どうやらSONYは本格的に「ブロードバンド・コンバージェンス戦略」の中核にPSPを据えるようです。とにかくデジタル化の進展とプラットフォーム戦略の重要性が増したことによって、家電メーカーは新しいライフスタイルを提案と創造繰り広げ、それが採用されると圧倒的な勝利を得るという、ある種「博打」的な競争を繰り広げねばならないわけですが、果たしてSONYのこの戦略は吉と出るか凶とでるのか。
コンバージェンス戦略に賭けるソニー、PSP北米発売で新局面に
以前、SONY安藤社長がおっしゃっていたように、「インターネットのブロードバンド化によってITや通信、AVが融合」は現実のものとなっており、事実、「デスクトップPCの約80%がテレビチューナを内蔵し」、「携帯電話はカメラ付き端末が一般化し、着うたなどのアプリケーションも豊富に揃って」いる。全米ではiTMSを通じた有料音楽ダウンロードサービスが普及しつつあり、その一方日本ではiPODの普及とともに、「着うたフル」による携帯電話への音楽配信サービスが伸びてきている。
ソニー安藤社長が語る「ブロードバンド・コンバージェンスがもたらす価値」とは
iTMSやiPODはapple社によるものだし、「着うたフル」はauによるサービスだ。これらはこれらの事業スキームに入っていれば莫大な富を得られ、入れなければ「負け組」となる。標準化された技術を使っている限り差別化をはかるための技術の壁は低くなり、むしろライセンス戦略が重要となる。そんな中でここ数年のSONYはことごとく読みが外れていたのではないか。
そこで登場するのが、PSPをパーソナルデバイスとして各種サービスを提供しようという戦略だ。
おそらくあらゆるサービスやコンテンツを1つのデバイスを利用して提供しようというのは、ユビキタス社会へ向けての大きなコンセプトであることに疑問はないだろう。今や携帯電話は「電話」と呼ぶよりはメールやWEBのためのインターネット端末といった趣の方が強く、またカメラやウォークマン、スケジューラー(PIM)、ゲームといった様々なコンテンツが搭載されようとしている。
iPODだって様々な音楽を持ち歩くための道具だけではなく、画像を掲載したり、ゲームやスケジューラーの機能もある。但しこちらは携帯電話に比べればまだまだ音楽専用端末だ。
そのあおりをくってかPDAは今ひとつ勢いがないのだけれど、これだって機能だけでいえば、インターネット接続が可能であり、スケジューラーはもちろん、音楽再生、動画再生、ゲームなど様々なことが可能だ。
顧客との接点をどう抑えるか―このことがこれまで以上に大きな課題となるのだろう。そしてSONYの回答がPSPを顧客との接点に据えるというものだ。
しかし現状、PSPのイメージはゲーム機でしかない。またパーソナルツールとしてはある意味必須ともいえるメールやWEBなどインターネット利用は現状できない。地上波テレビチューナーなども搭載されていないため、ゲームとウォークマン、せいぜい動画視聴というところか。
この記事でも指摘されているが、ゲームとウォークマンはともかく「果たして消費者が音楽のときと同じように携帯型のビデオコンテンツに飛びつくか」という問題がある。例えば5~10分くらいの動画コンテンツであればともかく、90分~2時間の映画をあのサイズで見るかと言われれば厳しいのではないだろうか。
また「スマートメディア」といった別メディアを通じてデバイス間でのデータのやり取りをすると言うのは、ユビキタス以前の社会においてのコンセプトだ。仮に、HOTSPOTがユビキタス社会の通信の主流になるのであればその利用範囲の拡大に応じて、また携帯データ通信がベースになるのだとしたらフル3G(1.5Mbps)か4Gに移行する段階で、PCとの連携を図るのであれば今直ぐにでもデジタルコンテンツを直接やり取りをするモデルに移行するだろう。そのための時間軸をどうとっているのか。
音楽デバイスの機能についても、MP3ファイルをそのまま持ち歩くというのであれば、PSPの普及には後押しとなるかもしれないが、まさにウォークマン事業とのバッティングとなる。有料音楽配信モデルとするにはどういう形でデジタルコンテンツを販売していくか、通信機能をどうするのか、フォーマットやDRMはどうするのかといった課題が多い。決して簡単には進まないだろう。
とはいえ、ここのパーツで見ていくと、デバイスにしろ、ISP・コンテンツ配信機能にしろ、電子決済機能にしろ、ゲームや音楽・動画といったコンテンツにしろそれぞれの要素をそろえており、大化けする可能性もある。
どんな風に僕らの度肝を抜いてくれるのか、元気なSONYの復活を期待したい。
どのような製品コンセプトを生み出すか ― デジタル家電の行方
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とこんな記事を書いたところで、こんなニュースが。
ソニー、PSP向け映画タイトルの追加を発表
う~ん、どうなのSONY?!
