まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

教室の倫理

2009-10-26 15:36:48 | 教育のエチカ
毎年、毎学期、講義科目の最初の回には、
オリエンテーションのあとに 「教室の倫理」 という話をしています。
講義科目というのはたくさんの人間が集まる場ですから、
どうしてもある一定のルールが必要となります。
ふつうは、ルールというのは時の流れの中でなんとなくできていくものですが、
私が担当するのは倫理学の講義ですので、
なんとなくに任せていてはもったいないです。
第1回めの授業で明文化して取り上げることによって、
倫理や倫理学に対する学生たちの興味関心を喚起すると同時に、
教室でのマナーがなぜ大事で必要なのかを理解させる場としています。
今日のところは説明は抜きにして、学生に配布しているレジュメの内容だけ、
アップしておくことにいたします。
この中で一番言いたいことは、「学生の完全義務」 の中の 「私語の禁止」 なんですが、
それだけを言うのではなく、できるだけ網羅的に、
特に 「学生の義務」 だけではなく 「教員の義務」 もいっしょに (しかもそれを先に)、
提示してあげているところがミソです。


           教 室 の 倫 理
1.倫理とは何か
倫=仲間、人々の集まり
理=筋目、きまり、ルール、義務

2.カントによる義務の区分
完全義務   完全に守るのが当然で、守れないと罰せられるような義務
          ex.殺人の禁止、窃盗の禁止、etc.
不完全義務  守れなくても仕方がないが、守れると功績とみなされるような義務
          ex.人助けの義務、自分の才能を開発する義務、etc.

3.教員と学生の完全義務・不完全義務
教室の倫理 複数の人間が集まってくる教室にはおのずとルールが必要とされるはず
                  ↓
ただし教員と学生は立場が異なるので、それぞれ守るべきルールも異なる
授業形態等の違いによってもルールは異なってくるはず

教室の倫理・小野原私案 [講義型授業の場合]
 教員の完全義務
 ・授業をする
 ・無断欠席をしない
 ・聞こえるように話す
 ・読めるように書く
 ・公正な評価をする
 ・教員の特権を不正に行使しない(セクシャルハラスメントの禁止、etc.)

 教員の不完全義務
 ・時間を厳守する(特に授業時間をむやみに延長しない)
 ・美しい声で話す
 ・美しい字を書く
 ・魅力的な授業、おもしろい(interesting)授業をする

 学生の完全義務
 ・他の学生の受講の邪魔をしない
  (私語の禁止、暴力の禁止、携帯電話の電子音等の禁止、etc.)
 ・不正行為をしない(カンニングの禁止、代返の禁止、etc.)
 ・当該科目に関して最低限の勉強をする(きちんと出席する、試験勉強をする、etc.)

 学生の不完全義務
 ・積極的に授業に参加する=教員が講義しやすい雰囲気を整える
  (授業時間中にむやみに教室の出入りをしない、まじめに聴講する、
   聞き上手になる、積極的に質問する、etc.)
 ・主体的に学問する
  (参考文献等を進んで読む、自ら研究を深める、etc.)