気温は決して暖かくはないが、ジーンズにTシャツ、そしてスニーカー、ポケットに小型カメラを突っ込んでニューヨーク国際オートショウに出かけてきた。新車の乗用車には興味を抱かないが、ピックアップやデモカーには興味がある。会場のデスプレイや集客状態を客観的に見る事によって自動車市場のトレンドなどを感じる事も出来るが、それはビジネス的な視点というよりもお祭り的な視点であり、クルマを見る事が好きな自分にとっては好都合な機会なのである。
JEEP。今回ジープに見たものは性能や機能ではなくて、その商売の上手さである。ジープはクルマを売ってはいるが、同時にカルチャーを広めている。それはジープを手に入れる事によって人生が更に楽しくなるという感覚である。それはオフロードビークルというのは大自然と人間とを繋ぐ媒介体であり、目の前に広がる大自然をいかに自分に取り込む事が出来るのかと問う時に、ジープに乗って大自然の中を走る事によってその自然を味わった気持ちになれるのである。英語では CONQUER (征服) DOMINATE (支配)という表現がよく使われる。つまり大自然をジープで走る事によってその自然を自分の物にしたぞ!という感覚が得られるのである。
ジープはSUVではあるが、やはりジープである。その辺の差別化はきっちりとしておりオフロードをきちんと走る事が出来るという事がまず前提となっている。
ラングラーの最高位に君臨する新型のルビコンはユタのモアブやシェラネバダの岩場を走る事が出来る仕様であるが、そのルビコンという名はそのままステイタスとなってしまった。
35度の傾斜を楽々と登るラングラーアンリミ
背後はコンクリートのジャングルです。
これは新型チェロキーの中から撮った35度の傾斜。
ジープを運転しているおっさんの話題の焦点が、ジープに装備されている電子機能を使えばいかに楽々オフロードを走破する事が出来るかについてであった。ジープに装備された電子機能を使って起伏に満ちた路面を走破して、それがどうしたんだよ。という冷めた気持ちで話を聞いていたが、世の大衆にとっては『やっぱ ジープって凄い!』と感動する人が多いのだろうな、と思った。
アプローチアングル、デパーチャーアングルなどジープ各種というクルマに合わせて整備されているのは分るが、それでも乗客は5分に満たないこのコースをジープに乗せられて走って感動する。
それは、このコースが非日常的であるからだ。
このコースをジープに乗せられて廻る経験をする為には個人情報を入力しなければなりません。ジープにとって我々は将来の見込み客という事ですね。しつこい電話は疲れるが、ラングラーのカタログ郵送ならウェルカムです。
100Mx100M程の広さがあれはニューヨークの都会のど真ん中でもスリリングな走行が安全に楽しめるという可能性をも示してくれている。ガードレールもちゃんとありますからね。
それにしてもよく出来ていますねこの起伏コースというのは...。
ジープのターゲットは少年達でもある。子供の時に親子で乗ったジープは長く心の中に思い出と共に残るであろう。そこでヒャッと感じた驚きや車内の揺れなどは、おそらく一生忘れることはないであろう。そう思うとジープのマーケッテングというのは戦略的でよく考慮されたものだと思う。アメリカでジープが売れ続けている理由が分るというものだ。僕もジープ(ラングラー)が欲しいと思う時がある。しかし、手に入れようと決意出来ない大きな理由がある。それはその数(街を走るラングラーの数)が多過ぎると感じているからなのだ。
大自然を征服する為にジープがある。
...
しかし、ジープが征服したのは大自然(だけ)ではなくて。
その実態は大衆である。
つまり、ジープは大衆を征服したと言う事です。
...そこがジープの凄いとこなんスね。
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