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マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

令和維新のすゝめ (その7)

2020-10-24 10:25:17 | 改革
★★★★ 技術革新と物作り ★★★★
【はじめに】
 今回から、物作りの視点からコロナ問題後の経済について書きます。国民の多くは、「経済は政治家や官僚に任せておけば、何とかなる」と安易に考えて来た様に思いますが、中国の台頭のために、そんな良き時代は終わっています。 国民、政治家、官僚、皆が勉強して、対策を考える事が必要な時代に入っています。

【私が主張する物作り】
 本稿で言う「物作り」は、工業だけでは有りません。建設業、鉱業、窯業、農業、林業、漁業などなどを含みます。そして、倉庫業、運輸業・・・GDP(国内総生産)でカウントされる物・全てを含みます。

 日本は資源と食糧を輸入する為の外貨を獲得する必要が有りますが、国民が現在よりも豊かな生活を送れる様にするには、国内の物作りを拡大して内需率を高める事がポイントです。

 韓国にはサムソン電子があり、現代重工をはじめとする造船産業が有るので、米中貿易戦争は韓国にとっては有利なはずです。(文大統領がこの千載一遇のチャンスを生かせるか?甚だ疑問ですが。) 残念ながら日本には中国の物作りの代打が出来る産業が殆ど有りません。米中貿易戦争は日本にとってはマイナスです。官民を挙げて、難局に取り組む必要が有ると思います。

【政治家は勉強すべし!】
 米中貿易が始まっており、第四次産業革命が進行中ですから、現在は政府、政治家、企業の経営者も難しい舵取りが必要になっています。 然し、近年の与野党の政治家の多くは、「経済は官僚と企業の経営者に任せておけば良い」とノー天気に構えている様に見受けられます。

 昔のキャリア官僚は、入省後も勉強して「日本を背負うのは、政治家では無く、俺達だ!」と言う様な志を持った方が沢山おられた様に思います。 経済政策/物作りについて、政治家達に教え/アドバイスしていたと想像します。 当時の政治家達も勉強はしなかったのでは?と思われますが、聞く耳は持っていたのでしょう。

 勉強はしない、聞く耳を持たない政治家達と付き合うキャリア官僚の身になって考えて見て下さい。私だったら直ぐに辞めてしまいます。然ういう政治家に投票する私達国民にも責任が有ります。

【政治家に勉強して欲しい!】
 2009年7月の衆議院選挙で、私は手弁当で民主党候補(DO氏)の選挙運動に参加しました。 私は公示の1カ月以上前から選挙運動を手伝ったので、DO氏だけで無く、県会議員や市会議員とも何回も話をしました。 皆さん、産業/物作りについての知識/経験は殆ど無く、興味も無い様でした。

 2010年にリタイアした後、与野党の若手政治家で勉強していると思られる方・10人以上に、「ボランティアで産業/物作りの調査をして、報告書を作成します。先生が勉強したい事が有ったら調査します。」とメールしました。 全ての政治家から無視されました。

 某社長から依頼されて作成した「リチュウム電池の報告書」を御参考にとメールに添付して見ましたが、やはり無視されました。 そんな分けで、3年ほど前からブログを書き始めました。

 国会議員・自らこのブログを読んでおられるとは思えませんが、秘書や後援会の方が読んでおられて、先生が産業/物作りに関心が有ると思われたら、このブログのコメント欄に連絡先を書いて下さい。 勿論、ボランティアで協力させて頂きます。 産業/物作りの話しですから、右派も左派も関係無いと思います。

【不勉強の典型例】
 日本を代表する政治家や大企業のトップが、勉強しない人間だったら、国がトンデモナイ事になります。 その典型例が『故・稲山嘉寛氏』と当時の政治家達です。

 稲山氏は、韓国と中国に製鉄所を建設する為の図面、製鉄所に必要な機械を製造する為の図面、製鉄所を操業する為の技術資料などなどを、殆ど無償で提供してしまいました。さらに、操業指導さえしたのです。 「敵に塩を送る」だけで無く、「最新の兵器の製造方法」と「戦争のやり方」を教えたに等しいのです。 現在、稲山氏の様な事をしたら、株主に訴えられて、多分・有罪判決が出ると思われます。

 日本の支援を受けた韓国と中国の製鉄産業はドンドン成長して、日本の製鉄業の市場が奪われたので、日本の製鉄産業が成長する事が出来なくなり→生産量を減らしてきました。 韓国も中国も日本の技術支援に感謝していません。韓国に至っては、ポスコの発展に多大な貢献をした日本製鉄から徴用工の慰謝料を取ろうとしています。 稲山氏と時の総理大臣は、外交で『温情』を持つ事の愚かしさを知らなかったのです。

