【はじめに】
今回は、アフガニスタンについて書きます。このシリーズは、「各国で民主主義化がドンナニして進んだか?」がテーマですが、有史以来アフガニスタンは戦争に明け暮れていて、女性蔑視のイスラム教国ですから、民主化は殆ど進んでいません。 今世紀中に民主化するとも思えません。アフガニスタンの民主主義化がドンナニ難しいか!と言う話になってしまいました。
グーグルアースで日本を見ると「緑豊かな国だ!」と実感しますが、アフガニスタンは真逆の国です。国土は日本の2倍ほど有りますが、禿山が大半です。夏は暑く、冬は氷点下20度にもなり、降水量は非常に少ない厳しい自然環境の国です。
現在は世界の最貧国の一つですが、手付かずの地下資源が豊富にあることが分かってきました。アフガニスタン人が内戦をやめて、神の恵みの地下資源を活用したら、豊かな国になれる可能性は十分有ります。然し、タリバンがイスラム原理主義を固守する限りは、内戦は収まりそうに有りません。
中国が、非人道的な手段を駆使して反タリバン勢力を徹底的に弾圧したら、数年以内に内戦は収まる可能性が有ります。 アフガニスタンがテロの温床で無くなるのなら、(口先では非難すると思われますが、)欧米諸国はタリバンと中国軍による虐殺を容認すると予想します。
第5章 :アフガニスタン
【アフガニスタンの基礎データ】
アフガニスタンには10を超える民族が住んでいて、一番多いいのはパシュトゥーン人(42%)です。 アフガニスタン人が大切にするのは、❶親族→❷一族→➌部族だと言われています。 無数の部族があり、部族集団が有ります。
現在の主都『カブール』はタジク人の拠点でした。1776年に、パシュトゥーン人が主流だったカンダハールから遷都したのです。平野部に住むタジク人は、時の政権に協力的でしたが、山岳地帯に住むタジク人は反王朝の活動(戦闘)をするのが常でした。
貿易収支が大幅な赤字の国です。(他国からの支援無しでは国民を食べさせることが出来ない国です。)
★ 人口 :3,750万人(2021年)
★ 面積 :65.2km2 (日本の約2倍)
★ 1人当たりのGDP :499ドル・・・世界の最貧国の一つです。
★ 多民族国家 :パシュトゥーン人(42%)、タジク人(27%)、ウズベク人、トルクメン人、ハザーラ人・・・
★ 宗教 :イスラム教;スンナ派(85%)、シーア派(14%)
★ 公用語 :パシュトー語、ダリー語(タジク人の言語)・・・ほぼ各民族が異なる言語を話す。
★ 輸出 : 8.75億ドル(2018年)・・・麻薬を輸出した金は含まれていません。
★ 輸入 :74.06億ドル(2018年)・・・31%が食品です。
★ タリバンの兵力≒6万人、支援してきた軍閥≒10万人
【アフガニスタンの歴史】
大昔のアフガニスタンの歴史を勉強するのは難しいです。隣国と陸続きですから、国境は安定していません。昔のアフガニスタンの中心都市は『ヘラート』でした。その周辺がどの国に支配されていたか?ドンナ戦いが有ったのか?・・・を調べてから、アフガニスタン全体の歴史を勉強されると分かり易く/面白くなります。
アフガニスタンには、近隣諸国が何回も侵入しました。 強大な軍隊を持ったアレキサンダー大王、モンゴル帝国、チムール大王、大英帝国、ソ連などが侵攻しましたが、長期間支配する事は出来ませんでした。 それで、アフガニスタンを『帝国の墓場』と呼びます。
アフガニスタンは、外敵が侵攻すると戦い、外敵が撤退すると部族間で戦う事を繰り返して来た国です。
大英帝国とソ連は19世紀にアフガニスタンの国境を、両国にとって都合の良い様に勝手に決めました。その国境は現在もほぼ引き継がれています。(この問題は後で書きます。)
1978年に左派で一党独裁のアフガニスタン民主共和国が誕生しましたが、反政府運動は収まりませんでした。1979年に左派政権を支援する為に、近代兵器を装備したソ連軍が侵攻しました。民間人の犠牲を殆ど考慮しないソ連軍が、10年間も駐留しましたが、反政府運動を抑えられず1989年に撤退しました。
反政府運動の有力な軍閥集団だったタリバンが1996年に国土の3/4を支配して、タリバン政権(アフガニスタン・イスラム首長国)を発足させました。 承認する国は少なかった様ですが、国連に大使を派遣していた様です。 『北部同盟』が反政府運動(戦闘)を続けました。
2001年に9.11テロ事件が発生し、アメリカからの「アルカイダの指導者・オサマ・ビンラディンの引き渡し要求」を拒絶したために、アメリカが侵攻したのです。北部同盟を主体にした傀儡政権を設け、20年間も支援し続けましたが、タリバンなどの反政府活動を収める事が出来ませんでした。
アメリカはCIAと特殊部隊を投入して、10年後の2011年にオサマ・ビンラディンがパキスタンに潜伏している事を突き止めて、殺害しました。 この時点で、当初の目的は達成したのですから、撤退すべきだったと私は考えます。 「アフガニスタンを民主主義国に変えたい」と言う目標に変更して、泥沼にはまってしまった様に見えました。 そして、アメリカも『帝国の墓場』に葬られたのです。
