私が、お付き合い頂いた会社の中で、社員が”少しですが”楽しそうに働いていた会社を三回に分けて紹介します。 テレビ東京の『カンブリア宮殿』で紹介される程の優良企業では有りませんが!
【結論 :私の言いたいこと】
企業にとっての宝物は”人財”です。社員を”人財”にするにはどうしたら良いと思われますか? 非常に難しい質問の様に思われるかも知れませんが、答は簡単です。 重役達が『社員は”宝物”だ』と考えれば良いのです。
社員を押さえつけたら駄目です。 経営者が社員を大切に思っている事を社員が認識して、社員に少しだけ”自由”を与えたら、社員は”人財”と呼べる存在になると、私は考えます。 前稿に書いた、”駄目な社員”は、害虫の様に見付け次第に処置する事も肝要です。
【甥を営業マンにした加工会社】
1990年頃のプレス加工の会社の話しです。 私は当時、開発に成功したら部品をプレス加工で量産する計画の自動車向けの装置を開発していたので、プレス加工業者を調べていました。 面識の無い重役から、「プレス加工のK社との取引を検討中なのだが、工場サーベイ(調査)をしてくれ!」と依頼がありました。 早速、K社を訪問しました。
一般にプレス加工の会社は、”3K(きつい、危険、きたない)”のイメージが強いですが、全く違った印象でした! 何故、こんな優良会社に成れたのか?興味深かったので、隅から隅まで見学させて頂き、沢山の社員と話しました。
数年前までは、社員10名弱の小さな会社でした。 社長の甥が、東京六大学のスポーツ選手だったのですが、プロ選手になれず、適当な就職口が無かったので、引き取って営業担当にしたのです。 一般には、小規模の加工業者の営業は社長が担当しますが、積極的で人当たりの良い若い担当者にしたことで、仕事が沢山入る様になって、新工場を建てました。 新工場には最新の機械を導入し、照明器具を多くして工場を明るくしました。
プレス加工には重い金型が必要で、金型を取り替えるのに、1~3時間掛かります。 金型は最終形状/寸法に作らないで、何回か試し打ちをして、少しずつ修正して完成させるのです。 新工場が立ち上がると、旧工場の古い機械を全て廃棄して、新工場と同じ機械を導入しました。 旧工場は、試し打ちと金型の修正に専念出来る体制にしたのです。 これらの工夫で、顧客からの注文から試作品の納入までに掛かる時間が大幅(約1/2)に短縮される事になりました。
新工場は量産だけを担当するので、効率が飛躍的にアップして、コストダウンになったのです。 私は工場サーベイに行く前に、他社の納期や価格を調べてみたのですが、納期は短い、価格は20~30%安い、多分相当無理していると予想していました。 特別な納期でも価格でも無く、この会社では適正な利潤の出る普通の見積でした!
