
昨日書き忘れましたが、せっかく大枚はたいて行ってきた、一泊二日の九州旅行ですので、
しばらくはこの話題で引っ張り続ける気満々です。
そのことは、タイトルからしてお察しいただけただろうと思います。
さて、私は世が世なら今ごろは温泉旅館の経営者だったかもしれません。
父方の実家は嬉野温泉 (「うれしのおんせん」 と読みます) で、
「亀屋」 という旅館をやっていました。
たぶん祖父が始めたのだと思いますが、
戦時中は東南アジアへ派兵される日本軍の駐屯地 (?) として使われたりして、
相当儲かっていたと聞いています。
祖父の死後、長男である伯父が継いでいたのですが、
伯父には子どもがいなかったため、次男である父の長男である私が、
跡取り息子として亀屋旅館を相続するということもありえたわけです。
残念ながらそんな問題が浮上するずっと前に、亀屋旅館はつぶれてしまいましたので、
おかげさまで私は、九州から遠く離れた東北の地・福島で、
こうして大学教員としてブログを書いていられるわけです。
伯父が継いでいた頃は、旅館経営というのは相当たいへんな時代だったろうと思います。
私は子どもの頃に亀屋旅館に何回か遊びに行ったことがあるのですが、
とても古い造りの昔ながらの旅館でした。
露天風呂もなければ、部屋もさして広くないただの和室で、
もっぱら温泉の泉質にのみ依存している温泉旅館でした。
サービス重視の近代的ホテルに生まれ変わらなければならない時期だったのだと思いますが、
当時そういう余力はもう残っていませんでした。
まあ、伯父もきっぷのいい人で、取り巻き連中を引き連れて豪遊したりしていたそうですが、
伯父の羽振りが悪くなったとたんにそういう人たちはサーッと姿を消してしまった、
なんていう噂も耳にしました。
そんなこんなでけっきょく旅館をたたむことになり、
旅館の裏手にあった居住用の家屋とともに売り払ったわけですが、
その跡地一帯には、現在 「ホテル桜」 という、
まさに亀屋旅館がこう生まれ変わるべきであったろうという近代的ホテルが建てられています。
最近の我が家の慣行では、お墓参りと法要をすませたあとの会食を、
この 「ホテル桜」 の1階にある和風レストラン 「花月」 で開催することになっています。
どんなルサンチマンだかわかりませんが、
今回も 「ホテル桜」 で遅めの昼食をいただくことになりました。
前回の13回忌のときは、
父が佐賀県有田市で高校の教員をやっていた頃の教え子の方たちもお招きして、
ある種オフィシャルな形で法要会食を行ったのですが、
今回は、母、伯母 (伯父の奥さん)、弟、私、私の妻の5人だけの参加ですので、
特に予約を入れることもなく、メニューも決めず、飛び込みで入店し、
それぞれが食べたいものを注文することにしました。
みんな思い思いに一番高い 「桜御膳」 や 「鰻蒲焼き御膳」 などを頼んでいるなか、
私はこれしかないだろうという感じで 「温泉湯どうふ御膳」 を選びました。
嬉野温泉は 「日本三大美肌の湯」 と言われており、
実際に入浴してみると、肌がつるつる (というかヌルヌル?) になるのです。
それは、ナトリウム - 炭酸水素塩・塩化物泉 (旧称では重曹泉) だからだそうですが、
この泉質を利用して昔から、
嬉野温泉の名物として 「温泉湯豆腐」 というメニューが開発されているのです。
私は以前、父と帰省したときに (もう亀屋旅館はつぶれたあとでした)、
共同浴場に行くことになり、すると祖母から一升瓶を渡されて、
源泉からお湯を汲んでくるように言われました。
源泉というのは、共同浴場の中の普通の男湯の奥の方にある、
お湯がジャバジャバ出ている蛇口のことなんです。
都会っ子としての私の衛生感覚からして 「ええっ
」 という感じでしたが、
他の皆さんも当たり前のようにスッポンポンでお湯を汲んでいらっしゃいますので、
郷に入りては郷に従えということでしかたなく、
タオルを使って熱湯から手を守りながら、父と2人でなんとかお湯をゲットしました。
祖母はそのお湯を使って湯豆腐を作ってくれたのです。
冒頭の写真にあるとおり、最初は何の変哲もない湯豆腐なんですが、
嬉野温泉のお湯で豆腐を煮込んでいくと、しだいに豆腐がお湯に溶け出して、
お湯が白濁し、こんな感じになっていきます。
そして、豆腐自体も美肌になり、ヌルッとした食感に変わってゆくのです。
これを、すりゴマをたっぷり入れた醤油 (またはポン酢醤油) でいただくのが、
嬉野温泉名物 「温泉湯豆腐」 です。
「ホテル桜」 のは鍋っぽく、いろいろな野菜なども入れて、
1人用の鍋で食卓で煮込んでいくようになっていますが、
一般家庭では豆腐のみを、あらかじめ煮込んでしまって白濁化した状態で、
ゴマだれと万能ネギをかけて出されるようです。
どちらも絶品です。
一度、アルカリイオン水で作ったらああなるんじゃないかと思ってやってみましたが、
失敗に終わりました。
やはり嬉野温泉の重曹泉を使わなければならないようです。
私は気分だけ味わうために、湯豆腐に鰹節ではなく、
すりゴマをかけていただいたりしていますが、
やはり本場の味は、嬉野まで来ないと味わえないようです。
最後に残った白濁した温泉の湯にちょびっとゴマだれを加え、
父と一緒に食べた、祖母が作ってくれた温泉湯豆腐を思い出しながら、
最後の一滴まで飲み干していったのでした。
