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バイロイトの『ローエングリン』 その3

2010年09月26日 11時52分43秒 | ワーグナー
めっきり涼しくなりましたねえ。そんな中、あまり仕事をする気にならず、家ではもっぱら音楽ばかりを聴いております昨今であります…。

少し前に、1990年のバイロイト音楽祭の『ローエングリン』を取り上げましたが、先日、『クラシックジャーナル』誌に連載されている吉田真氏の「『肝心なのは芸術』 録音でたどるバイロイトの祝祭の黄金時代」を読んでおりましたら、バイロイト音楽祭のライブ(厳密にいうとゲネプロなどの録音も含めて)録音の『ローエングリン』は、そんなにあるわけではないのだねえ、ということを思ったのでした。特に、1970年以降は、①1982年(ネルソン)と②1990年(シュナイダー)くらいしかないのです。それ以前でも、③1953年(カイルベルト)、④1954年(ヨッフム)、⑤1958年(クリュイタンス)、⑥1959年(マタチッチ)、⑦1960年(マゼール)、⑧1962年(サヴァリッシュ)、⑨1967年(ケンペ)、⑩エレーデ(1968年)となります。まあ、幾種類のプロダクションがあって、どれが聴けてどれが聴けないかとうところまでは理解してはいません。この10種類の中で、正規盤で入手できるのは、①②③⑥⑧くらいですね。それ以外は、すべて海賊盤ですよね。まあ、だからといってどうだということでもないのですが…。現在手元にあるものは、①②③④⑧であり、正規盤が中心になりますね。しかし、その他の演奏も聴いてみたいですねえ。

そんなわけで、今回はバイロイト音楽祭の『ローエングリン』その3。1954年のオイゲン・ヨッフム指揮の演奏であります。このプロダクションは、1953年にヴォルフガング・ワーグナーの演出とヨーゼフ・カイルベルトの指揮で始められ、1954年は2年目、カイルベルトとヨッフムが指揮をしました。舞台は、基本的には「新バイロイト様式」を踏襲したものですが、ヴィーラントほどの抽象化は見られず、折衷的なものとだったそうです。この1954年の演奏は、歌手が史上空前の豪華メンバーであることに注目されます。ローエングリン=ヴォルフガング・ヴィントガッセン40、エルザ=ビルギット・ニルソン36、オルトルート=アストリッド・ヴァルナイ36、テルラムント=ヘルマン・ウーデ40、国王ハインリッヒ=テオ・アダム28、軍令使=ディートリッヒ・フィッシャー・ディースカウ29というドリームキャストであります。ただ、皆さん若いです。名前のあとの数字が年齢です。しかし、「栴檀は双葉より芳し」ではないですが、みなさん、なかなか充実した歌唱を聴かせてくれていますし、全盛期に聴けた懐かしい声がここでも聴けます。

この中で、ニルソンとヴィントガッセンは、他ではおそらく聴けないものです。ニルソンは、これがバイロイト(前年の第九が初)2年目で、これ以降、イゾルデやブリュンヒルデという重い役を演じるのですが、エルザは他では聴けないです。それゆえに興味深く貴重なものです。ニルソンは、若さを感じながら安定した腰の座った歌唱を聴かせてくれます。、第二幕第二場のテラスからの「そよ風」などは実に可憐。でも重い気がします。第二幕第二場でのエルザとオルトルートのやり取りでは、ニルソンとヴァルナイ、声の重さでは似かよっているので、どっちがどっちがわからなくなるようです。ヴィントガッセンついても、登場の場面と「遠い国に」など、わー、いいなあと思うのですが、神々しさをあまり感じさせない、人間臭い?んですね。しかし、第三幕の第二場のふたりのやりとりは、素晴らしいです。他ではなかなか聴けません。でも、トリスタンとイゾルデみたいなんですねえ。とまあ、あまり良いことを言ってませんが、私的には好きな歌唱であり、これの上をいく歌唱なんてなかなかないぞ、と痛感しています。これに対して、ウーデとヴァルナイは、いいです。第二幕第一場など、理想型かなと思うほどです。ヴァルナイは、幕切れ直前の場面での絶叫がありますが、これなど声の疲れも感じさせない、堂々の雄叫びでありますね。アダムは、少々高い声ですが、安定した王様でありますし、軍令使もいうことありませんね。一方、ヨッフムなんですが、これは気合い入りまくりなんですね。オケを鳴らす鳴らすと限りない、雄弁かつうねるような演奏です。たまに、ちょっとうるさいなって思うこともあるくらい頑張っています。こんな演奏では、オケが歌手を食ってしまいかねないな、と思うのですが、これをバックに歌う歌手たちは、どなたも一騎当千の偉丈夫な面々なんで、十二分に渡り合っている次第です。しかし、この『ローエングリン』、数あるCDの中では、抜きんでて素晴らしいものであることは、間違いありませんね。聴いて、大満足です。音質もモノラルですが、そんなこともどこか行ってしまうような演奏であります。    

このCDは、かなり前、大阪の心斎橋のアメリカ村にできたタワーさんで見つけました。このお店は、この当時、これまでのCDやさんに比べると、超弩級の広さがあり、大いに驚きましたね。知らなかったCDがたくさんあり、ここに来ればなんでもあると思ったし、事実こんなCDもあるんだ、と感動もしました。そんなお店は、少なくなりましたねえ。
(MELODRAM NEU BAYREUTH MEL36104 1988年 輸入盤)

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