私が訪問する数日前に、事務所の机、椅子等の備品を全て廃棄して、オフィスレイアウト専門家に依頼して超近代的な事務室にリホームしていました。 制服も明るい色のモダンな物に変えていました。 日本の経営者は、儲かった金の大半を内部留保に回しますが、この会社の様に金を使ったら、短時間に会社が変身出来る事を学びました。
(余談) 工場に隣接して駐車場が有りました。大形の車は有りませんでしたが、なんと!全てカラフルなヨーロッパ製でした。 給料を、それなりに出しているのだと、判断しました。 現在、この会社は海外にも工場を所有しています。
【地方に移転して成功した会社】
東京に機械加工と軽合金の”冷間鍛造”をする町工場が有りました。 プレスに上型と下型を装着し、下型に金属素材を置いて、(素材を加熱しないで)室温で圧縮成形する事を冷間鍛造と呼びます。 どうしてもプレス加工には振動/騒音問題が有りますので、東京都から支援金を沢山貰って、プレス部門だけ地方に移転しました。 田舎の新設の工業団地に工場を建設して、数名の従業員を単身赴任させました。
新工場は、社員10名程でスタートした様ですが、東京から行った社員は次々と辞めてしまい、一人だけ残った方が、工場長になっていました。 一方受注量は順調に伸びて行ったそうです。 それで、地元の高校卒業生を次々に採用しました。 定着率が良かったので、高校は優秀な生徒を紹介してくれる様になったそうです。 まだ二十歳代の若者達が工場の中心になりました。一番優秀な社員を東京本社勤務にして営業を任せ、彼より二三歳若い社員を技術の中心に抜擢していました。 (二人とも、難しい加工に挑戦する、優れた技術者でした。)
隣の工場が閉鎖したので、買い取って工場を倍に拡張しました。私が付き合っていた時、隣の農地の買収交渉を始めていました。 さらに増設すると、「契約電気量が大幅に増えるので、新たに電気技師を採用する必要があります。探して貰えませんか?」と言われました。その後、海外にも工場を建設した様です。
私が最初に訪問した日は給料日で、「工場長が社員全員に話しがあるので」と言って、打合せを中断しました。彼等は満面の笑みを浮かべて帰ってきました。 その月から、大幅に給料を上げる事になったのだそうです。この工業団地を取得する条件に、人材が一社に偏らない様に、給料の上限を約束させられたのだそうです。ドンドン儲かる様になたので、社長が給料の上限規定を撤廃して貰う様に働き掛けていたのですが、了解が得られなかったのです。しびれを切らせた社長が、約束を違えて適正給与にしたわけです。
(余談) 私は、プレス加工をする会社を十数社見学しました。 その多くは典型的な『3K(きつい、汚い、危険 』の職場でした。 (私は更に『暗い』を追加して4Kの職場だと思います。) 昔から、手の指を切断する事故が多数発生する危険な職場です。 然し、上記の2社は全く違っていました。 4Kの職場では、若い人から敬遠されますから、いずれ会社を閉める事になります。
一方、プレス加工は日本の産業にとって極めて重要です。 貴方の身近には沢山プレス加工した品物が有ります。 上で紹介した様な、会社が増える様に国は支援すべきだと思います。
【工場のレイアウトをチョット変えただけ!】
社員数十名の、機械加工の田舎の会社の話しです。 この会社では、比較的小さな部品を加工していました。材料はアルミが50%、鉄と銅が50%ほどでした。 アルミは素材も完成品も比較的軽いので、女性達が担当していました。 工場を二等分して、アルミを加工する機械と、その他を加工する機械を別々に配置しましたが、期待した効果は得られなかったそうです。
私が訪問した時は、工場を背丈ほどの高さのベニヤ板で仕切っていました。 案内して頂いた方から、「この仕切りを設けたら、効果覿面でした! 何故だと思われますか?」と問題を出されました。 貴方の回答は?
仕切りを設けたら女性達は古手の男性社員から、とやかく言われなくなります。 「ちょっと、これを運んで!」などと男性達に使われる事も有りません。 女性は綺麗好きが多いいですから、毎日、職場の掃除をします。 女性はタバコ休憩も少ないです。 ・・・⇒女性達のアルミ加工部署の生産性が向上します。
男性社員達も負けてられません。男性達も掃除をする様になり、無駄話をしなくなったのです。
★★★★★★★★★★★★
大切な姉が逝きました!
