まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

ホントの自分

2009-10-14 23:45:51 | 幸せの倫理学
また授業が始まってしまいました。
2ヶ月以上やっていなかったことをまた再開するかと思うと、
ちょっと暗くなります。

でもここ数年は4月と10月の初っぱなに看護学校の授業が入っているので、
それをやりながら暖機運転というか、
じょじょに身体をならしていくことができるようになりました。
といっても別に看護師志望の女子学生に囲まれて
悦に入っているというわけではなく、
ワークショップ形式にしているので、
ワイワイ楽しく授業ができていい、ということです。
90分間ひとりでしゃべり続ける講義形式の授業とはダメージが違います。

看護学校ではいつも1時間目は 「汝自身を知れ」 というテーマで始めます。
最初にみんなに紙を配って、
自分のモットー (生き方の原則) とか興味・関心とかを書いてもらいます。
次に4~5人くらいのグループを作ってもらって、
みんなで紙を回し、ひとことずつその人のことを紹介してもらいます。
一回りしたところで、
自分で考えている自分とみんなから思われている自分とを比べてもらい、
どう感じたかを振り返ってもらいます。

例年このワークをやってもらうと、
ホントの自分って何だろうって悩み出しちゃう子がいるので、
ひとことフォローを入れるようにしています。

「自分の声を録音してあとで聞いてみると、
全然ヘンな声で自分の声じゃないって思ったことない?
でもまわりの人に聞いてみるとこれがあなたの声だよって言われるよね。
自分が自分の身体を通して聞いてる自分の声と、
他の人が聞いてる自分の声はちがっているんだそうです。
浜崎あゆみの歌声をみんな知ってるけど、
たぶん浜崎あゆみ本人はあんな声で歌ってるつもりはなくて、
ぼくたちが知らない声で歌ってるんだろうね。
さてその場合、ホントの浜崎あゆみの声はどっちなんだろう?
みんなが聞いてるあの声か、
それとも浜崎あゆみしか聞いたことのない浜崎あゆみの声か?
自分しか知らない自分の声がホントの自分の声なんだろうか?
それと同じことが声だけじゃなくて、
ホントの自分にも当てはまるかもしれないね。
みんなが知ってるあなたがホントのあなたなのか、
あなただけが知ってるあなたがホントのあなたなのか。
この問いに正解はありません。
この授業を通して考え続けてみてください。」

こうして、いたいけな看護学生たちは、
ワイワイみんなで楽しく話し合ってたはずなのに、
いつの間にか哲学の底なしの深淵へと引きずり込まれていくのです。
おお、コワイ。