★ アレキサンダー大王の侵攻 :紀元前4世紀
★ モンゴル帝国の侵攻 :13世紀
★ チムール大王の侵攻 :14世紀
★ 第一次アフガン戦争 :1839年~42年・・・イギリス東インド会社軍が侵攻したが、反乱軍に敗れて撤退した。
★ イランのカージャール朝の侵攻 :1856年
★ 第二次アフガン戦争 :1878年~80年・・・イギリス軍が侵攻し、イギリスの保護国になる事を条件に撤退した。
★ アフガニスタンとパキスタンの国境 :1893年・・・パシュトゥーン人の居住地域をイギリスが勝手に分割し、一部をパキスタンに含めた。
★ 第三次アフガン戦争 :1919年・・・イギリスに勝利して→→独立(アフガニスタン王国)
★ アフガニスタン王国 :1926年~73年
★ 第二次世界大戦 : ・・・アフガニスタンは中立を貫いた。
★ 立憲君主国 :1964年
★ アフガニスタン共和国 :1973年~78年
★ アフガニスタン民主共和国 :1978年~92年
★ アフガニスタン紛争 :1979年にソ連軍が侵攻~89年にソ連軍が撤退した。
★ アフガニスタン紛争 :1989年~2001年・・・内戦
★ タリバン政権 :1996年~2001年;国土の3/4を支配した。
★ 9.11テロ事件 :2001年
★ アメリカと有志連合の侵攻 :2001年10月~2021年8月
★ 傀儡政権 :タリバン政権と戦っていた『北部同盟』が中心でした。
★ タリバン政権 :2021年~
【国境を接する国】
日露戦争に敗れたロシア帝国は、中央アジアへの進出を図り、成功しました。(現在のカザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)
イギリスは、インドの一部を植民地化し、さらにパキスタンに侵攻し英領インドの一部にしました。 イギリスとロシア帝国は、アフガニスタンを緩衝地帯にして、互いの植民地が直接接し無い様にしたのです。この時、両国に取って好ましい国境線を引きました。
パキスタンとタジキスタンの間に、アフガニスタンの細長い領土が有り、それが中国の新疆ウイグル自治区にまで続いています。これは、緩衝地帯として設けたのです。
イギリスが、第二次アフガン戦争の後でパシュトゥーン人が住んでいた地域を分割して一部をパキスタン領にして→英領インドにしてしまいました。それまでのアフガニスタンはパシュトゥーン人が多いい国だったと思いますが、現在は42%程です。この分割が無かったら、パシュトゥーン人の割合が60%以上になっており、アフガニスタンはもう少し平和だったと思います。
国境を接している国は①~⑥の六か国で、国境の総長さは『5,532km』も有ります。国境の殆どが山岳地帯で監視兵がおらず、ヘンスも鉄条網も設けられていません。 道路の無い国境線を超える事は大変ですが、いざという時はほぼ自由に超えられます。
(余談 :パキスタンのパシュトゥーン人) 上記の分割でパシュトゥーン人は、パキスタンにも沢山住んでいます。現代、パキスタンの人口の13%~16%程がパシュトゥーン人の様です。経済的に成功して、豊かな暮らしをしている人が多いい様です。
① 中国 :新疆ウイグル自治区・・・国境長さ=76km
② パキスタン :1858年から1947年まで、英領インド帝国・・・国境長さ=2,430km
③ イラン・・・国境長さ=936km
④ トルクメニスタン :ソビエト連邦の構成国だった。・・・国境長さ=747km
⑤ ウズベキスタン :ソビエト連邦の構成国だった。・・・国境長さ=137km
⑥ タジキスタン :ソビエト連邦の構成国だった。・・・国境長さ=1,206km
【アメリカの失敗】
2001年から20年間、アメリカと有志連合国はアフガニスタンに侵攻/駐留して、傀儡政権を維持して来ました。アフガニスタンは世界の最貧国の一つで、初等教育さえ十分に行われていない国です。有史以来、外敵と戦うか!/内戦をするか!絶える事無く戦いが続いて来た国です。アメリカは民主主義で平和な国に変えようと考えていたと思われますが、金と力(軍隊)で目的を達成しようとしました。
『民主主義とは何か?』根本に立ち返って、アメリカは統治方法を考えるべきだったと思います。 国民(民衆)の多くが「自分達が国家の主人だ」、「民主主義・自由主義は素晴らしい!」と思う様にならなければ、金を幾ら援助しても民主主義国家にはなりません。
戦後、アメリカ(GHQ)は7年間ほど日本に駐留して、日本の民主主義化を進めました。 「何故?日本が短期間に覇権主義国家から脱却して、民主主義化を始めたのか?」・・・分析すべきだったと思います。 戦後、日本が平和で民主主義的な国に生まれ変わった要因は、以下の①~⑥だと私は考えます。
