タイトルは後で決めます
旭は灯りを消すと窓を開けた。 外は街頭ひとつない闇だった。
そこはホテルだったけど、こちら側は部屋の価格が少し安く
その代わり日当りも景色も殺風景なものだった。
旭は窓をゆっくり開けると、下を覗く。
灯りのついている部屋はひとつとしてなかった。
床に横たわっている女物体を抱え上げた。
女は全裸だった。
深く眠っている。
窓に触れないように外に出すと腕を引いて、女を落とした。
重い音がした。
窓を閉める。
白いカーテンを引き、厚いカーテンも閉めた。
まだ6時前、外はウッスラと明るかった。
明るさで目の覚めた旭は窓を開けた。
下を覗いてみたけど、何もみえなかった。
女の衣類、ハンドバックなどコンパクトにまとめ、
ビニールの袋に詰めた。
8時、朝食を済ませて旭はホテルを出た。
女は先にチェックインした旭からの電話で
直接部屋に来たので、ホテルは女の存在を知らない。
支払はカードの先払い。
旭はキーをフロントに返すと領収書をポケットに入れながら
エレベーターに乗った。
5年ほど前、大阪に出張した。
支店の受付にあの女はいた。
それから、旭は大阪に出張のたびに彼女とあった。
会ったと言っても会社の外で会ったわけではない。
受付でいやおうなしに数語交わす関係だった。
旭はホモではなかったけど
女が嫌い、無関心といったほうがよかったかもしれない。
家に女はいなかった。
後妻の母親が嫌で、中学を出ると早々に寮つきの企業に就職した。
旭は英語が好き、むしろ得意だった。
しかし企業ではとくに英語は必要としていなかった。
でも、旭が時々出す意見に耳をかし、取り上げることもあった。
格別な代償はなかったけど。
旭の出張がなくなってどれくらいかたったころ、
旭の会社に訪問客があった。
旭が受付に行くと、あちらですっとさされたほうに
一人の女性がいた。
知らない人だ。
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