放送業界サイドからの論客・西正さんの「2011年、メディア再編」を読む。まぁ、何だろう。ここの議論についてはそれなりに正しいのだろうけれど、全体を眺めてみると、「何だ、ただ放送業界を擁護している(叱咤激励している)だけじゃん!」という作品。あんまり整合性がとれてないし、またここの問題の背景やそもそもどういう問題なのか、が説明なしに語られ始めるので、それぞれの話題に唐突感が…
![](http://g-ec2.images-amazon.com/images/I/41%2BFJ84tVmL._AA240_.jpg)
そもそも何故、地方放送局が県単位で必要なのか。これまでは仕方がなかったかもしれないが、今や様々な技術が登場しつつあり、道州制への移行が現実味を帯びる中で、無理やり維持する必要もないだろう。それを必要とする理由が「地域文化振興」だとすると、そもそも地方局が推進する必要性は薄い。
他の業界がグローバルなレベルで再編を繰り広げている中で、放送業界だけが、一方でデジタル化への莫大な投資を必要としつつ、これまで同様の制度を維持すればいいというものでもないだろう。
詳しい議論はなかったものの、西さんの議論の前提には所謂「水平分離」はNGだとしつつ、実質的に水平分離として機能しているスカパーやCATVのPAYチャンネルに対しては、専門チャンネル化を一層進めることを是とし、更には統廃合や入れ替えさえも期待している。
放送業界がこれまで品質にこだわってきたことは認めるとして、それを維持しなければならないというのもどうだろう。既に地デジとなった段階で「時報」が機能しないなど、アナログ放送では「常識」だったものを諦めてもいる。またインターネット側の話で言えば、タイムシフトやアーカイブ化など当たり前、どんどん時間感覚は曖昧になり、またYoutubeなど必ずしも映像品質がよくなくてもサービスとして成り立つ世界に向かっている。そうした「変化」が当然のようにあるわけで、今の「品質」を維持することにこだわりすぎると、人々のニーズの本質的な変化について見失うことになるだろう。
また詳しい解説がなかったところで行くと「サーバ型サービス(放送)」。西さん自信も書いているように、インターネット配信側やIPTV側の技術としては「VOD型ストリーミング配信」だけでなく、「VOD型ダウンロード配信」もあれば、Podcastのようなユーザー端末への「蓄積型配信」もある。通信の技術としてはこれらはどれも「枯れた」技術として存在しているもののいざコンテンツを配信しようとすると「通信」として扱われ、著作権処理など諸々の手続きが大変な状況になっている。
では「サーバ型サービス(放送)」とはこれらの通信技術と何が違うのか。
このあたりの本質的な違いについての解説はない。というか実質的な「仕組み」としては「放送」として位置づけることに無理があるのだろう。
にもかかわらず、放送業界が行う場合は「放送」として考えるのであれば、それこそ既得権益を守ろうとしているだけだろう。
IP放送が難視聴対策になるのか、再送信のマルチキャスト配信だけが「放送」として扱われること自体も何か違和感があるし、現在の通信・放送融合にむけた政策にはいまいち感があるものの、全体的には放送業界自体が硬直化していると印象が免れない。
そんな中で出版された西さんのこの本は、やはり違和感を感じざろうえない。
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そもそも何故、地方放送局が県単位で必要なのか。これまでは仕方がなかったかもしれないが、今や様々な技術が登場しつつあり、道州制への移行が現実味を帯びる中で、無理やり維持する必要もないだろう。それを必要とする理由が「地域文化振興」だとすると、そもそも地方局が推進する必要性は薄い。
他の業界がグローバルなレベルで再編を繰り広げている中で、放送業界だけが、一方でデジタル化への莫大な投資を必要としつつ、これまで同様の制度を維持すればいいというものでもないだろう。
詳しい議論はなかったものの、西さんの議論の前提には所謂「水平分離」はNGだとしつつ、実質的に水平分離として機能しているスカパーやCATVのPAYチャンネルに対しては、専門チャンネル化を一層進めることを是とし、更には統廃合や入れ替えさえも期待している。
放送業界がこれまで品質にこだわってきたことは認めるとして、それを維持しなければならないというのもどうだろう。既に地デジとなった段階で「時報」が機能しないなど、アナログ放送では「常識」だったものを諦めてもいる。またインターネット側の話で言えば、タイムシフトやアーカイブ化など当たり前、どんどん時間感覚は曖昧になり、またYoutubeなど必ずしも映像品質がよくなくてもサービスとして成り立つ世界に向かっている。そうした「変化」が当然のようにあるわけで、今の「品質」を維持することにこだわりすぎると、人々のニーズの本質的な変化について見失うことになるだろう。
また詳しい解説がなかったところで行くと「サーバ型サービス(放送)」。西さん自信も書いているように、インターネット配信側やIPTV側の技術としては「VOD型ストリーミング配信」だけでなく、「VOD型ダウンロード配信」もあれば、Podcastのようなユーザー端末への「蓄積型配信」もある。通信の技術としてはこれらはどれも「枯れた」技術として存在しているもののいざコンテンツを配信しようとすると「通信」として扱われ、著作権処理など諸々の手続きが大変な状況になっている。
では「サーバ型サービス(放送)」とはこれらの通信技術と何が違うのか。
このあたりの本質的な違いについての解説はない。というか実質的な「仕組み」としては「放送」として位置づけることに無理があるのだろう。
にもかかわらず、放送業界が行う場合は「放送」として考えるのであれば、それこそ既得権益を守ろうとしているだけだろう。
IP放送が難視聴対策になるのか、再送信のマルチキャスト配信だけが「放送」として扱われること自体も何か違和感があるし、現在の通信・放送融合にむけた政策にはいまいち感があるものの、全体的には放送業界自体が硬直化していると印象が免れない。
そんな中で出版された西さんのこの本は、やはり違和感を感じざろうえない。
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