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50歳からが人生の第二段階、中年の始まりです。より良き老後のために良き習慣を身に付けて新しい生活を始めましょう。

私の読書論166-私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後)初読編-楽しい読書335号

2023-02-01 | 本・読書
古典から始める レフティやすおの楽しい読書【別冊 編集後記】

2023(令和5)年1月31日号(No.335)「私の読書論166-
私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後編)再読編&初読編」



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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2023(令和5)年1月31日号(No.335)「私の読書論166-
私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後編)再読編&初読編」
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 今年も「私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後編)」です。

 <フィクション系>は、文字通りフィクション、
 小説等の創作物を指します。

 まずは、<再読編ベスト3>、次に<初読編ベスト3>を。


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 - 懐かしの冒険サスペンスと懐かしの人生?ミステリ -

  ~ 私の年間ベスト3・2022フィクション系(後編) ~

  <再読編ベスト3>&<初読編ベスト3>

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 ●<再読ベスト3>

再読24冊から、前号で<再読ベスト3>の候補をあげています。

『果てしなき旅路』『血は異ならず』ゼナ・ヘンダースン
『マンハンター』ジョー・ゴアズ
『縮みゆく人間』『地獄の家』リチャード・マシスン
『きみの血を』シオドア・スタージョン
『鳥』ダフネ・デュ・モーリア
『怪奇幻想の文学 I 深紅の法悦』紀田順一郎、荒俣宏/編
『ドラキュラのライヴァルたち』マイケル・パリー編
『闇の展覧会1・2』カービー・マッコーリー/編


ここから<再読ベスト3>を発表します。

(3)『果てしなき旅路』ゼナ・ヘンダースン

前号でも紹介しましたように、左利きの問題との関連で、
私にとって忘れられない作品です。
地球に不時着した異星人が、地球人のなかでの生活になじむべく、
超能力を封じて暮らす、というお話。
詳しくは、↓

第625号(No.625) 2022/9/3
「2022年8月13日国際左利きの日合併号(続)
左利きとアイデンティティ ~《ピープル》シリーズから考える」
2022.9.3
2022年8月13日国際左利きの日合併号(続)左利きとアイデンティティ
-週刊ヒッキイ第625号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2022/09/post-bbbde2.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/4db1239925b49f49fc58073cbe1d5f73


(2)『縮みゆく人間』リチャード・マシスン

ある事情で身体が縮んでしまうようになった男性の物語。
冒険サスペンスものでありながら、人間とは何か、夫婦とか家族とか、
人間関係とは? といった問題を考えさせる。
ラスト、いよいよ命の終わりかと思うと、実は……、という傑作。
生きるってことは大変なことなのです。

(1)『マンハンター』ジョー・ゴアズ

アクションたっぷりのハードボイルド・ミステリながら、
いや、それだからか、学生時代の女の子との思いを胸に、
汚れた世界で一人奮闘し、悪と戦う男の姿が、美しい物語です。


★☆★☆ <再読ベスト3> ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

・『果てしなき旅路』ゼナ・ヘンダースン/著 深町眞理子/訳
ハヤカワ文庫 SF ピープル・シリーズ 1978/7/1(1959)



・『縮みゆく人間』リチャード・マシスン 吉田誠一/訳
 ハヤカワ文庫NV 1977

・『マンハンター』ジョー・ゴアズ 山中誠人/訳 角川文庫 1978



☆★☆★☆★☆★☆★ ☆★☆★☆★☆★☆★ ☆★☆★☆★☆★☆★


 ●<初読ベスト3>候補

次に初読21冊から<初読ベスト3>候補を挙げてみましょう。

『バーニーよ銃を取れ』トニー・ケンリック
『ハメット』ジョー・ゴアズ
『探偵コナン・ドイル』ブラッドリー・ハーパー
『オクトーバー・リスト』ジェフリー・ディーヴァー
『木曜殺人クラブ』リチャード・オスマン
『祖父の祈り』『父親たちにまつわる疑問』マイクル・Z・リューイン
『硝子のハンマー』貴志祐介
『下町ロケット ガウディ計画』池井戸潤
『ある日どこかで』リチャード・マシスン

まあ、こんなところでしょうか。

『バーニーよ銃を取れ』は、
ひょんことからギャングの親分を敵に回すことになった
一般人の男三人の戦い。
プロの軍人を教官に訓練に励み、決戦を迎えるが……。

次の二つは、作家ハメットとコナン・ドイルが探偵役となるミステリ。
それぞれ事実と虚構が相まっておもしろいものになっていました。

ラストのどんでん返しが魅力のディーヴァーの意欲作、
『オクトーバー・リスト』は、逆進行のミステリ、スゴイの一語。

『硝子のハンマー』は、テレビ・ドラマで見た作品の原作。
密室殺人の謎解きと、犯人側のドラマと二倍楽しめ、かつ意外なラスト。

『下町ロケット ガウディ計画』は、『下町ロケット』の続編で、
私は、工業高校の機械科卒で、級友にも町工場の社長の息子などいて、
そういう部分での興味もあり、物作りにかける思いといった内容も、
楽しめるものでした。
(そういう意味では、朝ドラの『舞いあがれ』も、
 わが故郷、中小企業の町、東大阪が舞台の一つであり、
 町工場を継いだ父親の夢を実現しようと奮闘する主人公、
 という面も含めて、興味深く毎朝視聴しています。)