給料がもらえる仕事が有る事は、社会不安を起こさない良薬です。戦後5年程して(1950年頃)、日本はベトナム特需等のお蔭で経済活動が再開して、仕事が増えました。私の故郷の男性達は出稼ぎを始めました。戦後の困窮状態が長く続いていたら、過激な思想を持つ人が増えて、社会は安定しなかったと思われます。
★★★ 戦後、日本が平和で民主主義思想が広がった要因 ★★★
① 治安の維持 :銃器保持を許可制にした。
② 初等中等教育の義務化 :戦前に尋常小学校までは義務教育であった。戦後直ぐに小学校と中学校が義務教育になった。
③ 仕事/就職先の確保 :特需で生産が再開して、その後・工業化が進み→仕事が増えた。
④ 人口爆発の防止 :1945年=7,200万人、67年=1億人、08年=1.28億人(ピーク)
⑤ 男女平等の考え方が少しずつ広がった。
⑥ 報道の自由
【日本人の殺害】
アフガニスタンで日本人が二人殺害されています。 2008年に人道支援活動していた伊藤和也氏がタリバンに、2019年には住民の為に色々な活動をしていた中村哲医師が何者かに殺害されました。日本人の多くは、「貴国の為に働いていた人を何故殺すのか?」と憤(いきどお)ったと思われます。
当時。アメリカの傀儡政権とタリバンなどの反政府軍が戦っていたのです。傀儡政権にとって都合の良い事は、反政府軍は潰す必要が有るのです。「支援活動だから何処でやっても素晴らしいことだ」と考えるの間違っています。民主主義的な行動を、他国で行う時は熟慮が必要です。
【地下資源と中国】
① アメリカは2010年に100兆円規模の地下資源が有ると公表しました。
② アフガニスタンを調査した中国が、2020年に「100兆円~300兆円ほどの地下資源が眠っている」と言う地図付きの報告書を発表しました。 「中国は地下資源の採掘事業に、既に450億円ほど投資している」と言う報道も有りました。
③ タリバン政権にとって緊急の課題は、政権を維持する為の『金』だと思われます。欧米諸国からの援助が期待出来ないので有れば、地下資源の採掘権を売る以外にはなさそうです。 買いそうな国は中国以外には有りません。タリバン政権は直ぐにでも金を入手したいはずですから、中国は買い叩いて先ずは採掘権を確保するでしょう。
④ 採掘現場はテロの絶好の対象ですから、投資を始める前に治安の維持が不可欠です。 然し、アフガニスタンには、アルカイダ、アメリカの傀儡政権(旧北部同盟)の残党、新疆ウイグルから入ってきている武装集団、反タリバン部族、イスラム国(IS)など、テロを起こす可能性が高い武装集団が多数存在します。
【中国が成功するためには】
中国は、イランの協力を得てタリバン政権を支援する様です。 私は、習近平ならアフガニスタンを思いのままに操れる様に思います。 新疆ウイグル自治区、北朝鮮、香港で実績の有る手段を駆使すれば、百戦錬磨のアフガニスタン人でも抵抗は難しいでしょう!
2014年にロシアがクリミヤ半島を併合しましたが、陸続きの中国がアフガニスタンを制圧する事は可能と予想しますが、反中国運動が続いて、結局は今回のアメリカの様に退却せざるを得なくなると思われます。
習近平が、アフガニスタンを支配下に置く真っ黒いシナリオを考えて見ました。
❶ 地下資源の採掘権 :タリバン政権は、現在・『喉から手が出る』ほど外貨を必要としています。中国は足元を見て、安い値段で採掘権を買うでしょう。採掘で得た利益の一部を渡す契約にして、タリバン政権を(北朝鮮の様に)『生かさず殺さず』の状態にする。
❷ 賄賂をばら撒く :採掘権を中国以外に売らせない、中国の要求に従う様に、政府の高官に賄賂をばら撒き続ける。(賄賂漬けにする事は、多くの国で実施しており、ノウハウは十分蓄積しています。)
➌ 軍閥制のタリバン兵を文民統制の軍隊組織(国家の軍隊)に変える必要が有ります。軍閥の首領達が大反対すると想像されるので、中国は、先ず数万人規模の陸軍を投入して、反対派を徹底的に弾圧する。(何故?この改革が必要か?は巻末に書きます。)
➍ 徹底的な情報統制を敷く :新疆ウイグルでやっている様に、西側の記者やカメラマンを完全にシャットアウトする。
❺ 監視カメラ網を設け/広げ、情報技術(IT)を駆使して、国内の不穏な動きの有無をチェックする。 アフガニスタンの国土面積は新疆ウイグル自治区の40%程ですから、監視カメラ網を張り巡らす事は可能と思います。 中国は他国民の生命/財産/自由を尊重する国とは思えません。この点ではタリバンと意見が一致するでしょう! 中国の情報技術(IT)と非人道主義的な暴力(軍隊)を投入したら、アフガニスタンの治安は良くなると推察します。
❻ 武器の提出命令 :タリバン政権に、個人の武器所有を禁止する命令を出させる。(許可なく個人が武器を所有したら、処刑すると書き加える。)
