Web系の仕事に就いて5年以上、サイト製作やPC上でのツールを検討する機会を通じて、僕の中に出来上がった金言というか、格言というか、行動指針の1つに以下のものがある。
「デザインはメッセージであり、デザインが人の行動を決める。だからこそデザインはシンプルでなければならない。」
しかしこの言葉は、同じ職場にいながらもう1つ共感を得られていない。Webの世界がそもそもテキストから始まっていることもあって、「必要なことは文字で補則すればいい」「SEOを考えるならば、より多くのテキストが必要だ」と考えがちである。しかし違うのだ。テキストは理解を伴うがデザインは経験をもたらす。テキストは冗長さと拡散をもたらすが、デザインは簡潔さと方向性をもたらす。このブログがやたらめったら長いのも、きっと文字で書いているからなのだろう。
著者はMIT (マサチューセッツ・インスティテュート・オブ・テクノロジー)にてプロフェッサーとして教鞭を執る傍ら、コンピューターを使用したアーティストとしても積極的に活動を続けているジョン・マエダ。新しいツールのデザインを設計するにあたり、デザインのシンプルさを実現するために必要な要素を整理するために手にした一冊。
![](http://lib.toyokeizai.net/public/image_book/2008091100007041-1.jpg)
シンプリシティの法則/ジョン・マエダ
■法則1 削減
できることを減らし、ほかのすべてを隠しつつ、本来の高い価値感が失われないようにする。
・SHE
-縮小:SHRINK
-隠蔽:HIDE
-具体化:EMBODY
不要なものは隠蔽し、小機能だけど品質は高いこと。
■法則2 組織化
組織化はシステムを構成する多くの要素を少なく見せる。
・SLIP(SORT:分類 LABEL:命名 INTEGRATE:統合 PRIORITIZE:優先順位)
・iPodのゲシュタルト:なぜ3世代目が支持されるのか。「ぼやけ」のアプローチは複数の点をやわらかく統合する。
・目を開くために目を細める:見るものを減らすことによって分かることが増える
■法則3 時間
時間を節約することでシンプリシティを感じられる。
・SHE:時間を縮小する
・SHE:時間の隠蔽と具体化
時間の節約は量的な速さと質的な速さのトレードオフ。どうすれば待ち時間を短くできるか?←→どうすれば待ち時間を我慢しやすくできるか?
■法則4 学習
知識はすべてをシンプルにする。
・BRAIN
-BASIC:基本からはじまる
-REPEAT:何度も繰り返す
-AVOID:やけを起こさせないようにする
-INSPIRE:例を使ってインスピレーションを与える
-NEVER:繰り返すことを忘れない
・関係づける―翻訳する―驚かせる:PCにおける「デスクトップ」のメタファは今でも有効
・最高の報酬の核心にあるものは、考え、生き、存在する自由への根源的欲求:最も成功するプロダクト・デザインとは、学習と人生といういっそう大きなコンテクスとに深く結びついたもの
■法則5 相違
シンプリシティとコンプレクシティはたがいを必要とする
・デザインのシンプル感を生み出すには、何らかの明確な形で、コンプレクシティを意識的に利用できる必要がある
・シンプリシティとコンプレクシティが時間と空間のなかで生起するリズムが鍵を握っている
■法則 6 コンテクスト
シンプリシティの周辺にあるものは、決して周辺的ではない
・無は何かである
存在するものが減れば、あらゆるものをはるかに深く理解する
・シンプリシティの環境経験をまとめ上げるには、一見重要でないあらゆるものに注意を向ける必要がある
・安心して道に迷う
コンプレクシティには道に迷った感覚が伴うが、シンプリシティには自分の位置を把握している感覚が伴う。リズムの中で道に迷うのは自由なのだ
■法則7 感情
感情は乏しいより豊かなほうがいい
・感じ、共感する
eメールの顔文字。単純な文字のメッセージだけでは表現仕切れないこと。
iPod(シンプリシティ)とキャリングケース。シンプルなモノと追加的なアクセサリーを組み合わせることで、自分の感情とモノへの思い入れを表現できる
・愛着(Love-fit)
効率的なデザインは感情の不明瞭さ-芸術の本質-を計算にいれていない。本当に難しいことは「安らぎ」をもたらすこと
■法則8 信頼
私たちはシンプリシティを信じる
・名人を信じる
寿司職人の「おまかせ」。信頼されている名人を通じて達成されるシンプリシティ。知識の力
・とにかく取り消そう
取り消しは愛とは関係ない。便利かどうかの関係にすぎない。
・私を信頼してほしい
システムがあなたについて知れば知るほど、あなたは考えずにすむ。反対に、あなたがシステムについて知れば知るほど、システムを制御できる
■法則9 失敗
決してシンプルにできないこともある。
■法則10 1
シンプリシティは、明白なものを取り除き、有意義なものを加えることにかかわる。
・3つの鍵(具体的な技術)
1)アウェイ「遠く引き離すだけで、多いものが少なく見える」
googleが実現したのは、Webブラウザ上でのシンプルで軽快なテキスト入力とネットの向こうに引き離された計算装置。
2)オープン「オープンにすれば、コンプレクシティはシンプルになる」
Linuxは多数の力を無勢の力にした
自社のソースコードを公開したくない企業にとってはAPIの提供は好ましい方法となる
3)パワー「使うものは少なく、得るものは多く」
電力問題は世界にとっておおきな課題
シンプリシティの法則/ジョン・マエダ
