ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

ドコモのフェムトセル戦略の課題。敵は総務省?!

2008年04月26日 | ビジネス
ドコモがフェムトセル戦略を発表?!家庭内の無線LAN経由で、低価格の通話や高速パケット通信可能になるとのこと。イメージとしては、家庭内にブロードバンド回線に接続された無線基地局を設置し、無線LAN対応のFOMA端末との組み合わせで、家庭内からの通信は、FOMA~無線LAN~無線基地局~ドコモネットワークでの通信となるとのこと。

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ユーザーは月額料金を払い?このサービスを申し込むことで、
1)無線LAN経由での音声通話について、通常のFOMAの料金より割安になる
2)パケット通信の通信速度が、下り最大7.2Mbps(FOMA)から54Mbpsになる
とのこと。

現状、このサービスは「フェムトセル」ではなく、あくまでホームエリア向けサービスであるということ。つまり1)のメリットについていえば、実質、家庭内で携帯電話をかけた時に限られる。ただしこれについては、その後、「フェムトセルを用いたサービスへ展開していきたい」とドコモ・中村社長が話していることから、無線LAN経由での通話エリア(割引対象)は増えていくのかもしれない。

いくつか問題を整理してみよう。

ドコモにとっては、
+月額料金の収入がある
+家庭単位でのユーザーの囲い込みができる
+増大するトラフィックの一部を固定網経由に分散することができる
-通話料金の収入が減る

ユーザーにとっては、
-サービス料金を支払う必要がある
-無線基地局の電気代を負担する必要がある
+通話料金が割引される
+高速通信が実現する

となる。とすると、自宅内から使用している通話料金が高い家庭の場合に、このサービス料金を払ってもメリットがあるか、どうかがポイントになるのだろう。

ただしここには忘れられた問題がある。
それはこのドコモ・ネットワークへ接続するためのブロードバンド回線は誰が負担するのか、という問題だ。

ユーザーがISPと契約している回線を利用する場合、この足回り回線費用は実質ユーザーの負担となる。ドコモにとってはおいしい話だし、割引の原資との考え方でも成り立つだろう。ユーザーにとっても既にISPに契約しているのであれば、その空帯域を利用するのであり、その結果、「大幅に」携帯通話料が割引になるのであれば、不満はないかもしれない。

しかしこの場合、ISPやNTT東西などからすると、ドコモの商売道具として自社インフラを「ただ乗り」されたことに他ならない。またISPやNTT東西のサービス規約の中で「個人利用に限定」といった規定がある場合、そもそもこのサービスが利用できない可能性もある。

逆にドコモがブロードバンド回線を借りて小型無線基地局までを提供する場合、当然、NTT東西やコミュニケーションズのサービスを利用するか、光のインフラを借り受けて提供する(固定網への参入!)必要がある。

また具体的にどのようにドコモ・ネットワークに接続するのかも課題だろう。インターネットVPNのような形態で「音声通信」させるのか、現行のISP接続のように無線基地局がドコモ・ネットワークへ直接セッションを張るのか(PPPoEもしくはIPv6ベース)、あるいはNGNでのSNI事業者のような立場になるのか―。残念ながら、インターネットやPC向けに整備されたインフラ環境は、ユーザー宅の状況がかなり異なる。接続形態によってやり方・サポート体制もかなり異なってくるだろう。

いずれにしろNGN時代の到来で価格面での低減化はあるとしても、インフラに関わるコストを前提にサービス料金が設定されるとすると、ハードルはかなり高くなる。

KDDIやソフトバンクのように一社で固定網から無線網までを提供しているのであれば、それほど問題にならないだろうが、NTTグループの事業者が提供する限り、こうしたユビキタス環境を全体としたサービスの普及には高いハードルがあるだろう。


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