封じ込めたと思っていた感情は
封じ込めたと自分に言い聞かせていただけだと
本当は十分に分かっていたそんな事実を
ほんの小さなキッカケで思い知る。
出会う事があれば、別れる事も当然あって。
それを都合よく美しい思い出に塗り替えて生きるつもりがなくても
思い出ってヤツは、鮮明なものだけを前面に押し出して脳裏に迫るから
同じ事を何度繰り返したって
胸を締め付ける切なさは消える事がない。
本当に困る。
それは、思い出の真っ最中に生きていた頃に聴いた、
いくつかの音楽が引き金になって、またこの胸を打ち抜いたりする。
不自由な生き物だ。人間って。
秦 基博 / 鱗(うろこ)
思い出したくない訳じゃない。
本当はずっとずっと、思い出すどころか心の隙間にへばりついてる。
ただ
あの頃大好きだった曲が、
こうして本当に小さなキッカケで
絶対的な思い出になってしまったと実感した瞬間に
苦味や酸味を帯びたものになってしまう。