![](http://lib.toyokeizai.net/public/image_book/2008091100007041-1.jpg)
「デザインはメッセージであり、デザインが人の行動を決める。だからこそデザインはシンプルでなければならない。」
しかしこの言葉は、同じ職場にいながらもう1つ共感を得られていない。Webの世界がそもそもテキストから始まっていることもあって、「必要なことは文字で補則すればいい」「SEOを考えるならば、より多くのテキストが必要だ」と考えがちである。しかし違うのだ。テキストは理解を伴うがデザインは経験をもたらす。テキストは冗長さと拡散をもたらすが、デザインは簡潔さと方向性をもたらす。このブログがやたらめったら長いのも、きっと文字で書いているからなのだろう。
著者はMIT (マサチューセッツ・インスティテュート・オブ・テクノロジー)にてプロフェッサーとして教鞭を執る傍ら、コンピューターを使用したアーティストとしても積極的に活動を続けているジョン・マエダ。新しいツールのデザインを設計するにあたり、デザインのシンプルさを実現するために必要な要素を整理するために手にした一冊。
![](http://lib.toyokeizai.net/public/image_book/2008091100007041-1.jpg)
シンプリシティの法則/ジョン・マエダ
■法則1 削減
できることを減らし、ほかのすべてを隠しつつ、本来の高い価値感が失われないようにする。
・SHE
-縮小:SHRINK
-隠蔽:HIDE
-具体化:EMBODY
不要なものは隠蔽し、小機能だけど品質は高いこと。
■法則2 組織化
組織化はシステムを構成する多くの要素を少なく見せる。
・SLIP(SORT:分類 LABEL:命名 INTEGRATE:統合 PRIORITIZE:優先順位)
・iPodのゲシュタルト:なぜ3世代目が支持されるのか。「ぼやけ」のアプローチは複数の点をやわらかく統合する。
・目を開くために目を細める:見るものを減らすことによって分かることが増える
■法則3 時間
時間を節約することでシンプリシティを感じられる。
・SHE:時間を縮小する
・SHE:時間の隠蔽と具体化
時間の節約は量的な速さと質的な速さのトレードオフ。どうすれば待ち時間を短くできるか?←→どうすれば待ち時間を我慢しやすくできるか?
■法則4 学習
知識はすべてをシンプルにする。
・BRAIN
-BASIC:基本からはじまる
-REPEAT:何度も繰り返す
-AVOID:やけを起こさせないようにする
-INSPIRE:例を使ってインスピレーションを与える
-NEVER:繰り返すことを忘れない
・関係づける―翻訳する―驚かせる:PCにおける「デスクトップ」のメタファは今でも有効
・最高の報酬の核心にあるものは、考え、生き、存在する自由への根源的欲求:最も成功するプロダクト・デザインとは、学習と人生といういっそう大きなコンテクスとに深く結びついたもの
■法則5 相違
シンプリシティとコンプレクシティはたがいを必要とする
・デザインのシンプル感を生み出すには、何らかの明確な形で、コンプレクシティを意識的に利用できる必要がある
・シンプリシティとコンプレクシティが時間と空間のなかで生起するリズムが鍵を握っている
■法則 6 コンテクスト
シンプリシティの周辺にあるものは、決して周辺的ではない
・無は何かである
存在するものが減れば、あらゆるものをはるかに深く理解する
・シンプリシティの環境経験をまとめ上げるには、一見重要でないあらゆるものに注意を向ける必要がある
・安心して道に迷う
コンプレクシティには道に迷った感覚が伴うが、シンプリシティには自分の位置を把握している感覚が伴う。リズムの中で道に迷うのは自由なのだ
■法則7 感情
感情は乏しいより豊かなほうがいい
・感じ、共感する
eメールの顔文字。単純な文字のメッセージだけでは表現仕切れないこと。
iPod(シンプリシティ)とキャリングケース。シンプルなモノと追加的なアクセサリーを組み合わせることで、自分の感情とモノへの思い入れを表現できる
・愛着(Love-fit)
効率的なデザインは感情の不明瞭さ-芸術の本質-を計算にいれていない。本当に難しいことは「安らぎ」をもたらすこと
■法則8 信頼
私たちはシンプリシティを信じる
・名人を信じる
寿司職人の「おまかせ」。信頼されている名人を通じて達成されるシンプリシティ。知識の力
・とにかく取り消そう
取り消しは愛とは関係ない。便利かどうかの関係にすぎない。
・私を信頼してほしい
システムがあなたについて知れば知るほど、あなたは考えずにすむ。反対に、あなたがシステムについて知れば知るほど、システムを制御できる
■法則9 失敗
決してシンプルにできないこともある。
■法則10 1
シンプリシティは、明白なものを取り除き、有意義なものを加えることにかかわる。
・3つの鍵(具体的な技術)
1)アウェイ「遠く引き離すだけで、多いものが少なく見える」
googleが実現したのは、Webブラウザ上でのシンプルで軽快なテキスト入力とネットの向こうに引き離された計算装置。
2)オープン「オープンにすれば、コンプレクシティはシンプルになる」
Linuxは多数の力を無勢の力にした
自社のソースコードを公開したくない企業にとってはAPIの提供は好ましい方法となる
3)パワー「使うものは少なく、得るものは多く」
電力問題は世界にとっておおきな課題
シンプリシティの法則/ジョン・マエダ
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