12/4 11/23 モアノー探偵事務所 ケンちゃんの友達がいじめに (2)
その日はハルさんのパン屋は休みだった。
ハルさんのパン屋はケンちゃんの中学校の売店にも店を持っている。
ハルさんは子供が大好きなのだけどいなかった。
だから中学校に売店を持てたときはハルさんはすごく張り切って
子供たちの役にたちたいと思った。
ケンちゃんは子供のころからハルさんを知っていた。
ケンちゃんがよく公園で食べているパンもハルさんの店のパンだった。
「あれ、おばさん、きょうはここ?」
ケンちゃんは昼休みに売店でハルさんに会ったのだ。
「きょうは正子さんがお休みなのよ。
おや、山田君だっけ? そのアザはどうしたの?」
山田純平の目のよこが黒ずんでいた。
「ぶつけただけだよ。」
ハルさんは純平の唇がかすかに震えたのを見逃さなかった。
「あらまぁ、気をつけてね。 保健室に行って何か打撲のクリームでも
塗ってもらうといいわ。 早く治るわよ。」
放課後、公園でチュン太とケンちゃんがまだしゃべっていたとき、
ハルさんが通りがっかった。
「おや、ケンちゃん、チャン太もいたの?」
おばさんはケンちゃんの横に座ると売れ残りのパンを二人にやった。
しばらくケンちゃんは黙ってパンを食べていた。
「おばさん、僕、話したいことがあるんだ。」
ハルさんはうなずいた。
チュン太は食べるのを止めて耳をすませた。
ケンちゃんは山田純平がいじめにあっていることをハルさんに話した。
その中に岡本の名前が出てきて、ハルさんはハッとした。
ハルさんは毎日売店にいない。
でも学校の生徒の全部の顔と名前を知っていた。
ハルさんが気になっていたのが岡本だったのだ。
なぜだろう?
ハルさんはよく自問した。
でも学校で岡本と頻繁に会えないハルさんには
十分に判断するデータがなかった。
聞き終わってハルさんは言った。
「岡本君はどうして山田君にいじわるなんだろう?」
「そうなんだ。 純平は中学に入るまでスイスに居たんだ。
だから岡本に会ったことなんかないんだ。
だから純平もどうして岡本がつっかってくるのかわからないと言っているんだ。」
「顔のアザは・・・?」
「あれは岡本の腰ぎんちゃくの栗田がやったんだ。」
「暴力まで出てくるとなると早急に対策を立てないといけないわね。」
チュン太はいじめという言葉を知らなかった。
鳥の間には食べ物の取り合いがあった。
大きな鳥が小さい鳥から食べ物を奪うことはよくあった。
猫や犬の脅威もあった。
でも純平の「いじめ」はちょっと違うとチュン太は感じた。
鳥たちは原則共存していた。
カラスがスズメの子を食べちゃうなんてことが時にあるけど、
食べ物があれば、まずカラスもそういうことをやらない。
一度、チュン太たちは小鳥を主に食う大きな鳥の襲撃にあった。
カラスもあの時はあわてた。
しかし、小さい鳥たちはそれを宿命として受け入れていた。
あの大きな鳥も生きなければならない。
そしてチュン太たち、小さい鳥は自分で自分の身を守り、
もし大きな鳥に連れ去れれることがあっても
それは仕方のないことだった。
自分を自分で守れなかったものの宿命なのだ。
そういう時、親は子を守らない。
自分を自分で守ることが生きることなのだ。
翌日、純平は学校を休んだ。
続
その日はハルさんのパン屋は休みだった。
ハルさんのパン屋はケンちゃんの中学校の売店にも店を持っている。
ハルさんは子供が大好きなのだけどいなかった。
だから中学校に売店を持てたときはハルさんはすごく張り切って
子供たちの役にたちたいと思った。
ケンちゃんは子供のころからハルさんを知っていた。
ケンちゃんがよく公園で食べているパンもハルさんの店のパンだった。
「あれ、おばさん、きょうはここ?」
ケンちゃんは昼休みに売店でハルさんに会ったのだ。
「きょうは正子さんがお休みなのよ。
おや、山田君だっけ? そのアザはどうしたの?」
山田純平の目のよこが黒ずんでいた。
「ぶつけただけだよ。」
ハルさんは純平の唇がかすかに震えたのを見逃さなかった。
「あらまぁ、気をつけてね。 保健室に行って何か打撲のクリームでも
塗ってもらうといいわ。 早く治るわよ。」
放課後、公園でチュン太とケンちゃんがまだしゃべっていたとき、
ハルさんが通りがっかった。
「おや、ケンちゃん、チャン太もいたの?」
おばさんはケンちゃんの横に座ると売れ残りのパンを二人にやった。
しばらくケンちゃんは黙ってパンを食べていた。
「おばさん、僕、話したいことがあるんだ。」
ハルさんはうなずいた。
チュン太は食べるのを止めて耳をすませた。
ケンちゃんは山田純平がいじめにあっていることをハルさんに話した。
その中に岡本の名前が出てきて、ハルさんはハッとした。
ハルさんは毎日売店にいない。
でも学校の生徒の全部の顔と名前を知っていた。
ハルさんが気になっていたのが岡本だったのだ。
なぜだろう?
ハルさんはよく自問した。
でも学校で岡本と頻繁に会えないハルさんには
十分に判断するデータがなかった。
聞き終わってハルさんは言った。
「岡本君はどうして山田君にいじわるなんだろう?」
「そうなんだ。 純平は中学に入るまでスイスに居たんだ。
だから岡本に会ったことなんかないんだ。
だから純平もどうして岡本がつっかってくるのかわからないと言っているんだ。」
「顔のアザは・・・?」
「あれは岡本の腰ぎんちゃくの栗田がやったんだ。」
「暴力まで出てくるとなると早急に対策を立てないといけないわね。」
チュン太はいじめという言葉を知らなかった。
鳥の間には食べ物の取り合いがあった。
大きな鳥が小さい鳥から食べ物を奪うことはよくあった。
猫や犬の脅威もあった。
でも純平の「いじめ」はちょっと違うとチュン太は感じた。
鳥たちは原則共存していた。
カラスがスズメの子を食べちゃうなんてことが時にあるけど、
食べ物があれば、まずカラスもそういうことをやらない。
一度、チュン太たちは小鳥を主に食う大きな鳥の襲撃にあった。
カラスもあの時はあわてた。
しかし、小さい鳥たちはそれを宿命として受け入れていた。
あの大きな鳥も生きなければならない。
そしてチュン太たち、小さい鳥は自分で自分の身を守り、
もし大きな鳥に連れ去れれることがあっても
それは仕方のないことだった。
自分を自分で守れなかったものの宿命なのだ。
そういう時、親は子を守らない。
自分を自分で守ることが生きることなのだ。
翌日、純平は学校を休んだ。
続