❼ 平野部の武装解除 :平野部で徹底的な『刀狩り』を行う。徴収した武器は完全に住民の目の前で破壊する。反抗する人間がいたら、周辺に人がいても容赦無く射殺/爆殺する。女性や子供を誤って殺しても、兵士は処罰しない。(2019年に香港のデモ時に、活動家3名を警察官が射殺しましたが、実行した警察官は処罰しなかったと思います。)
❽ 山岳部の武装解除 :山岳部を10ブロック程度に分けて、ブロック毎に武器を提出する期限付きの命令を出す。 一番抵抗が激しそうなブロックから、『刀狩り』を始める。 武器の提出を拒む一族や部族には、ナパーム弾等を用いて、見せしめのために徹底的に全住民を殺害する。
「中国は、協力する人間の生命・財産は保障するが、抵抗する人間は(北朝鮮がやっている様に)一族諸共抹殺する」とアフガニスタン人に認識させるのです。
(平野部と山岳部を区別する理由) 平野部では近代兵器が使用出来ますが、山岳部には道路網が殆ど無く歩兵や特殊部隊しか投入出来ません。中国軍の損害を抑える為には、軍事衛星やドローンを活用して、無慈悲な『モグラ叩き』作戦を行うだろうと予想します。
(中国の問題点) 中国が他国に投資を始めると、非常に短期間に多額の金を投入するのが問題です。 その国の経済が急激に変化して、不満を持つ人が多くなるのです。 この面では、中国の投資によって内戦が活発化する可能性が有ります。
(余談 :一帯一路計画) 中国は、治安の悪いアフガニスタンを避けて『一帯一路計画』を進めて来ましたが、治安が改善しそうになったら、アフガニスタンを『一帯』に含めると思います。 この点でも、中国にとってアフガニスタンの治安を改善する事は重要です。ソビエトとアメリカはアフガニスタンに駐留しても経済的なメリットは有りませんでしたが、中国には経済的利益を得る可能性が有ります。 アフガニスタンがテロの温床にならなければ、欧米諸国は中国の進出には反対しないと思われます。
【タリバンと女性の問題】
タリバンはスンナ派の中のイスラム原理主義の集団です。パシュトゥーン人、タジク人など、複数の民族が参加しています。 タリバンが結成される前からイスラム原理主義の思想に近い考え方を持った部族が有った様ですが、女性の教育などを認めた(反イスラム原理主義的な)部族の方が多かったと私は見ています。
傀儡政権が統治していた20年間、タリバンが支配していた地域では、(住民の支持を得る為に)イスラム原理主義を厳格には押し付け無かった様です。
イスラム原理主義であるタリバンの最大の問題点は、「女性をどう扱うか?」だと思います。(イスラム教国の多くは、女性に対する差別を少しずつ無くして、女性を教育し、職に付く事を認めて来ました。) イスラム原理主義者は「女性の教育は不要だ!」と主張しています。更に、親族以外の男性が女性に触れることを禁じています。 女性は医者や看護婦になれなくなってしまいます。 女性が病気になっても、親族に医者がいなかったら診てもらえません。女性が入院出来る病院も無くなってしまいます。
タリバン政権の課題の一つは、「イスラム原理主義を現実の世界に合う様に修正出来るか?」だと思います。彼らにとっては、苦渋の決断が必要なのです。
【麻薬ビジネス】
アフガニスタンは農業国です。輸出出来る農産物は少なく、アヘンとヘロインの原料になるケシの栽培を続けてきました。(全世界の生産量の80%を、アフガニスタンで生産していると言われています。)
(余談 :貿易額) 2018年の輸出は8.8億ドル、輸入は74.1億ドルでした。大幅な赤字ですが、西側諸国の支援金で何とかやっていたのだと思われます。タリバンへの支援は無かった様ですから、タリバンは麻薬を密輸して活動資金にしていたと推測します。
【私から見たタリバン】
日本が警察を廃止して、最大の暴力団の全組員に最新式の銃器を持たせたら『タリバン』になります。 弱小の暴力団は、銃器を隠し持って地下に潜らざるを得なくなります。
ご承知の様に、暴力団には末端の『小組』が有り、複数の『小組』を配下に従える『中組』有ります。『中組』の連合体が全国に展開する大暴力団(『大組』)です。『中組』の中で金と構成員の多いいボスが『大組』のトップ(大ボス)になり、『我が世の春』を謳歌します。大ボスになれなかった中組のボス達は、隙あらば大ボスになろうと狙っています。
暴力団には選挙制度は存在しません。話し合って、多数決で決める習慣も有りません。 警察が存在し無かったら、問題が発生したり、利害が衝突すると殺し合いで決着を付けようとするでしょう。 大組の内紛が激しくなったら、潜伏していた弱小の暴力団が活動を開始するでしょう!
タリバンは、軍閥制を廃止して、文民統制の国軍に変える事が急務です。 この改革が進まなかった、中国による地下資源の開発には大きなリスクが有ります。 軍閥制のままで、地下資源の採掘を開始したら、中国は軍隊を多数投入して、採掘現場と搬送ルートの防衛を自ら行う必要が有ります。採算が合うでしょうか?
今回は、アフガニスタンについて書きます。このシリーズは、「各国で民主主義化がドンナニして進んだか?」がテーマですが、有史以来アフガニスタンは戦争に明け暮れていて、女性蔑視のイスラム教国ですから、民主化は殆ど進んでいません。 今世紀中に民主化するとも思えません。アフガニスタンの民主主義化がドンナニ難しいか!と言う話になってしまいました。
グーグルアースで日本を見ると「緑豊かな国だ!」と実感しますが、アフガニスタンは真逆の国です。国土は日本の2倍ほど有りますが、禿山が大半です。夏は暑く、冬は氷点下20度にもなり、降水量は非常に少ない厳しい自然環境の国です。
現在は世界の最貧国の一つですが、手付かずの地下資源が豊富にあることが分かってきました。アフガニスタン人が内戦をやめて、神の恵みの地下資源を活用したら、豊かな国になれる可能性は十分有ります。然し、タリバンがイスラム原理主義を固守する限りは、内戦は収まりそうに有りません。
中国が、非人道的な手段を駆使して反タリバン勢力を徹底的に弾圧したら、数年以内に内戦は収まる可能性が有ります。 アフガニスタンがテロの温床で無くなるのなら、(口先では非難すると思われますが、)欧米諸国はタリバンと中国軍による虐殺を容認すると予想します。
第5章 :アフガニスタン
【アフガニスタンの基礎データ】
アフガニスタンには10を超える民族が住んでいて、一番多いいのはパシュトゥーン人(42%)です。 アフガニスタン人が大切にするのは、❶親族→❷一族→➌部族だと言われています。 無数の部族があり、部族集団が有ります。
現在の主都『カブール』はタジク人の拠点でした。1776年に、パシュトゥーン人が主流だったカンダハールから遷都したのです。平野部に住むタジク人は、時の政権に協力的でしたが、山岳地帯に住むタジク人は反王朝の活動(戦闘)をするのが常でした。
貿易収支が大幅な赤字の国です。(他国からの支援無しでは国民を食べさせることが出来ない国です。)
★ 人口 :3,750万人(2021年)
★ 面積 :65.2km2 (日本の約2倍)
★ 1人当たりのGDP :499ドル・・・世界の最貧国の一つです。
★ 多民族国家 :パシュトゥーン人(42%)、タジク人(27%)、ウズベク人、トルクメン人、ハザーラ人・・・
★ 宗教 :イスラム教;スンナ派(85%)、シーア派(14%)
★ 公用語 :パシュトー語、ダリー語(タジク人の言語)・・・ほぼ各民族が異なる言語を話す。
★ 輸出 : 8.75億ドル(2018年)・・・麻薬を輸出した金は含まれていません。
★ 輸入 :74.06億ドル(2018年)・・・31%が食品です。
★ タリバンの兵力≒6万人、支援してきた軍閥≒10万人
【アフガニスタンの歴史】
大昔のアフガニスタンの歴史を勉強するのは難しいです。隣国と陸続きですから、国境は安定していません。昔のアフガニスタンの中心都市は『ヘラート』でした。その周辺がどの国に支配されていたか?ドンナ戦いが有ったのか?・・・を調べてから、アフガニスタン全体の歴史を勉強されると分かり易く/面白くなります。
アフガニスタンには、近隣諸国が何回も侵入しました。 強大な軍隊を持ったアレキサンダー大王、モンゴル帝国、チムール大王、大英帝国、ソ連などが侵攻しましたが、長期間支配する事は出来ませんでした。 それで、アフガニスタンを『帝国の墓場』と呼びます。
アフガニスタンは、外敵が侵攻すると戦い、外敵が撤退すると部族間で戦う事を繰り返して来た国です。
大英帝国とソ連は19世紀にアフガニスタンの国境を、両国にとって都合の良い様に勝手に決めました。その国境は現在もほぼ引き継がれています。(この問題は後で書きます。)
1978年に左派で一党独裁のアフガニスタン民主共和国が誕生しましたが、反政府運動は収まりませんでした。1979年に左派政権を支援する為に、近代兵器を装備したソ連軍が侵攻しました。民間人の犠牲を殆ど考慮しないソ連軍が、10年間も駐留しましたが、反政府運動を抑えられず1989年に撤退しました。
反政府運動の有力な軍閥集団だったタリバンが1996年に国土の3/4を支配して、タリバン政権(アフガニスタン・イスラム首長国)を発足させました。 承認する国は少なかった様ですが、国連に大使を派遣していた様です。 『北部同盟』が反政府運動(戦闘)を続けました。
2001年に9.11テロ事件が発生し、アメリカからの「アルカイダの指導者・オサマ・ビンラディンの引き渡し要求」を拒絶したために、アメリカが侵攻したのです。北部同盟を主体にした傀儡政権を設け、20年間も支援し続けましたが、タリバンなどの反政府活動を収める事が出来ませんでした。
アメリカはCIAと特殊部隊を投入して、10年後の2011年にオサマ・ビンラディンがパキスタンに潜伏している事を突き止めて、殺害しました。 この時点で、当初の目的は達成したのですから、撤退すべきだったと私は考えます。 「アフガニスタンを民主主義国に変えたい」と言う目標に変更して、泥沼にはまってしまった様に見えました。 そして、アメリカも『帝国の墓場』に葬られたのです。