今週、私にとって大切な姉が逝きました。 16歳も離れた、一番上の姉でした。 恥ずかしながら、まだ少し落ち込んでいます。
私は六人兄弟の末っ子で、上は全て姉です。父は息子を熱望・切望・渇望していた様で、私を可愛がりました。 何処かに出掛ける時は私を連れて行き、何かする時は私と一緒にやりたがりました。 母は、それが嫌だったようで、普通の”お母さん”の様には私に接してくれませんでした。 一番上の姉は、多分その事を知っていたのだと思います。私が物心が付く前から、姉は母親の様に私を可愛がってくれたのです。
母は、亡くなる一か月程前に、「お前に焼きもちを焼いていた、ごめんね!ごめんね!」と何回も言いました。私は言葉が出なかったです。 会社での逆境に耐えられたのは、小さい時に姉が優しく育ててくれたお陰だと思っています。
【結論 :私の言いたいこと】
企業にとっての宝物は”人財”です。社員を”人財”にするにはどうしたら良いと思われますか? 非常に難しい質問の様に思われるかも知れませんが、答は簡単です。 重役達が『社員は”宝物”だ』と考えれば良いのです。
社員を押さえつけたら駄目です。 経営者が社員を大切に思っている事を社員が認識して、社員に少しだけ”自由”を与えたら、社員は”人財”と呼べる存在になると、私は考えます。 前稿に書いた、”駄目な社員”は、害虫の様に見付け次第に処置する事も肝要です。
【甥を営業マンにした加工会社】
1990年頃のプレス加工の会社の話しです。 私は当時、開発に成功したら部品をプレス加工で量産する計画の自動車向けの装置を開発していたので、プレス加工業者を調べていました。 面識の無い重役から、「プレス加工のK社との取引を検討中なのだが、工場サーベイ(調査)をしてくれ!」と依頼がありました。 早速、K社を訪問しました。
一般にプレス加工の会社は、”3K(きつい、危険、きたない)”のイメージが強いですが、全く違った印象でした! 何故、こんな優良会社に成れたのか?興味深かったので、隅から隅まで見学させて頂き、沢山の社員と話しました。
数年前までは、社員10名弱の小さな会社でした。 社長の甥が、東京六大学のスポーツ選手だったのですが、プロ選手になれず、適当な就職口が無かったので、引き取って営業担当にしたのです。 一般には、小規模の加工業者の営業は社長が担当しますが、積極的で人当たりの良い若い担当者にしたことで、仕事が沢山入る様になって、新工場を建てました。 新工場には最新の機械を導入し、照明器具を多くして工場を明るくしました。
プレス加工には重い金型が必要で、金型を取り替えるのに、1~3時間掛かります。 金型は最終形状/寸法に作らないで、何回か試し打ちをして、少しずつ修正して完成させるのです。 新工場が立ち上がると、旧工場の古い機械を全て廃棄して、新工場と同じ機械を導入しました。 旧工場は、試し打ちと金型の修正に専念出来る体制にしたのです。 これらの工夫で、顧客からの注文から試作品の納入までに掛かる時間が大幅(約1/2)に短縮される事になりました。
新工場は量産だけを担当するので、効率が飛躍的にアップして、コストダウンになったのです。 私は工場サーベイに行く前に、他社の納期や価格を調べてみたのですが、納期は短い、価格は20~30%安い、多分相当無理していると予想していました。 特別な納期でも価格でも無く、この会社では適正な利潤の出る普通の見積でした!
私が訪問する数日前に、事務所の机、椅子等の備品を全て廃棄して、オフィスレイアウト専門家に依頼して超近代的な事務室にリホームしていました。 制服も明るい色のモダンな物に変えていました。 日本の経営者は、儲かった金の大半を内部留保に回しますが、この会社の様に金を使ったら、短時間に会社が変身出来る事を学びました。
(余談) 工場に隣接して駐車場が有りました。大形の車は有りませんでしたが、なんと!全てカラフルなヨーロッパ製でした。 給料を、それなりに出しているのだと、判断しました。 現在、この会社は海外にも工場を所有しています。
【地方に移転して成功した会社】
東京に機械加工と軽合金の”冷間鍛造”をする町工場が有りました。 プレスに上型と下型を装着し、下型に金属素材を置いて、(素材を加熱しないで)室温で圧縮成形する事を冷間鍛造と呼びます。 どうしてもプレス加工には振動/騒音問題が有りますので、東京都から支援金を沢山貰って、プレス部門だけ地方に移転しました。 田舎の新設の工業団地に工場を建設して、数名の従業員を単身赴任させました。
