JR東日本内部で「品川新駅」と呼ばれ検討が進められていた計画がついに明らかになりました。同社は6月3日、山手線の品川―田町駅間に新駅をつくることを正式発表しました。2020年に開催する東京五輪に合わせて開業する予定だそうです。
予定地の周辺は、同社の車両基地(旧田町車両センター)となっています。現在、車両基地の西端を南北に通る山手線と京浜東北線の線路と、東海道線の上りの線路をともに100mほど東側へ移し、品川駅から北に約0.9km、田町駅から南に約1.3km離れた地点に新駅を設けます。新駅のホームは、山手線と京浜東北線がそれぞれ停車する「線路別島式2面4線」の形式とするそうです。
JR東日本は東北縦貫線(上野東京ライン)が15年3月に開業するのに合わせて、車両基地を東側に移転、集約する工事を進めています。13年11月には線路の切り替え工事を実施して、東側に移した車両基地の運用を始めました。
新駅の設置とともに、車両基地の西半分に当たる約13haの広大な敷地を再開発して、国際的な交流拠点を形成します。六本木ヒルズの11.6haや東京ミッドタウンの10.2haをしのぐ規模です。JR東日本が事業主体となる可能性が高いものの、「詳細は今後、国や東京都などと協議して詰めていく」(同社広報部)としています。
品川駅はJR東海が27年の開業を目指すリニア中央新幹線のターミナル駅になります。国際化が加速する羽田空港にも近い。新駅の設置と合わせて、周辺の景色は一変しそうです。
JR東日本によると、新駅の駅前には駅と周辺の街や地域とをつなぐ歩行者用のデッキを地上2階の高さに設けます。同社が新駅のイメージとして公表したパースによると、駅全体を覆うように大屋根を架ける計画がある模様です。
ただし、まちづくり計画を含めた都などとの協議はこれからです。新駅は20年の東京五輪までに開業するものの、暫定開業となる可能性が高いそうです。
新駅から300mほど離れた場所には、都営浅草線・京急線の泉岳寺駅があります。JR東日本の冨田哲郎社長は6月3日の記者会見で「(乗り換えの)連絡手段を考えたい」と語っています。
山手線に新駅が誕生するのは、1971年に西日暮里駅が営団地下鉄(現東京メトロ)千代田線との乗り換え駅として開業して以来、およそ半世紀ぶりです。30番目の駅となります。品川―田町駅間の距離は約2.2kmと山手線の中で最も長く、新駅の構想が以前から持ち上がっていました。
JR東日本が今回、新駅の設置を初めて公式に発表したことを受けて、太田昭宏国土交通大臣は「地域の活性化や成長につながる大事なプロジェクトだ」とコメントし、期待を寄せています。