コンバージェンス戦略に賭けるソニー、PSP北米発売で新局面に
以前、SONY安藤社長がおっしゃっていたように、「インターネットのブロードバンド化によってITや通信、AVが融合」は現実のものとなっており、事実、「デスクトップPCの約80%がテレビチューナを内蔵し」、「携帯電話はカメラ付き端末が一般化し、着うたなどのアプリケーションも豊富に揃って」いる。全米ではiTMSを通じた有料音楽ダウンロードサービスが普及しつつあり、その一方日本ではiPODの普及とともに、「着うたフル」による携帯電話への音楽配信サービスが伸びてきている。
ソニー安藤社長が語る「ブロードバンド・コンバージェンスがもたらす価値」とは
iTMSやiPODはapple社によるものだし、「着うたフル」はauによるサービスだ。これらはこれらの事業スキームに入っていれば莫大な富を得られ、入れなければ「負け組」となる。標準化された技術を使っている限り差別化をはかるための技術の壁は低くなり、むしろライセンス戦略が重要となる。そんな中でここ数年のSONYはことごとく読みが外れていたのではないか。
そこで登場するのが、PSPをパーソナルデバイスとして各種サービスを提供しようという戦略だ。
おそらくあらゆるサービスやコンテンツを1つのデバイスを利用して提供しようというのは、ユビキタス社会へ向けての大きなコンセプトであることに疑問はないだろう。今や携帯電話は「電話」と呼ぶよりはメールやWEBのためのインターネット端末といった趣の方が強く、またカメラやウォークマン、スケジューラー(PIM)、ゲームといった様々なコンテンツが搭載されようとしている。
iPODだって様々な音楽を持ち歩くための道具だけではなく、画像を掲載したり、ゲームやスケジューラーの機能もある。但しこちらは携帯電話に比べればまだまだ音楽専用端末だ。
そのあおりをくってかPDAは今ひとつ勢いがないのだけれど、これだって機能だけでいえば、インターネット接続が可能であり、スケジューラーはもちろん、音楽再生、動画再生、ゲームなど様々なことが可能だ。
顧客との接点をどう抑えるか―このことがこれまで以上に大きな課題となるのだろう。そしてSONYの回答がPSPを顧客との接点に据えるというものだ。
しかし現状、PSPのイメージはゲーム機でしかない。またパーソナルツールとしてはある意味必須ともいえるメールやWEBなどインターネット利用は現状できない。地上波テレビチューナーなども搭載されていないため、ゲームとウォークマン、せいぜい動画視聴というところか。
この記事でも指摘されているが、ゲームとウォークマンはともかく「果たして消費者が音楽のときと同じように携帯型のビデオコンテンツに飛びつくか」という問題がある。例えば5~10分くらいの動画コンテンツであればともかく、90分~2時間の映画をあのサイズで見るかと言われれば厳しいのではないだろうか。
また「スマートメディア」といった別メディアを通じてデバイス間でのデータのやり取りをすると言うのは、ユビキタス以前の社会においてのコンセプトだ。仮に、HOTSPOTがユビキタス社会の通信の主流になるのであればその利用範囲の拡大に応じて、また携帯データ通信がベースになるのだとしたらフル3G(1.5Mbps)か4Gに移行する段階で、PCとの連携を図るのであれば今直ぐにでもデジタルコンテンツを直接やり取りをするモデルに移行するだろう。そのための時間軸をどうとっているのか。
音楽デバイスの機能についても、MP3ファイルをそのまま持ち歩くというのであれば、PSPの普及には後押しとなるかもしれないが、まさにウォークマン事業とのバッティングとなる。有料音楽配信モデルとするにはどういう形でデジタルコンテンツを販売していくか、通信機能をどうするのか、フォーマットやDRMはどうするのかといった課題が多い。決して簡単には進まないだろう。
とはいえ、ここのパーツで見ていくと、デバイスにしろ、ISP・コンテンツ配信機能にしろ、電子決済機能にしろ、ゲームや音楽・動画といったコンテンツにしろそれぞれの要素をそろえており、大化けする可能性もある。
どんな風に僕らの度肝を抜いてくれるのか、元気なSONYの復活を期待したい。
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とこんな記事を書いたところで、こんなニュースが。
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う~ん、どうなのSONY?!
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