読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

熊沢天皇事件論争 歴史読本7月号別冊付録

2007-06-03 18:11:11 | 読んだ
歴史読本7月号は「検証 後南北朝秘録」である。
その別冊についていたのが「熊沢天皇事件論争」である。

熊沢天皇というコトバがあることは知っていたが、それが何のことなのかよくわからなかった。何しろ南方熊楠と熊沢天皇の区別がよくわからなかったくらいだから・・・

というわけで、別冊を読んだわけである。
次の作品というか論文が載っている。

・自称天皇はどうして生まれるか     瀧川政次郎  昭和32年文藝春秋
・系図の偽作に就いて          渡辺世祐   昭和26年日本歴史
・皇統に関する熊沢一派の俗論を筆誅する 村田正志   昭和26年日本歴史
・熊沢天皇 吉野巡幸記         瀧川政次郎  昭和25年文藝春秋

の4編である。

戦後いわゆる「自称天皇」がずいぶん出たらしい、そのほとんどが南北朝時代の南朝の子孫であると言う。

我こそは天皇家の正統である南朝の子孫である、というのが概ねの主張。
これが、その出典資料の真偽やこれまでの研究などから大論争になったということらしい。

戦後、いわば「何でもいえる」という時代になったことから、先祖代々伝わった伝承である「我こそ天皇家の正統である」ということを世間に向かって話し出す人々が出てきて、それをGHQが利用したのが熊沢天皇。
(熊沢氏の先代は明治時代から政府などに対して、申し立てをしていたが、世間に知られるようになったのが戦後ということ)

で、一端言い出したら引っ込みがつかなくなって、専門家たちからはヤイノヤイノいわれ、その反駁をするが、資料が怪しい・・・

天皇家にまつわる話は明治以来タブーにされ、なおかつ現在の皇統とは別の「南朝」が正統とされたことなどから、研究者たちもその研究成果を明確に表すことができなかった、と思う。
それが、この騒動によって、研究の成果を語ることもでき、さらなら研究も行うことができ、ある面ではイイコトだったようにも思える。

南北朝時代に分かれた家系の人がある日突然「私が正統なる天皇である」というのは、普通に考えておかしいと思うのであるが、天皇の戦争責任とか色々なことと重なって、こんな騒動になったと思うのである。

ひとつ気になっていたことを知ることができてよかったと思うのである。
そして、この論文の並べ方もよかった。
特に最後の「熊沢天皇 吉野巡幸記」は、熊沢天皇の人となりがあらわれていて面白かった。

それにしても、その後の熊沢天皇はどうなったんであろう。

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