山の喫茶室には、
私が気に入り、勝手に指定席だと思っている席がある。
その席からの眺めは、
これが正面。
左横には、この言葉。
そして、窓の外には小鳥。 今回はゴジュウガラだ。
椅子はロッキングチェアー、背側にマキストーブ。
4月も半ばだというのに、まだ燃やしている。
5回目の訪問日、地の人らしい先客が一人あって、訪れる小鳥の話を トツトツ…と。
「小鳥がお好きなんですね。お詳しい…。」と、親しく応じる私に、
今度は生き生きとした口調で、 「ここのマスターがね。」 と、
出入りするうちに聞かされて詳しくなった経緯をひとしきり。
そのマスターと友達になれた喜びを言葉の端々に載せて、嬉しそうに話される。
「そうなんだ。やっぱりマスターなんだ。」
そこにはロッキングチェアーを揺らせて納得する私もいる。
「残してもいいですよ。」 と、
いつもたっぷりのコーヒーが運ばれる静かな山の喫茶室。
花を愛で、待たれる木々の芽吹きを確認して、今、たどり着いたこの席で、
また一段とひいきに思う山の喫茶室の一時が流れ始めるのである。
喫茶室のすぐ傍で可愛らしく咲く ショウジョウバカマと
イカリソウ
少し離れたところでは、白樺の梢の先で青い空が白い雲を浮かべている。
ああ、やっぱり山はいい。