南斗屋のブログ

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明治初年の被告人の扱い方 仮刑律的例 #7罪囚人取扱方

2023年08月10日 | 仮刑律的例
#仮刑律的例 #7罪囚人取扱方

(明治元年十一月、但馬村岡藩からの伺)
【超訳】
(伺)
被告人となった武士を裁判のために連行するのに乗物を使用してよいですか。
(返答)乗物を用いよ。

・三度の食事は一汁一菜で良いでしょうか。
(返答)そのとおりでよい。

・刃物等は渡さないということでよろしいか。爪切りは番士の内でとらせることでよいか。
(返答)そのとおりでよい。

・髪結いも番士の内でとらせることでよいか。月代は剃らせないことでよいか。
(返答)そのとおりでよい。

・風呂には月に何度入らせるべきか。
(返答)沐浴は見計らってさせるべきである。

・病気の際はかかりつけの医師に診察させ、容態によって届けがあれば、当方の医師に診せることでよいか。
(返答)そのとおりでよい。

・衣類や夜具は木綿でよいか。
(返答)そのとおりでよい。

・呼出の際は羽織・袴を着用すべきか。
(返答)そのとおりでよい。

・その際に腰縄をかけるべきでしょうか。
(返答)腰縄をかけるには及ばない。

・三度の食事のほか、当人の好みで食べ物を足してもよいか。
(返答)そのとおりでよい。

・囲いの内では煙草盆や火鉢は差し入れないことでよいか。
(返答)そのとおりでよい。

・呼出すときに、警固のための付添一つの数、昼夜の警衛人数は何人が良いでしょうか。
(返答)付添人及び警衛の人数はその時に考えたとおりで良い。

・番士の面々は、士分だけでなく足軽を取り混ぜてもよいか。
(返答)そのとおりでよい。

・本人から筆や紙の所望があった場合、渡しても良いか。
(返答)そのとおりでよい。

【コメント】
・【伺い】と【返答】は、元々はそれぞれまとめられているのですが、見やすさ優先で一問一答形式にしてみました。
・但馬村岡藩は維新時に立藩された藩で、江戸時代には藩としては存在していませんでした。それが理由かわかりませんが、細かい事項まで伺いに記しています。おかげで現代の我々には、この当時の被疑者・被告人がどのように扱われたかが分かります。これもまた貴重な伺い例です。
・この伺いはあくまでも武士が被疑者・被告人の場合であると思います。原文にはそのような限定した表現はないのですが、その前提でないと成りたたない箇所があります。
・武士以外の者はこの取扱いの範囲外ということになります。かなりの差異があったと思われます。





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