ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

東日本大地震:JRに求められる2つの対応

2011年03月14日 | Weblog
石原知事がJR東日本に怒りを爆発させている。それはそうだろう。3月11日の帰宅難民者の問題もそうだし、今回の計画停電による運行制限もそうだ。JRは自分たちの企業責任をどう考えているのだろう。

【東日本大震災】石原知事「JR東日本の体質、私は許さない」 - MSN産経ニュース

3月11日の東北地方太平洋大震災発生時、僕は新宿にいたのだけれど、JRも地下鉄も止まってしまい、身動きがとれない。自宅は上野から東北に向かって走る常磐線沿いの街。距離でいくと35Km強というところ。深夜には動き出すんじゃないかという淡い期待を持ちつつ、歩き出しはじめる。長い行列。すれ違う人々。あぁ、これらの人が皆、自宅へ向かうんだ。そう思いながら、上野駅へたどりつく。

今回、地下鉄は深夜に部分的に動き出したりはしたものの、都心と衛星都市とを結ぶJRや私鉄が全て止まることになった。これが大量の帰宅難民を生み出すこととなる。

JRとしては、安全確保という観点から11日中の運転再開は早々に取りやめることを決定。それはそれで正しい。しかし社会システム全体として考えた場合、この「帰宅難民」に対する処置は十分だったとはいえない。東北地区の地震でこうなのに、関東圏を直撃した場合、どうなのだろうか。

このときのJRがとった対応で2つの問題があったと思う。

1つは、交通インフラを停止させておきながらその代替手段を講じようとしないこと。JRは国鉄以来の交通インフラ事業者だ。それは例えばダイエーのような流通企業とも、SANYOのような製造メーカーとも違う。それらの企業はともに多くの雇用を抱え、ユーザーを抱えているかもしれないが、競合他社によっていつでも代替可能な企業たちだ。

しかし交通インフラ事業者はそうではない。JRがなくても私鉄で代替可能というわけにはいかない。地域によっては唯一無二の存在であることもあるのだ。

11日のJRの対応は、大地震という外部の脅威が原因だったということもあって、早々に自社の論理だけで動いたともいえる。もちろん翌日からの復旧に備えるというのもわかる。それにしてももう少しフォローがあってもよかったのではないか。そしてこのことは「計画停電」実施予定の3月14日以降の対応についてもそうだ。

東電による「計画停電」の発表が急だったということはあるにせよ、14日当日の朝に「駅」は一方的にシャッターを閉じられ、代替手段も教えてもらえない。「東電の責任だから、皆さん、勝手にしてください」そう言われているかのようだ。

また「朝から昼過ぎまで動きます」と言われても、会社に行っても帰ってくるなということになってしまう。

理由はいろいろあるだろうが、結局は自分たち中心で、利用者目線での説明や対応がまったくないのだ。

そして問題のもう1つは、これは石原知事も指摘していることだが、11日の運転見合わせ後早々に駅構内から利用者を「締め出し」てしまったことだ。

駅構内での作業もあるだろうし、そこで無用な事故・トラブルを回避したいという気持ちもわかる。従業員を帰宅させねばならいということもあっただろう。しかしそこで帰宅手段もなく、冬の寒空の下に追い出されたJRの利用者たちはどうしたらいいのか。少なくともターミナル駅であれば、構内に一定のスペースがあるし、そこに退避することは可能だったはずだ。

結局、そうやって追い出された人は、運良くタクシーに乗れたり、ホテルやインターネットカフェに入れた人はいいけれど、多くの人は自宅まで歩いて帰るか、会社に(歩いて!)戻るか、マックや居酒屋で朝方まで過ごすかという具合になる。今回であれば、行政側で避難所として施設を開放してくれたりもしたわけだけれど、まずは「JR」が対応すべきだっただろう。

ちなみにこのとき上野では「座・和民」「わたみん家」も通常より早めに終了してました。ガスが使えなかったとかいろいろ利用はあるのだろうが、渡邊社長も東京都知事を目指すのであれば、もう少しこの状況を理解して欲しかった。

まぁ、都市基盤の脆弱さと交通インフラに障害が発生した場合の対応について考えさせられた。


3 コメント

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Unknown ()
2012-03-09 23:05:01
ターミナル駅での閉め出しは考えなくてはなりませんが
構内は掲示板や宣伝物などがあり余震で落下の可能性があります。
また、ホームにはたくさんのケーブルがあり危険です
さらには、必ず線路を歩き出す人も現れます

そんな事が起これば立ち入った人を探さなくては運転再開などできません。
つまり運転再開がもっと遅くなるという事

また駅員が少ない為、キャパを超えてしまいどうにもなりません

また社員は帰宅ではなく終夜復帰作業、始発時間から交代社員が来るまで寝ずに仕事をしているはずです

石原都知事は間違えてると思います
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Unknown (beer)
2012-03-11 22:25:33
結局のところ、あぁいう異常事態で駅の外と中のどちらが危険だったかということだと思うんですよ。
掲示板が落ちても一部の人の怪我で済むかもしれませんが、溢れた人たちの状況はもっと過酷でした。自分たちの責任で怪我をさせたことにしたくないという組織の論理で(無意識的に)判断したのだとしたら、公共性などないわけです。

その企業の社会の構成員としての意識が問われたのだと思います。
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Unknown (むの)
2014-12-21 09:52:13
>ターミナル駅での閉め出しは考えなくてはなりませんが
>構内は掲示板や宣伝物などがあり余震で落下の可能性があります。
>また、ホームにはたくさんのケーブルがあり危険です
>さらには、必ず線路を歩き出す人も現れます

それは私鉄や地下鉄でも同じだと思いますが?
彼らに出来てJRに出来ない理由などありませんね。
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