★ アレキサンダー大王の侵攻 :紀元前4世紀
★ モンゴル帝国の侵攻 :13世紀
★ チムール大王の侵攻 :14世紀
★ 第一次アフガン戦争 :1839年~42年・・・イギリス東インド会社軍が侵攻したが、反乱軍に敗れて撤退した。
★ イランのカージャール朝の侵攻 :1856年
★ 第二次アフガン戦争 :1878年~80年・・・イギリス軍が侵攻し、イギリスの保護国になる事を条件に撤退した。
★ アフガニスタンとパキスタンの国境 :1893年・・・パシュトゥーン人の居住地域をイギリスが勝手に分割し、一部をパキスタンに含めた。
★ 第三次アフガン戦争 :1919年・・・イギリスに勝利して→→独立(アフガニスタン王国)
★ アフガニスタン王国 :1926年~73年
★ 第二次世界大戦 : ・・・アフガニスタンは中立を貫いた。
★ 立憲君主国 :1964年
★ アフガニスタン共和国 :1973年~78年
★ アフガニスタン民主共和国 :1978年~92年
★ アフガニスタン紛争 :1979年にソ連軍が侵攻~89年にソ連軍が撤退した。
★ アフガニスタン紛争 :1989年~2001年・・・内戦
★ タリバン政権 :1996年~2001年;国土の3/4を支配した。
★ 9.11テロ事件 :2001年
★ アメリカと有志連合の侵攻 :2001年10月~2021年8月
★ 傀儡政権 :タリバン政権と戦っていた『北部同盟』が中心でした。
★ タリバン政権 :2021年~
【国境を接する国】
日露戦争に敗れたロシア帝国は、中央アジアへの進出を図り、成功しました。(現在のカザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)
イギリスは、インドの一部を植民地化し、さらにパキスタンに侵攻し英領インドの一部にしました。 イギリスとロシア帝国は、アフガニスタンを緩衝地帯にして、互いの植民地が直接接し無い様にしたのです。この時、両国に取って好ましい国境線を引きました。
パキスタンとタジキスタンの間に、アフガニスタンの細長い領土が有り、それが中国の新疆ウイグル自治区にまで続いています。これは、緩衝地帯として設けたのです。
イギリスが、第二次アフガン戦争の後でパシュトゥーン人が住んでいた地域を分割して一部をパキスタン領にして→英領インドにしてしまいました。それまでのアフガニスタンはパシュトゥーン人が多いい国だったと思いますが、現在は42%程です。この分割が無かったら、パシュトゥーン人の割合が60%以上になっており、アフガニスタンはもう少し平和だったと思います。
国境を接している国は①~⑥の六か国で、国境の総長さは『5,532km』も有ります。国境の殆どが山岳地帯で監視兵がおらず、ヘンスも鉄条網も設けられていません。 道路の無い国境線を超える事は大変ですが、いざという時はほぼ自由に超えられます。
(余談 :パキスタンのパシュトゥーン人) 上記の分割でパシュトゥーン人は、パキスタンにも沢山住んでいます。現代、パキスタンの人口の13%~16%程がパシュトゥーン人の様です。経済的に成功して、豊かな暮らしをしている人が多いい様です。
① 中国 :新疆ウイグル自治区・・・国境長さ=76km
② パキスタン :1858年から1947年まで、英領インド帝国・・・国境長さ=2,430km
③ イラン・・・国境長さ=936km
④ トルクメニスタン :ソビエト連邦の構成国だった。・・・国境長さ=747km
⑤ ウズベキスタン :ソビエト連邦の構成国だった。・・・国境長さ=137km
⑥ タジキスタン :ソビエト連邦の構成国だった。・・・国境長さ=1,206km
【アメリカの失敗】
2001年から20年間、アメリカと有志連合国はアフガニスタンに侵攻/駐留して、傀儡政権を維持して来ました。アフガニスタンは世界の最貧国の一つで、初等教育さえ十分に行われていない国です。有史以来、外敵と戦うか!/内戦をするか!絶える事無く戦いが続いて来た国です。アメリカは民主主義で平和な国に変えようと考えていたと思われますが、金と力(軍隊)で目的を達成しようとしました。
『民主主義とは何か?』根本に立ち返って、アメリカは統治方法を考えるべきだったと思います。 国民(民衆)の多くが「自分達が国家の主人だ」、「民主主義・自由主義は素晴らしい!」と思う様にならなければ、金を幾ら援助しても民主主義国家にはなりません。
戦後、アメリカ(GHQ)は7年間ほど日本に駐留して、日本の民主主義化を進めました。 「何故?日本が短期間に覇権主義国家から脱却して、民主主義化を始めたのか?」・・・分析すべきだったと思います。 戦後、日本が平和で民主主義的な国に生まれ変わった要因は、以下の①~⑥だと私は考えます。