 明治以降、「鉄は国家なり」で、官民を挙げて鉄鋼産業の発展に努力して来ました。優秀な人材が鉄鋼関連企業に就職する時代が続いたのです。 西欧諸国の技術を導入して製鉄産業が発達してきましたが、日本では沢山の優秀な技術者達が努力して、ドンドン工夫/改良を加え、超大形の高炉の建設/操業が出来る技術を確立していました。稲山氏が、安易に提供した技術は世界最高レベルの物だったのです。

★ 稲山嘉寛氏 :新日鐡の初代社長(1970年~1973年)、会長(1973年~1981年)
★ 1965年 :日韓請求権協定 ;総理大臣=佐藤栄作
★ 1970年から韓国・浦項製鉄所の建設を開始(現・ポスコ) ;総理大臣=佐藤栄作
★ 1974年 :日中貿易協定 ;総理大臣=田中角栄
★ 1977年に中国の宝鋼集団に対する技術協力 ;総理大臣=福田赳夫

*** 余談 :鉄の製造 ***
 「稲山氏がどれだけ貴重な技術を流失させてしまったのか?」を理解して頂く為に、鉄の製造方法について書いて置きます。

 江戸時代まで炭で加熱して、砂鉄をくっ付ける「たたら」と呼ばれる方法で鉄を作っていました。(砂鉄を液状にしていた分けでは有りません。) 出来た鉄を「たまはがね(玉鋼)」と呼びます。

 幕末に西洋から入って来た技術は、高炉で鉄鉱石を高温で溶かす方法です。鉄は1,536℃で液体になりますが、高炉の中の温度を2,000℃程にする必要が有ります。

 高炉は下部から空気を吹き込んで、上部に原料を投入します。 小形の高炉では、鉄鉱石、石炭、石灰石を投入していたと思われますが、高炉を大型化すると投入する前に原料を均一なサイズに成形/固める(ペレット化する)必要が有ります。 そうしないと、高炉の中を空気が均一に流れず、均一な温度にならず、最悪の場合は目詰まりしてしまいます。 (石炭はコークスに加工され、ペレット化されます。)

 高炉で出来た鉄を「銑鉄」と呼びます。鉄鉱石には炭素は含まれていませんが、銑鉄には高炉中でコークスの炭素が約4%含有され、不純物も含んでいます。 銑鉄を転炉(転換炉)に入れて、炭素分を減らし、不純物を除去します。

 鉄の炭素含有量は重要です。少ないと柔らかくなり、身近な物では「針金」です。転炉で炭素含有量を0.1%~0.55%程度に調整します。炭素が多くなると「焼きが入る」様になり、強度は高くなりますが、衝撃を加えると折れやすくなります。(使用目的に合わせて炭素量が調節されます。)

 転炉から出た鋼(はがね)を連続鋳造設備でインゴット(塊)にします。長い!長い!圧延設備へ厚板を、更に圧延して薄板、棒材、形材、管を作ります。

 転炉から出た鋼(はがね)を連続鋳造設備でインゴット(塊)にします。長い!長い!圧延設備で厚板を作り、更に圧延して薄板、棒材、形材、管を作ります。

 幕末に入って来た技術は、やっと芽を出した『双葉』の様なものでしたが、明治以降に種々の技術革新を進めて、世界的な大樹に育っていた技術を、稲山氏が無償で韓国と中国に渡してしまったのです。当時の政治家達は技術に関する知識が無かったので、国家にとって重要な技術の流出を止めませんでした、 驚いた事に、政府は稲山氏に勲章(勲一等旭日大綬章、勲一等瑞宝章、藍綬褒章)を与えました。

(余談 :製鉄所の見学) 私が入社した会社には種々の事業部が有り、私は機械事業部で仕事をしました。 一番大きな事業部は製鉄でした。 私の顧客で製鉄所の見学を希望される方が何人かおられ、何回も案内しました。 高炉の周辺は高温ですが、真夏の好天の日でも、見学したいと言う方がおられ、往生しました。

 高炉の下部の穴を開けると、真っ赤な銑鉄が流れ出して、下に待ち受けた台車上の容器に流れ落ちます。 壮観ですが、とにかく暑いです。

 連続鋳造設備と圧延設備の全長は1km以上有ったと思いますが、暑い職場です。これも案内するのですが、さすがに数百メートルで顧客は「もう結構です」と言われました。

 見学者を募集している製鉄所が多数有ります。是非・参加して見て下さい。 想像以上に大きな工場で、沢山の機械が動いています。 稲山氏は、それらの機械がほぼ全て作れる図面/資料を流出させたのです。 一式分の図面/資料を運ぶのに大形コンテナが何個か必要だったと思われます。(どんな優秀な産業スパイでも、持ち出せない量です!)