しばらくはこの話題で引っ張り続ける気満々です。
そのことは、タイトルからしてお察しいただけただろうと思います。
さて、私は世が世なら今ごろは温泉旅館の経営者だったかもしれません。
父方の実家は嬉野温泉 (「うれしのおんせん」 と読みます) で、
「亀屋」 という旅館をやっていました。
たぶん祖父が始めたのだと思いますが、
戦時中は東南アジアへ派兵される日本軍の駐屯地 (?) として使われたりして、
相当儲かっていたと聞いています。
祖父の死後、長男である伯父が継いでいたのですが、
伯父には子どもがいなかったため、次男である父の長男である私が、
跡取り息子として亀屋旅館を相続するということもありえたわけです。
残念ながらそんな問題が浮上するずっと前に、亀屋旅館はつぶれてしまいましたので、
おかげさまで私は、九州から遠く離れた東北の地・福島で、
こうして大学教員としてブログを書いていられるわけです。
伯父が継いでいた頃は、旅館経営というのは相当たいへんな時代だったろうと思います。
私は子どもの頃に亀屋旅館に何回か遊びに行ったことがあるのですが、
とても古い造りの昔ながらの旅館でした。
露天風呂もなければ、部屋もさして広くないただの和室で、
もっぱら温泉の泉質にのみ依存している温泉旅館でした。
サービス重視の近代的ホテルに生まれ変わらなければならない時期だったのだと思いますが、
当時そういう余力はもう残っていませんでした。
まあ、伯父もきっぷのいい人で、取り巻き連中を引き連れて豪遊したりしていたそうですが、
伯父の羽振りが悪くなったとたんにそういう人たちはサーッと姿を消してしまった、
なんていう噂も耳にしました。
そんなこんなでけっきょく旅館をたたむことになり、
旅館の裏手にあった居住用の家屋とともに売り払ったわけですが、
その跡地一帯には、現在 「ホテル桜」 という、
まさに亀屋旅館がこう生まれ変わるべきであったろうという近代的ホテルが建てられています。
最近の我が家の慣行では、お墓参りと法要をすませたあとの会食を、
この 「ホテル桜」 の1階にある和風レストラン 「花月」 で開催することになっています。
どんなルサンチマンだかわかりませんが、
今回も 「ホテル桜」 で遅めの昼食をいただくことになりました。
前回の13回忌のときは、
父が佐賀県有田市で高校の教員をやっていた頃の教え子の方たちもお招きして、
ある種オフィシャルな形で法要会食を行ったのですが、
今回は、母、伯母 (伯父の奥さん)、弟、私、私の妻の5人だけの参加ですので、
特に予約を入れることもなく、メニューも決めず、飛び込みで入店し、
それぞれが食べたいものを注文することにしました。
みんな思い思いに一番高い 「桜御膳」 や 「鰻蒲焼き御膳」 などを頼んでいるなか、
私はこれしかないだろうという感じで 「温泉湯どうふ御膳」 を選びました。
嬉野温泉は 「日本三大美肌の湯」 と言われており、
実際に入浴してみると、肌がつるつる (というかヌルヌル?) になるのです。
それは、ナトリウム - 炭酸水素塩・塩化物泉 (旧称では重曹泉) だからだそうですが、
この泉質を利用して昔から、
嬉野温泉の名物として 「温泉湯豆腐」 というメニューが開発されているのです。
私は以前、父と帰省したときに (もう亀屋旅館はつぶれたあとでした)、
共同浴場に行くことになり、すると祖母から一升瓶を渡されて、
源泉からお湯を汲んでくるように言われました。
源泉というのは、共同浴場の中の普通の男湯の奥の方にある、
お湯がジャバジャバ出ている蛇口のことなんです。
都会っ子としての私の衛生感覚からして 「ええっ

他の皆さんも当たり前のようにスッポンポンでお湯を汲んでいらっしゃいますので、
郷に入りては郷に従えということでしかたなく、
タオルを使って熱湯から手を守りながら、父と2人でなんとかお湯をゲットしました。
祖母はそのお湯を使って湯豆腐を作ってくれたのです。
冒頭の写真にあるとおり、最初は何の変哲もない湯豆腐なんですが、
嬉野温泉のお湯で豆腐を煮込んでいくと、しだいに豆腐がお湯に溶け出して、
お湯が白濁し、こんな感じになっていきます。
そして、豆腐自体も美肌になり、ヌルッとした食感に変わってゆくのです。
これを、すりゴマをたっぷり入れた醤油 (またはポン酢醤油) でいただくのが、
嬉野温泉名物 「温泉湯豆腐」 です。
「ホテル桜」 のは鍋っぽく、いろいろな野菜なども入れて、
1人用の鍋で食卓で煮込んでいくようになっていますが、
一般家庭では豆腐のみを、あらかじめ煮込んでしまって白濁化した状態で、
ゴマだれと万能ネギをかけて出されるようです。
どちらも絶品です。
一度、アルカリイオン水で作ったらああなるんじゃないかと思ってやってみましたが、
失敗に終わりました。
やはり嬉野温泉の重曹泉を使わなければならないようです。
私は気分だけ味わうために、湯豆腐に鰹節ではなく、
すりゴマをかけていただいたりしていますが、
やはり本場の味は、嬉野まで来ないと味わえないようです。
最後に残った白濁した温泉の湯にちょびっとゴマだれを加え、
父と一緒に食べた、祖母が作ってくれた温泉湯豆腐を思い出しながら、
最後の一滴まで飲み干していったのでした。
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