『ある日どこかで』は、時間の壁を超えて出会う男女の恋物語。
映画化もされ、宝塚歌劇でも上演されたという作品の原作です。
しかし、これは死を宣告された青年の狂喜が生み出した妄想なのか、
実際に起きた奇跡なのか、どちらにも解釈される仕掛けが、
この作家らしいといいますか……。

『木曜殺人クラブ』『祖父の祈り』のふたつは、
老人が主人公となるお話で、今や老人の一人となった私にとっても、
興味深い内容でした。

前者は、高級老人ホームで起きた殺人事件をミステリ好きのメンバーが
探偵に乗り出すというストーリー。過去の事件の影が長い尾を引く物語。
各人の過去の人生の秘密が暴かれて行き、それぞれに興味深い内容で、
人生の重さといったものを改めて実感させられます。

後者は、コロナ禍を思わせるパンデミック下の近未来のアメリカを
思わせる町が舞台とする作品。
感染して亡くなった妻との約束を守るため、
同じく亡くなった娘の夫に代わり、
祖父が娘とその息子(孫の少年)を守り抜くという決意を貫く物語。
男の役割といったものを全うしようとする老人の戦い。

再読したダフネ・デュ・モーリア『鳥』中の表題作「鳥」も、
妻と子供たちを守る夫のお話で、
カービー・マッコーリー/編のホラー・アンソロジー『闇の展覧会1』
巻末の短い長編ともいうべきキングの「霧」も、
息子を守る父親の戦う姿が描かれている作品でした。
こういう物語には、グッとくるものがあります。

『父親たちにまつわる疑問』は、
異星人を名乗る心優しい青年にまつわる事件を、“心優しき私立探偵”
アルバート・サムスンが解決する、心優しいお話。


 ●<初読ベスト3>

では、<初読ベスト3>の発表。

(3)『バーニーよ銃を取れ』トニー・ケンリック
他人の講座から預金を盗み取ったものの、相手はギャングの親分。
追い込まれたバーニーたちは銃を取るが……。
鬼軍曹を教官に特訓を受け、作戦を練り、対決する!
この過程と実際の決戦がおもしろい冒険サスペンス。


(2)『ある日どこかで』リチャード・マシスン

私は、ジャック・フィニイのノルタルジック・ファンタジーとでも
呼ぶのでしょうか、一連の短編が好きで、大切にしています。
彼には時間を超えるファンタジーの長編もあります。
この『ある日どこかで』も
そういうフィニイの長編をリスペクトした作品になっています。
実はフィニイの作品も未読で、ずっと将来の楽しみに取ってあるのです。
この長編も実は、そういう一冊だったのですが、
このたび、他のマシスンの本を整理するので、これも読んでみました。

ラストの仕掛けをどう評価するのか、というところが分かれ目か?


(1)『木曜殺人クラブ』リチャード・オスマン

偶然ですが、こちらもリチャードさんですね。
それはさておき、上にも書きましたように、この長編は、
老人の探偵クラブの謎解きゴッコなのですが、
それぞれの登場人物の過去が暴かれるなかで、人生の重さといいますか、
人の世の浮き沈みと生き方、その心情の動きなど、
なかなか読ませるものがありました。

p.29(羽田詩津子訳)
《人はある年齢を超えたら、やりたいことはほとんどできる。
 医者や子どもたちを除けば、やめろと言う人もいない。》

p.59(羽田詩津子訳)
《トニーは運を信じていない。彼が信じているのは努力だ。
 準備がおろそかになれば、失敗は目に見えている。
 トニーが教わった年老いた英語教師はかつてそう言った。
 それを忘れたことは一度もない。》

p.118(羽田詩津子訳)
《人生では、よい日を数えるようにしなくてはならない。
 そういう日をポケットにしまって、
 いつも持ち歩かなくてはいけない。》

p.200(羽田詩津子訳)
《おれたち全員が弱ってきている、(略)ちょろいもんだ。
 ひとひねりだ。そうだろ? 造作もないにちがいない。
 だが、いいか、ここには人生で何事かを成し遂げた人もいるんだ。
 ちがうか?》

p.283 (羽田詩津子訳)
《よく時が傷を癒やすと言うが、人生にはいったん壊れたら、
 決して治せないものがある。》

p.436(羽田詩津子訳)
《自分は一人でやりたいことをして、満足している人間なのか? 
 それとも、手に入れたものだけでどうにか納得しようとしている、
 孤独な人間なのか? 一人なのか孤独なのか?》

