南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

介護料ー遷延性意識障害(植物状態)者について 2

2005年10月24日 | 遷延性意識障害
 赤い本が示す基準は以下のとおりです(2005年版による)。
1 入院介護費
   職業付添人=実費全額
   近親者付添人=日額6500円
2 将来介護費
   職業付添人=実費全額
   近親者付添人=日額8000円

 上記の基準についてはいくつか留意すべき事があります。
1 上記の介護費用は必ず支払われるというものではありません。
赤い本では、入院介護費については、
「医師の指示又は受傷の程度、被害者の年齢等により必要があれば」
という限定がついていますし、将来介護費についても、
「医師の指示又は症状の程度により必要があれば」という限定がついています。
 これらの点について、裁判になる場合は立証していかなければならないということです。
 特に、入院介護費については、基本的には基準看護(いわゆる完全看護)体制がとられている病院では、看護士以外の看護は必要ではないのではないか?という主張が、被告(加害者)側から出ることが多いのです。
 赤い本も認めているように、一定の要件のもとでは、介護料が認定されますが、将来の介護費よりも低い金額にとどまっている(近親者介護の場合)のは、看護士の看護があるからとその分近親者介護としては評価しないと裁判所が考えているからであると思います。
(続)
 
     

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

介護料ー遷延性意識障害(植物状態)者について 1

2005年10月24日 | 遷延性意識障害
 遷延性意識障害(植物状態)者には介護が必要です。
 そこで、民事の損害賠償請求においても、介護料が認められます。
 「介護料」という言い方のほかに、「付添費」「看護費」などとも言われますが、同じ意味です。
 遷延性意識障害(植物状態)者の介護には多大な時間と労力を費やさねばならないのですが、それに見合った介護料を損害賠償請求で得られているのでしょうか。
 交通事故の損害賠償実務に携わっている人々が参照する本として、「赤い本」と呼ばれているものがあります(正式名称は、「損害賠償額算定基準」です)。
 この赤い本は、東京地裁交通部のスタンダードな考え方を示したものと捕らえられています。
 これによれば、介護料は、症状固定前と症状固定後で区分けされ、
  症状固定前は「入院付添費」
  症状固定後は「将来の付添費」
と名付けられています。
 また、損害賠償の請求では、介護を誰がするかで
  親族が介護する場合を「近親者付添人」
  プロの方が介護する場合を「職業付添人」
として分けており、それぞれ金額が違います。
(続)


  

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする