また読みを外してしまった。EUと英国が年内発行ギリギリの日に、FTA交渉で合意した。これで1週間後に関税が復活して大混乱になる事態は避けられたが、別件で大混乱しているので現場レベルではどっちでもいい話だったかも知れない。終わってみれば「FTAはともかく、漁業権は譲れん」と云う、何時の間にか関税は解決済みと云う形で交渉が進んでおり、ここら辺の老獪さは大英帝国の面目躍如であろう。その漁業権にしてもEUが根負けした格好で、沿岸諸国と一悶着有るかも知れない。モノとカネは従来通り、ヒトの往来は制限と云う英国の希望がほぼ通ってしまった影響は、小さくないと思う。移民問題で困っている域内諸国からも不満の声が上がるだろう。今は人の移動がほぼ不可能なので表面化するのはもう暫く先になりそうだが、欧州の理想が頓挫する恐れもある。ただ国同士の約束とは斯くも厄介で、スパッと片付けられないものと云う事だけは、良く分かったのである。
営業部隊は積年の怨讐を克服出来るのだろうか。NTTコミュニケーションズとNTTコムウェアが、NTTドコモの子会社となる様に決定したらしい。NTT本体にぶら下げなかった理由は分からないが、何か物凄くドロドロした大人の事情を察したので、深くは立ち入らない事にする。完全子会社になれば色々無駄が省けるのは容易に想像出来る(イマドキ長距離・国際電話と市内電話を区別する理由など有ろうか)が、問題はそれぞれが伸ばしてきた事業をどう整合するかである。私が知り限り、フレッツ光とOCN光とドコモ光とぷらら光は競合関係である。と言うより「工事不要」を謳い文句に熾烈な争奪戦を繰り広げてきた経緯がある。一緒になったらブランドをどうするのか、存続させるなら競争関係をどう整理するのか。「オラわくわくしてきたぞ」状態であり今後が楽しみなのだが、インターネットプロバイダが一強体制と云うのもつまらない。仁義無き派閥抗争は継続して欲しいのである。
日本郵便と楽天が提携するそうである。取り合わせとしては悪くない。配送単価の高いゆうパックの取扱量の増加が見込めるし、Amazonに圧倒的に劣る自前の物流センター構築が容易になる。プレスリリースに「シナジー」と云う単語が無いので、新会社設立も含め大筋で話は纏まっているのだろう。「バーチャル場所貸し」で儲けていた楽天が、単独で配送網を整備するのは無謀である。実働部隊としての郵便局は、頼もしい援軍となろう。それにしても「物流DXプラットフォーム」とは何か。取り敢えず流行語を挟んでおきました感が漂うのだが、物流拠点の整備よりもそちらが目玉の様である。過去のデータからこちらの購買動向を分析し、タイミング良く着払いで配達する送り付け詐欺の様な真似はしないと思うが、どこら辺をDXするのか興味が有る。運送業と云う労働集約型産業の改革に繋がる事を期待したい。ウーバーイーツの二番煎じだけは、極力回避してもらいたいのである。
Googleは便利である。「1965年生まれ」で検索すれば、55歳で巳年で同い年の有名人が誰で今年の運勢はどうなのか、逐一教えてくれる。今年はそこそこ良い年だったらしいので、甚だ遺憾である。55と云う数字からはコント55号とか55年体制とかが思い浮かぶが、ここは少し斜に構えて「神殺し」ニーチェの享年を挙げておきたい。ナチズムに利用された関係で欧州では頗る評判が悪いが、言っている事は存外マトモである。眼前にある生老病死を肯定せよ、それが全てであり来世で逆転勝ちを狙うキリスト教的世界観は弱者の空虚な復讐に過ぎない。神に頼らず悪戦苦闘して生きる醜態を「しょーもな」と受容する超人であれ、と彼は説いた(多分)。晩年はブッダの生まれ変わりを称して精神病院にぶち込まれていた時期もあるので、罰が当たったのであろう。節目を迎え、神仏を恃まない気概を貫いた一年でありたいと、眼前の現実に呪いの言葉を呟きながら悪戦苦闘しているのである。
会食じゃないステーキうめぇ。投げ売りされていたパーティ用豪州牛の厚切りを、16分掛けてミディアムレアに焼き上げ醤油で食った。700gだったが筋だらけの赤身肉だと、存外ツルリと入るものである。多分ちゃんとしたサーロインとかだと、200gも食べたら胸焼けするのであろう。安い味で満足出来る馬鹿な舌で良かったと喜ぶと同時に、胸焼けしようが全部食べようとするに違いない馬鹿な胃袋を呪っている。スーパーも年末モードに入れば高級品が幅を利かせる様になるので、その手の馬鹿な食い物を買うのなら今の内である。ギットギトのカルビが食いたいと思っても、サシが上品に入った三角バラとかカイノミとかが、「折角の正月なんだから贅沢に」と云う気の迷いを起こさなければ支払わないであろう値段で並べられるのである。美味いのが分かっているだけに余計に腹が立つ。ただ、一種類の食材で腹を満たすと云う馬鹿な真似は、そろそろ慎んだ方が良さそうなのである。