等々、気になる文章が出てきます。

次の作品も出版され好評のようです。また読んでみたいものです。


☆★☆★ <初読ベスト3> ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

・『バーニーよ銃を取れ』トニー・ケンリック 上田公子/訳 角川文庫 1982

・『ある日どこかで』リチャード・マシスン 尾之上浩司/訳
 創元推理文庫 2002



・『木曜殺人クラブ』リチャード・オスマン 羽田詩津子/訳
 ハヤカワ・ミステリ 2021



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 ●選外――マイクル・Z・リューイン

選外として、やはり特筆したいのが、マイクル・Z・リューインの作品
『祖父の祈り』と『父親たちにまつわる疑問』です。

・『祖父の祈り』マイクル・Z・リューイン 田口俊樹/訳 ハヤカワ・ミステリ 2022

・『父親たちにまつわる疑問』マイクル・Z・リューイン 武藤陽生/訳
 ハヤカワ・ミステリ文庫 2022

・『ミステリマガジン』2022年9月号(No.754)
特集:マイケル・Z・リューイン生誕80周年(早川書房 2022.7.25)



《リーロイ・パウダー警部補ものの本邦初訳の短篇と
 私立探偵アルバート・サムスンものの書籍未収録短篇の再録、
 リューインからの特別メッセージと近況、
 リューイン・ファンの作家たちによるエッセイなどで、
 巨匠の魅力を再確認していく》――という特集号も。


『祖父の祈り』は、上にも書きましたように、老人が家族を守るお話。
まだまだ俺にもやれる、といった独白もあり、
年老いた男の生き方の一つの在り方を描きます。
今や老人となってしまった私の心に響くものがありました。

p.70(田口俊樹訳)
《生きていくことこそなにより重要なことだ。それが妻との約束だった。
 息を引き取る直前に(略)「あの子たちをお願いね」/
 「任せておけ」老人はそう約束したのだった。》

p.66(同)
《あの男はおれを欲しがってたんだ。このおれを! 
 まだまだおれは現役だということだ。》

p.76(同)
《自分の仕事をきちんとやってのけたのだ。おれは役に立った。》

p.151(同)
《老人の望みはここから出ることだった。
 家族みんなでここを逃れることだ。それができないなら、
 せめて今いる場所でより安全に暮らせるよう努力するしかない。
 壁を強化して、ドアも補強して……
 そういうことこそおれの“役割”だ。》

p.198(同)
《任務はまだ完了していない。今はまだ。
 それでも老人には証明できた
 ――家族のために脱出のチャンスをつくるだけの力は
 おれにはまだ残されている。》


『父親たちにまつわる疑問』は、かつて私が大好きだった
“心優しき私立探偵”アルバート・サムスンの最新作。
久しぶりの新作の翻訳の登場で、おおいに期待しました。
短編集なので、そういう意味ではちょっと物足りないともいえますが、
事件の依頼者の性格といいますか、人間性がまたサムスンと合っていて、
この二人の絡みがおもしろいものでした。

初めての人もぜひ読んでいただきたい、
心優しい気持ちになることでしょう。


【追記】――<左利きミステリ>

前回、「●(3)小説や左利き本等著作のための勉強本」
の段で、<左利きミステリ>を二点紹介しました。

もう一つ忘れていたものがあるので、追加しておきます。
<初読ベスト3>にも選んだ

『木曜殺人クラブ』リチャード・オスマン

です。

事件の捜査に当たる地方警察の女性警官ドナーの妄想として、
<左利きネタ>が登場します。
手柄をたてて刑事になりたい彼女は、
実は、老人探偵クラブの警察側の情報源として、
クラブの面々の企みによって捜査にくわえてもらえたのでした。

p.125(羽田詩津子訳)
《「鑑識に筆跡を調べてもらったら、何がわかったと思いますか?」
 クリスは興味がなさそうなふりをするだろうが、
 実はそうではないことはわかっている。
 「トニー・カランは実は左利きだったんです」》

よくある<左利きネタ>です。

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 ★創刊300号への道のり はお休みです
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本誌では、「「私の読書論166-私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後編)再読編&初読編」」と題して、今回も全文転載紹介です。

再読編と初読編のベスト3の紹介でした。
初読編は選外として、マイクル・Z・リューインの新作を紹介しました。
これもオススメです。
『祖父の祈り』は、コロナ禍に関する本は読んでこなかったので、初めての作品でした。
そういう意味でも家族を守る男/老人(祖父)の本としても、心に残る作品でした。

家族を守る男(父親)の物語としましては、再読本の中に、キングの「壁」や、デュ・モーリアの「鳥」などがありました。
これらは、作品のストーリー的にも優れたものでした。
機会があれば、ぜひお読みください。

 ・・・

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『レフティやすおのお茶でっせ』
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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
私の読書論166-私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後)初読編-楽しい読書335号
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