今日一日はずっと、生まれて初めて見舞われる感情の中に身を置いていました。
青春時代というものが10代にのみ許された免罪符でないのであれば、
今、この年齢にして僕には2度目の青春時代が訪れている気がする。
いや正確には
10代の頃、ずっと求めながらも手にすることのなかった、
命を燃やして戦える自分の一本道に、今立っていると実感する。
ここ1カ月で知り合った、一人の超一流の選手と、
昨日訪れた聖地で再び練習をご一緒させて貰えた。
悔しくも嬉しく、僕はこの人と現段階で戦えばきっと高い確率で敗けるだろう。
飛距離だけではない。
これまで歴戦を重ね、戦い抜いてきた確かな重厚感。
付け焼刃ではなく身を以て体現されたであろう理論、知識。
アドレスからそれは強烈に、それでいて静かに
その人の背中から炎のように湧き上がって見える。
僕が戦い、そして勝ちたいのは
こういう人だと心底思う。
そしてドラコンの世界では、こういう人達が日本一を賭けて雌雄を決している。
尊敬する。
心から尊敬するからこそ、どうしても勝ちたい。
こういう人達に勝ってこそ、僕は確かに生きていたという証を残せる。
だからどうしても、勝ちたい。
その人が先に練習を終え、帰る頃に突然とも思えるタイミングで、
「このクラブ、俺は使わないからあげるよ」
といって一本のドライバーを手渡してくれた。
ヘッド、シャフトともに一級品。
そして、数々の歴戦を戦い抜いたであろう痕跡から、
血の滲むような努力が見て取れる代物だった。
言葉を失ってしまい、当たり一辺倒の御礼しか述べられなかった。
ただ光栄と恐縮、その狭間に立ち、この突然の出来事に頭を下げるしか出来なかった。
一日が経ち、寝ても覚めても頭から、
身体から離れない何かがずっと自分を包んでいる事に気付く。
落ち着かない。
昨日あれだけの練習をして、歩く事も苦痛なほどに疲労して
泥のように眠ったはずなのに。
もう今すぐ試合がしたい、身体を動かしたい、戦いたい。
今なら無限に暴れる事が出来そうな錯覚に襲われた。
ドラコンという競技は、飛距離が出せるようになればなる程、必ずクラブは壊れる。
だからせめて一本でも多く、君には持っていて貰いたい。
そう思ったから譲っただけだよ。
その人のその言葉と共に、今僕の手の中には
戦士の証とも言える歴戦の武器と、重く熱い魂がある。
これまでも色んな人に支えられ、助けられてきたこの道。
身に余る幸せだと腹の底から感謝したい。
そして
こういう人達と同じフィールドに立つ事を許され、
そしてフェアに戦い合えるドラコンという舞台は
もう僕にとってただの競技・スポーツとは呼び難い。
僕はこの道を行くために生まれたんだと本気で信じる。
もし裏切られたとしても、裏切られたとさえ思わない。
己の限界を何度でも超えて、戦える喜びを都度噛み締めて漏らさぬように、
誰恥じる事のない一本道を行く。
ただただ、有難い。
感謝、感謝感謝。