新工場は、社員10名程でスタートした様ですが、東京から行った社員は次々と辞めてしまい、一人だけ残った方が、工場長になっていました。 一方受注量は順調に伸びて行ったそうです。 それで、地元の高校卒業生を次々に採用しました。 定着率が良かったので、高校は優秀な生徒を紹介してくれる様になったそうです。 まだ二十歳代の若者達が工場の中心になりました。一番優秀な社員を東京本社勤務にして営業を任せ、彼より二三歳若い社員を技術の中心に抜擢していました。 (二人とも、難しい加工に挑戦する、優れた技術者でした。)
隣の工場が閉鎖したので、買い取って工場を倍に拡張しました。私が付き合っていた時、隣の農地の買収交渉を始めていました。 さらに増設すると、「契約電気量が大幅に増えるので、新たに電気技師を採用する必要があります。探して貰えませんか?」と言われました。その後、海外にも工場を建設した様です。
私が最初に訪問した日は給料日で、「工場長が社員全員に話しがあるので」と言って、打合せを中断しました。彼等は満面の笑みを浮かべて帰ってきました。 その月から、大幅に給料を上げる事になったのだそうです。この工業団地を取得する条件に、人材が一社に偏らない様に、給料の上限を約束させられたのだそうです。ドンドン儲かる様になたので、社長が給料の上限規定を撤廃して貰う様に働き掛けていたのですが、了解が得られなかったのです。しびれを切らせた社長が、約束を違えて適正給与にしたわけです。
(余談) 私は、プレス加工をする会社を十数社見学しました。 その多くは典型的な『3K(きつい、汚い、危険 』の職場でした。 (私は更に『暗い』を追加して4Kの職場だと思います。) 昔から、手の指を切断する事故が多数発生する危険な職場です。 然し、上記の2社は全く違っていました。 4Kの職場では、若い人から敬遠されますから、いずれ会社を閉める事になります。
一方、プレス加工は日本の産業にとって極めて重要です。 貴方の身近には沢山プレス加工した品物が有ります。 上で紹介した様な、会社が増える様に国は支援すべきだと思います。
【工場のレイアウトをチョット変えただけ!】
社員数十名の、機械加工の田舎の会社の話しです。 この会社では、比較的小さな部品を加工していました。材料はアルミが50%、鉄と銅が50%ほどでした。 アルミは素材も完成品も比較的軽いので、女性達が担当していました。 工場を二等分して、アルミを加工する機械と、その他を加工する機械を別々に配置しましたが、期待した効果は得られなかったそうです。
私が訪問した時は、工場を背丈ほどの高さのベニヤ板で仕切っていました。 案内して頂いた方から、「この仕切りを設けたら、効果覿面でした! 何故だと思われますか?」と問題を出されました。 貴方の回答は?
仕切りを設けたら女性達は古手の男性社員から、とやかく言われなくなります。 「ちょっと、これを運んで!」などと男性達に使われる事も有りません。 女性は綺麗好きが多いいですから、毎日、職場の掃除をします。 女性はタバコ休憩も少ないです。 ・・・⇒女性達のアルミ加工部署の生産性が向上します。
男性社員達も負けてられません。男性達も掃除をする様になり、無駄話をしなくなったのです。
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大切な姉が逝きました!
今週、私にとって大切な姉が逝きました。 16歳も離れた、一番上の姉でした。 恥ずかしながら、まだ少し落ち込んでいます。
私は六人兄弟の末っ子で、上は全て姉です。父は息子を熱望・切望・渇望していた様で、私を可愛がりました。 何処かに出掛ける時は私を連れて行き、何かする時は私と一緒にやりたがりました。 母は、それが嫌だったようで、普通の”お母さん”の様には私に接してくれませんでした。 一番上の姉は、多分その事を知っていたのだと思います。私が物心が付く前から、姉は母親の様に私を可愛がってくれたのです。
母は、亡くなる一か月程前に、「お前に焼きもちを焼いていた、ごめんね!ごめんね!」と何回も言いました。私は言葉が出なかったです。 会社での逆境に耐えられたのは、小さい時に姉が優しく育ててくれたお陰だと思っています。
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