給料がもらえる仕事が有る事は、社会不安を起こさない良薬です。戦後5年程して(1950年頃)、日本はベトナム特需等のお蔭で経済活動が再開して、仕事が増えました。私の故郷の男性達は出稼ぎを始めました。戦後の困窮状態が長く続いていたら、過激な思想を持つ人が増えて、社会は安定しなかったと思われます。
★★★ 戦後、日本が平和で民主主義思想が広がった要因 ★★★
① 治安の維持 :銃器保持を許可制にした。
② 初等中等教育の義務化 :戦前に尋常小学校までは義務教育であった。戦後直ぐに小学校と中学校が義務教育になった。
③ 仕事/就職先の確保 :特需で生産が再開して、その後・工業化が進み→仕事が増えた。
④ 人口爆発の防止 :1945年=7,200万人、67年=1億人、08年=1.28億人(ピーク)
⑤ 男女平等の考え方が少しずつ広がった。
⑥ 報道の自由
【日本人の殺害】
アフガニスタンで日本人が二人殺害されています。 2008年に人道支援活動していた伊藤和也氏がタリバンに、2019年には住民の為に色々な活動をしていた中村哲医師が何者かに殺害されました。日本人の多くは、「貴国の為に働いていた人を何故殺すのか?」と憤(いきどお)ったと思われます。
当時。アメリカの傀儡政権とタリバンなどの反政府軍が戦っていたのです。傀儡政権にとって都合の良い事は、反政府軍は潰す必要が有るのです。「支援活動だから何処でやっても素晴らしいことだ」と考えるの間違っています。民主主義的な行動を、他国で行う時は熟慮が必要です。
【地下資源と中国】
① アメリカは2010年に100兆円規模の地下資源が有ると公表しました。
② アフガニスタンを調査した中国が、2020年に「100兆円~300兆円ほどの地下資源が眠っている」と言う地図付きの報告書を発表しました。 「中国は地下資源の採掘事業に、既に450億円ほど投資している」と言う報道も有りました。
③ タリバン政権にとって緊急の課題は、政権を維持する為の『金』だと思われます。欧米諸国からの援助が期待出来ないので有れば、地下資源の採掘権を売る以外にはなさそうです。 買いそうな国は中国以外には有りません。タリバン政権は直ぐにでも金を入手したいはずですから、中国は買い叩いて先ずは採掘権を確保するでしょう。
④ 採掘現場はテロの絶好の対象ですから、投資を始める前に治安の維持が不可欠です。 然し、アフガニスタンには、アルカイダ、アメリカの傀儡政権(旧北部同盟)の残党、新疆ウイグルから入ってきている武装集団、反タリバン部族、イスラム国(IS)など、テロを起こす可能性が高い武装集団が多数存在します。
【中国が成功するためには】
中国は、イランの協力を得てタリバン政権を支援する様です。 私は、習近平ならアフガニスタンを思いのままに操れる様に思います。 新疆ウイグル自治区、北朝鮮、香港で実績の有る手段を駆使すれば、百戦錬磨のアフガニスタン人でも抵抗は難しいでしょう!
2014年にロシアがクリミヤ半島を併合しましたが、陸続きの中国がアフガニスタンを制圧する事は可能と予想しますが、反中国運動が続いて、結局は今回のアメリカの様に退却せざるを得なくなると思われます。
習近平が、アフガニスタンを支配下に置く真っ黒いシナリオを考えて見ました。
❶ 地下資源の採掘権 :タリバン政権は、現在・『喉から手が出る』ほど外貨を必要としています。中国は足元を見て、安い値段で採掘権を買うでしょう。採掘で得た利益の一部を渡す契約にして、タリバン政権を(北朝鮮の様に)『生かさず殺さず』の状態にする。
❷ 賄賂をばら撒く :採掘権を中国以外に売らせない、中国の要求に従う様に、政府の高官に賄賂をばら撒き続ける。(賄賂漬けにする事は、多くの国で実施しており、ノウハウは十分蓄積しています。)
➌ 軍閥制のタリバン兵を文民統制の軍隊組織(国家の軍隊)に変える必要が有ります。軍閥の首領達が大反対すると想像されるので、中国は、先ず数万人規模の陸軍を投入して、反対派を徹底的に弾圧する。(何故?この改革が必要か?は巻末に書きます。)
➍ 徹底的な情報統制を敷く :新疆ウイグルでやっている様に、西側の記者やカメラマンを完全にシャットアウトする。
❺ 監視カメラ網を設け/広げ、情報技術(IT)を駆使して、国内の不穏な動きの有無をチェックする。 アフガニスタンの国土面積は新疆ウイグル自治区の40%程ですから、監視カメラ網を張り巡らす事は可能と思います。 中国は他国民の生命/財産/自由を尊重する国とは思えません。この点ではタリバンと意見が一致するでしょう! 中国の情報技術(IT)と非人道主義的な暴力(軍隊)を投入したら、アフガニスタンの治安は良くなると推察します。
❻ 武器の提出命令 :タリバン政権に、個人の武器所有を禁止する命令を出させる。(許可なく個人が武器を所有したら、処刑すると書き加える。)