【理想的な経済とは?】
 コロナの問題が発生して、マスクの多くを中国から輸入していた事が分かりました。 マスクは、各家庭で結構沢山備蓄していましたが、医療用の資材は備蓄量が少なく、医療現場では困った様です。

 幸いにも今回のコロナの毒性が(今の所)低いので、何とか経済活動を継続出来ていますが、将来・毒性の強い新型の流行性病原体が発生する事を考慮した、経済/物作り体制を確立する必要が有ります。

 農作物は、豊作の年も有れば/不作の年も有ります。 (近年、異常気象が続いています。) 主食の農産物が不作になると、農業国は自国向けを優先すると予想されます。 世界的な食糧不足になった年に、日本が豊富な外貨で買い漁ると、国際信用を失ってしまいます。 最低限の食糧は国内で生産する事が肝要です。

 政治家や官僚諸君に、「日本の理想的な経済運営とは?」を考えて頂きたい。 自分の理想/理念を持って、行動する事が肝要です。官僚は政治家の考えを忖度して仕事をする事が要求されますが、確固たる理念を持った上で「忖度」して仕事をして下さい。 私の理想を下に列記して置きます。

① 最低限必要な物は国内で生産する。(食糧、医薬品/医療資材などなど)
② 内需率を高める。
③ 国際競争力の有る製品を開発し続ける。
④ 貿易相手国を増やす。(一国に偏った貿易は安全保障の面で好ましく有りません。)
⑤ 経常収支は毎年適度に黒字であるべき。(大幅な黒字は国際摩擦を引き起こします。)
⑥ 実質GDP(国内総生産)が毎年アップする。
⑦ 企業が利益を適正範囲で株主と従業員に配分する。(内部留保はほどほどに!)

【出を節約して、入りを工夫する】
 小学校のクラスメイトに、村で「金を貯めている」と噂の家の子がいました。時々・遊びに行くと小父さんが、「出を制して、入りを図る」と金が貯まると言われました。

 私は、「支出を減らして、収入手段を工夫して沢山儲けろ!」と言う意味だと大人になるまで誤解していました。 然し、国家の経済政策では、私の間違った解釈の方が正しいと思います。多少の貿易収支の赤字は許容出来ます。 官民挙げて物作りに励み、輸出出来る製品/産品を増やす事が肝要です。

(余談) 大人になって、小父さんは二宮尊徳(金次郎)の名言をそのまま言っていたのだと分かりました。「収入を計算して、それに見合った出費をしなさい!」と言う意味です。私の小学校には、薪を背負って、歩きながら読書をする少年の立派な銅像が有りました。 私達の頃・学校では二宮尊徳についての授業は有りませんでしたが、小父さん達が小学生だった頃は、その名言や偉業を教えて貰ったのだと思います。

(余談) 私は若者達に「二宮尊徳について勉強しなさい!」とは言いませんが、国会議員や政治家を志す人には、「二宮尊徳について勉強しなさい!」と言いたいです! 国会議事堂の前にこそ、二宮尊徳像を置く必要が有ります。

【中国に負けてはいけません!】
 習近平が2012年に中国の最高指導者になって、①蓄積した豊富な外貨、②アメリカ等で学んだ多数の優秀な人材、③過剰な製造設備、④豊富な地下資源、⑤巨大な国営企業群・・・などをフル活用して経済的/軍事的な覇権主義を進めています。

 欧米諸国、日本や韓国では一企業や一分野の企業群に多額の資金を投入して優遇するのは、国内ルールと国際ルールで制約されています。 然し、中国は、「そんなルールは関知しない」との態度です。 中国が重点指向して取り組む分野では、西側諸国の民間企業が国の支援無しに対抗するのは難しくなって来ています。

 中国は他国の企業、資源、農地などを買収しています。日本でも北海道などの土地を買っています。 中国は自国の土地や国営企業を絶対に他国には売りません。 この様な一方的な状況を放置して良いと思われますか? 中国のやっているのは、『金と言う武器による植民地化政策』です。

 日本を含めた西側諸国は、中国の国営企業や中国人が購入した不動産/企業を調査して実態を把握する必要が有ります。 中国の金による植民地化政策を制限する国際ルールを確立する必要が有ります。

 この国際ルールが出来るまで、日本は重要な産業を選んで、国が支援する必要が有ります。 倒産寸前まで追い込まれた企業を支援するのでは無く、元気な内に手を打つべきです。 中国に渡してはならない、不動産を選定して、中国が買えない法律を制定する必要が有ります。 現在は民間人が所有する不動産や企業を中国は、殆ど制約無しに購入出来ます。 

 中国国内に住んでいる中国人が北海道に所有する土地に道路を作る事になったとします。所有者の許可を得るのは非常に難しいと思います。 「A国が許容している事は、日本も許容するが、A国が許容しない事は日本も許容しない」と言う法律を至急作るべきです。 これは、国際ルール違反にはならないと思われます。


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