあるのかな、と思いました。
で、主人公の竜崎大森警察署長は忙しいのである。
ともかくも、書類の決裁をするのが大変である。
この決裁であるが、おおむね内容を見ずにハンコを押すいわゆる「めくら判」(不適切な表現の指摘は甘んじて受けます)がふつうであるのに、竜崎は書類に目を通すので時間を要するのである。
そして事件発生。
一つ目は私鉄のコンピュータ異常、続いて銀行も。
竜崎は、その事件が管轄を越えていることは承知だが、「最初に気づいた者が動く」という信念のもとに捜査員を派遣する。
管轄ではなく警察全部のこと、もっと言えば国民全体のあるいは社会の平和維持が警察の役目ということを認識しているからである。
社会や組織というのは、ナワバリとか役目に縛られているが、それが、全体の損につながることがある。竜崎はだから捜査員を派遣した。
で、そこに横やりが入る。
「それは俺の管轄だ、役目だ」
という人が現れる。
でも、竜崎は気にしない。
やるべきことは何か、が重要であって、誰がやるかなんて気にしないのである。
事件の最中なのにナワバリ争いでごたごたしている最中、幼馴染の伊丹刑事部長から電話あり「異動があるかも」と知らされる。
異動なんて言葉には動揺したことのない、というか異動なんて当たり前の事柄と受け止めている竜崎だが、なぜか大森警察署長から移動という言葉に心がざわめく。
また、長男にポーランドに留学したいと相談される。
そして二目の事件、殺人事件である。
殺人事件の捜査本部が大森警察署に設置され捜査が動き出す。
ということで、二つの事件とそれに関わるナワバリ調整、人事異動、長男の留学という大忙しになる。
そして住み慣れた大森警察署長室、官舎とも別れなければならない。
いや、それ以上に大森警察署長という、これまで経験したことのなかった職、部下たちとも別れなければならない。
ということが入り交ざっている。
それが「棲月」ということに表れているのではないか、と解釈したのである。
それにしても竜崎は私の心の師である。
「原理原則」は最も強いことである。それを貫くには強い人間でなければならない。
竜崎は「強い」ゆえに「変わり者」と評される。
変わり者は人の心をあまり考えない。
なにしろ
『俺の言っていることがずれているとしたら、ずれているのは世の中のほうだ』
というやつなのだ。
しかし、署長になってから竜崎は変わった、と妻・冴子から言われる。
それは、人の心を認めてきたのだということなのだろう。
事件の動き、陣頭指揮を執る竜崎の推理も面白いが、それに絡む家族との関係、署員との関係、も面白い。
隠蔽捜査シリーズは 面白い!
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