❼ 平野部の武装解除 :平野部で徹底的な『刀狩り』を行う。徴収した武器は完全に住民の目の前で破壊する。反抗する人間がいたら、周辺に人がいても容赦無く射殺/爆殺する。女性や子供を誤って殺しても、兵士は処罰しない。(2019年に香港のデモ時に、活動家3名を警察官が射殺しましたが、実行した警察官は処罰しなかったと思います。)
❽ 山岳部の武装解除 :山岳部を10ブロック程度に分けて、ブロック毎に武器を提出する期限付きの命令を出す。 一番抵抗が激しそうなブロックから、『刀狩り』を始める。 武器の提出を拒む一族や部族には、ナパーム弾等を用いて、見せしめのために徹底的に全住民を殺害する。
「中国は、協力する人間の生命・財産は保障するが、抵抗する人間は(北朝鮮がやっている様に)一族諸共抹殺する」とアフガニスタン人に認識させるのです。
(平野部と山岳部を区別する理由) 平野部では近代兵器が使用出来ますが、山岳部には道路網が殆ど無く歩兵や特殊部隊しか投入出来ません。中国軍の損害を抑える為には、軍事衛星やドローンを活用して、無慈悲な『モグラ叩き』作戦を行うだろうと予想します。
(中国の問題点) 中国が他国に投資を始めると、非常に短期間に多額の金を投入するのが問題です。 その国の経済が急激に変化して、不満を持つ人が多くなるのです。 この面では、中国の投資によって内戦が活発化する可能性が有ります。
(余談 :一帯一路計画) 中国は、治安の悪いアフガニスタンを避けて『一帯一路計画』を進めて来ましたが、治安が改善しそうになったら、アフガニスタンを『一帯』に含めると思います。 この点でも、中国にとってアフガニスタンの治安を改善する事は重要です。ソビエトとアメリカはアフガニスタンに駐留しても経済的なメリットは有りませんでしたが、中国には経済的利益を得る可能性が有ります。 アフガニスタンがテロの温床にならなければ、欧米諸国は中国の進出には反対しないと思われます。
【タリバンと女性の問題】
タリバンはスンナ派の中のイスラム原理主義の集団です。パシュトゥーン人、タジク人など、複数の民族が参加しています。 タリバンが結成される前からイスラム原理主義の思想に近い考え方を持った部族が有った様ですが、女性の教育などを認めた(反イスラム原理主義的な)部族の方が多かったと私は見ています。
傀儡政権が統治していた20年間、タリバンが支配していた地域では、(住民の支持を得る為に)イスラム原理主義を厳格には押し付け無かった様です。
イスラム原理主義であるタリバンの最大の問題点は、「女性をどう扱うか?」だと思います。(イスラム教国の多くは、女性に対する差別を少しずつ無くして、女性を教育し、職に付く事を認めて来ました。) イスラム原理主義者は「女性の教育は不要だ!」と主張しています。更に、親族以外の男性が女性に触れることを禁じています。 女性は医者や看護婦になれなくなってしまいます。 女性が病気になっても、親族に医者がいなかったら診てもらえません。女性が入院出来る病院も無くなってしまいます。
タリバン政権の課題の一つは、「イスラム原理主義を現実の世界に合う様に修正出来るか?」だと思います。彼らにとっては、苦渋の決断が必要なのです。
【麻薬ビジネス】
アフガニスタンは農業国です。輸出出来る農産物は少なく、アヘンとヘロインの原料になるケシの栽培を続けてきました。(全世界の生産量の80%を、アフガニスタンで生産していると言われています。)
(余談 :貿易額) 2018年の輸出は8.8億ドル、輸入は74.1億ドルでした。大幅な赤字ですが、西側諸国の支援金で何とかやっていたのだと思われます。タリバンへの支援は無かった様ですから、タリバンは麻薬を密輸して活動資金にしていたと推測します。
【私から見たタリバン】
日本が警察を廃止して、最大の暴力団の全組員に最新式の銃器を持たせたら『タリバン』になります。 弱小の暴力団は、銃器を隠し持って地下に潜らざるを得なくなります。
ご承知の様に、暴力団には末端の『小組』が有り、複数の『小組』を配下に従える『中組』有ります。『中組』の連合体が全国に展開する大暴力団(『大組』)です。『中組』の中で金と構成員の多いいボスが『大組』のトップ(大ボス)になり、『我が世の春』を謳歌します。大ボスになれなかった中組のボス達は、隙あらば大ボスになろうと狙っています。
暴力団には選挙制度は存在しません。話し合って、多数決で決める習慣も有りません。 警察が存在し無かったら、問題が発生したり、利害が衝突すると殺し合いで決着を付けようとするでしょう。 大組の内紛が激しくなったら、潜伏していた弱小の暴力団が活動を開始するでしょう!
タリバンは、軍閥制を廃止して、文民統制の国軍に変える事が急務です。 この改革が進まなかった、中国による地下資源の開発には大きなリスクが有ります。 軍閥制のままで、地下資源の採掘を開始したら、中国は軍隊を多数投入して、採掘現場と搬送ルートの防衛を自ら行う必要が有ります。採算が合うでしょうか?