ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

会社を変えたいという情熱と戦略

2011年04月29日 | 思考法・発想法
眩しいくらいの情熱を持ってこの会社を変えたいと語る後輩がいる。その「熱さ」は羨ましくもあり、気恥ずかしくもある。そんな風に想えていたのはいつの頃までだろう。自分たちが何とかしないと/何とかできるはずだ――そんな想いでがんばっていたこともあったはずなのに、イノセントワールドは既に失われてしまったということか。

こうした「真っ直ぐさ」「一途」さには頭が下がるし、応援してあげたいと思う。少なくとも「無関心」や「抵抗勢力」にはなりたくないし、それが僕らの務めなだろう。

この会社は、世の中の多くの会社と同じように、多くの問題を抱えている。変革が必要なことは多くの人もわかっている。しかし「大企業病」「蛸壺」「縦割り」「セクショナリズム」「内向き」…そういったことが自分たちの組織も、またそこにいる一人一人が侵されれていることにどれだけ気づけているかといわれれば微妙なところだ。閉鎖的な独自の企業文化に縛られた人々は、気づかぬうちに社内調整にエネルギーを費やし、自己保身が行動原理となっている。

果たしてこうした企業文化を変えることは可能なのだろうか。

もちろん否定からは何も始まらない。しかし同時に、彼ら/彼女たちがその「熱さ」だけで変えられるほど生やさしいものでもない。敵は巨大なのだ。

企業文化の変革にとって一番の「敵」は「利害関係」ではない。もちろん当事者にとっては大きな問題だけれど、全体から見れば、少なくとも「改悪しよう」としているわけではないければ、全体のメリットとのトレードオフの話だし、より多くの支持が集まればそうした「抵抗勢力」の力は削がれていく。

何よりも大きな敵は圧倒的多数の「無関心」だ。変化することが自分たちにどう繋がるのか、それがいいことなのか、そうしたことへの理解がいかず、自らが動こうとはしない。彼らに悪意はない。ただ最大の抵抗勢力になりうるのもこうした層だ。

そうした中で、「変化」を実現するためには、そのための戦略が必要になる。こうした企業変革に必要なプロセスをジョン・P・コッターは「カモメになったペンギン」の中で寓話風にまとめている。

カモメになったペンギン / ジョン・P・コッター、藤原 和博 (訳) - ビールを飲みながら考えてみた…




その中では、企業変革のプロセスを8段階に分けてどのように取り組むべきか書かれている。

1)危機意識を高める
2)変革推進チームを作る
3)変革のビジョンと戦略を立てる
4)変革のビジョンを周知徹底する
5)行動しやすい環境を整える
6)短期的な成果を生む
7)さらに変革を進める
8)新しい文化を築く

それぞれの段階でそれぞれの「壁」があり、それを突破していく必要がある。「情熱」とそれを実現するための「戦略」、その2つが揃わなければ「変革」は難しいのだろう。

と、彼ら/彼女らの話を聞いていると「変えるために『出世』したいんです」という。室井管理官のように。それはそれで正しい。権限があれば、いろいろな物事は進めやすくなる。と、同時にそのことが全てではないといし、またミイラ取りがミイラになる可能性もあるということ。

課長になるとできること、部長になるとできること、取締役なるとできること…しかしそのポジションに自分がならないとできないのだとしたら、「変革」はいつになったらできるのだろう。その情熱は続くのだろうか。

戦い方は様々だし、戦うタイミングは常に存在しているのだろう。


カモメになったペンギン / ジョン・P・コッター、藤原 和博 (訳) - ビールを飲みながら考えてみた…


カモメになったペンギン / ジョン・P・コッター、藤原 和博 (訳)

2 コメント

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Unknown (beer)
2013-10-14 23:37:27
半沢直樹的な敵ももちろんいるんですが(笑)、多くは「悪意」ではなく「無関心」と「自己防衛」が抵抗勢力ですね。まぁ、だから大変なんでしょうが。
でもそれらを打ち破るのは、結局、「情熱」しかないのかなという気がします。頑張ってください!
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会社をかえたくて (ささこ)
2013-10-13 03:15:55
私は会社を変えたくて、昇進をうけました。でも、上った地位でも、同じことが起きてると気づきました。上の人たちも、優遇されているわけではなく、より熱心で、よりまじめで、より責任感があるから、そこにいる。出世欲のある人たちも沢山いますが。無関心な人たちが、大きな抵抗勢力だということ、痛感せざるをえませんね。  サービス残業の毎日、実体のない会社という名の私たちの敵は、すぐ隣にいる人なのかもしれませんね。
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