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工事入札不調が生む設計事務所の損失

2015-07-16 16:12:57 | 日記
 建設費の高騰などから、全国で建築工事の入札不調が相次いでいます。国土交通省の調査によると、2013年度の建築・設備関係の国交省直轄工事における、入札公告件数に対する入札不調・不落の比率は約3割に及ぶそうです。入札が不調に終われば当然、着工は延期されます。これが建築設計事務所に思わぬ損失を招いているんだそうです。ある大手設計事務所の幹部は、「延期された着工までに行う業務の負担がばかにならない。それにもかかわらず報酬の扱いが不明確で、公共建築ではほとんど受け取れていない」と話しているそうです。
 入札が不調になれば、実施設計が完了していても、担当設計チームをほかのプロジェクトに回すことはできません。発注者の要望で議会説明用の資料作成に協力したり、建設会社が提示したVE案を査定したりと、落札までの調整業務に引きずり回されます。ある設計事務所では現在、追加報酬を求めて、10件ほどのプロジェクトで発注者と交渉中だそうです。しかし、公共建築では「一度議会を通った事業費は、簡単には増やせない」と、発注者に泣きつかれています。設計事務所の幹部はこう打ち明けています。まさに隠れた損失です。困ったことに、こうした宙に浮いた状態は落札するまで続き、終わりが見えないんだそうです。建設費の削減に向けて設計変更するには、議会の承認が必要です。議会開催まで待たなくてはならないうえに、設計変更が議会に認められるとは限りません。いたずらに時が流れ、「打ち合わせ」と称する報酬の曖昧な業務がだらだらと繰り返されます。
 「報酬が入るか分からない仕事に設計者を張り付けざるを得ない状況は経営上、大きな問題になっている。設計事務所の人手が足りないという話をよく耳にするが、入札不調に伴う業務の問題も要因の1つではないか」と、設計事務所の幹部は推察しています。今のところ、見えない業務の報酬を回収するための打開策は、見つかっていないそうです。 建設費は高止まりしており、今後も官公庁の建築工事の入札が不調に終わる可能性はあります。こうした事態に備え、契約書の特記事項の見直しといった対策を考えておく必要があるんだと思います。


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