WWF(世界自然保護基金)は、2008年10月8日、南極大陸で繁殖するペンギンが気候変動によって大きな打撃を受ける可能性があると警告する小冊子を、IUCN(国際全保護連合)の世界自然保護会議の場で発表しました。
そして、2013年以降の新たな気候変動に関する合意に、1990年に比べて先進国の排出量を、2020年までに25~40%、2050年までに80~95%削減する義務を盛り込むよう、強く訴えました。
小冊子『2度でも高すぎる』は、「世界の平均気温が産業革命以前に比べて2度以上上昇した場合、南極大陸で繁殖するペンギンのうち、コウテイペンギンのコロニーの50%とアデリーペンギンのコロニーの75%が縮小するか消滅する」との予測を導いた新しい研究報告を基に作成されました。
気候変動モデルは2度の気温上昇が40年足らずのうちに現実のものとなりうること、それによって、コウテイペンギンとアデリーペンギンが生存するために欠かせない、営巣と食糧採取の基盤である南極海の海氷被覆が大幅に減少することを予測しています。海氷の減少は、ペンギンが生命を維持するために必要な食糧であるオキアミの量にも連鎖的な影響を及ぼすとのことです。
何より、ペンギンへの影響は、種の激減の序章にすぎないということを私たちは直視するべきだと思います。
繰り返しになりますが、私たちが自然を守る前に、私たちは知らない間に自然に守られてる。自然の大きな営みの中で生かされているのだと思います。
ですから、生き物を守ることは、決してセンチメンタルなことではなく、私たちが生き残るために、多様な生物を地球に残す、ペンギンの運命は私たち人類の運命へとつながっていことだと思います。