先週、『レコード芸術』誌が7月号をもって休刊することが報じられました。いやいやびっくりですねえ。昔に比べると、記事も内容も、頁数も広告も薄くなってきましたが、他誌に比べるとやはりレコ芸!ということでしたよねえ。昨今のCD離れやクラシック離れも影響しているでしょう。中学生のころから愛読しているものとしては、実に寂しい。せめて『音楽の友』誌と合併するとかして欲しかったですねえ。もう雑誌の時代は終わったのかも知れませんね…。
それは仕方ないな、ということで…。今回は『ローエングリン』であります。ヘンデルの歌劇やオラトリオを盛んに聴いている昨今。久々にワーグナーを聴きたくなりました。今年になって『タンホイザー』と『マイスタージンガー』を観て、ワーグナー熱は高まっているのも事実。また実演を観たいなあ、と思っているのですが、なかなかありません。でも、『トリスタン』は、生で観たいですが、あまり動きがないのが4時間とると、なかなかでしょうねえ。
それはさておき、『ローエングリン』ですが、これまでもいくつか取り上げていますが、まだ取り上げていない名盤として、今回は1953年のバイロイト音楽祭のライブです。ヨゼフ・カイルベルト指揮のもの。ヴォルフガング・ヴィントガッセン(T)、エリナー・スティーバー(S)、ヘルマン・ウーデ(Br)、アストリッド・ヴァルナイ(S)、ヨーゼフ・グラインドル(B)、ハンス・ブラウン(Br)、ゲルハルト・シュトルツェ(T)、ヨゼフ・ヤンコー(T)、アルフォンス・ヘルヴィヒ(Br)、テオ・アダム(B)、バイロイト祝祭合唱団、ヴィルヘルム・ピッツ(合唱指揮)、バイロイト祝祭管弦楽団。1953年7月~8月、バイロイト祝祭劇場での録音です。戦後、初めてのバイロイトでの『ローエングリン』ですね。
やはり、バイロイトの演奏はいいですねえ。特に、1960年代までのもには、なかなかの充実度であります。まずは、カイルベルトですが、まず序曲からして、ゆったりとしたテンポで、非常に丁寧な演奏です。輪郭がしっかりとして実に安定している響きの中から、白鳥の騎士への憧憬が浮かび上がるようであります。また、エルザの大聖堂への入場でも、実に雄弁な語り口で壮大なスケールで大聖堂の威容が目前に迫ってきますねえ。そして、場面場面でも歌唱とのバランスが非常に巧みです。やはり、カペルマイスターの面目躍如であります。また、バイロイトの合唱もいいですねえ。特に、このローエングリンでは合唱がいろんな場面での重要な役割なんですが、迫力があり、場面に応じた歌声が聴けます。
そして、この1953年の公演、主役4人の存在感は半端ではないですねえ。中でも、ヴィントガッセンとヴァルナイです。ヴィントガッセンのローエングリンは、翌年のヨッフムとの公演のものだけですかね。私的には最高のヘルデン・テノールと信じているのですが、ヴィントガッセンのローエングリンが聴けるのは実にうれしい。この人のローエングリンは、気高さやその美声と存在感では他を抜きんでていると思いますね。ローエングリンの崇高な光輝く騎士のように、ヴィントガッセンの美声が響きます。そして、ヴァルナイですねえ。この人の声と巧さはやはりスゴい。第二幕ではスティーバーのエルザとの絡みがありますが、スティーバーのエルザは少々物足りない。少し低めの声なんですが、ヴァルナイと比べるとねえ。ただ第二幕では、ヴァルナイは少々押さえ気味。オヤ?と思っていると、大聖堂への入場のあとの豹変したオルトルートではヴァルナイも一変して実に堂々とした自己主張が聴けて、このあたりの巧さもいいですねえ。そして、ヴィントガッセン。第1幕の登場の場面の神々しさ、そして第3幕でのエルザとは、実に柔らかい歌唱。最後の「はるかな国」ではもう言うことはありません。やはり、ローエングリン、いいなあ。
でも、ほんとに『レコード芸術』残念ですねえ。若いときの紙面では、いろんなレコード会社の広告も多く、これも楽しみでした。なんとか季刊くらいで頑張ってくれれば嬉しいですがねえ。8月からは、『音楽の友』を買うしかないかなあ。
(TELDEC 4509-93674-2 1994年 輸入盤)
それは仕方ないな、ということで…。今回は『ローエングリン』であります。ヘンデルの歌劇やオラトリオを盛んに聴いている昨今。久々にワーグナーを聴きたくなりました。今年になって『タンホイザー』と『マイスタージンガー』を観て、ワーグナー熱は高まっているのも事実。また実演を観たいなあ、と思っているのですが、なかなかありません。でも、『トリスタン』は、生で観たいですが、あまり動きがないのが4時間とると、なかなかでしょうねえ。
それはさておき、『ローエングリン』ですが、これまでもいくつか取り上げていますが、まだ取り上げていない名盤として、今回は1953年のバイロイト音楽祭のライブです。ヨゼフ・カイルベルト指揮のもの。ヴォルフガング・ヴィントガッセン(T)、エリナー・スティーバー(S)、ヘルマン・ウーデ(Br)、アストリッド・ヴァルナイ(S)、ヨーゼフ・グラインドル(B)、ハンス・ブラウン(Br)、ゲルハルト・シュトルツェ(T)、ヨゼフ・ヤンコー(T)、アルフォンス・ヘルヴィヒ(Br)、テオ・アダム(B)、バイロイト祝祭合唱団、ヴィルヘルム・ピッツ(合唱指揮)、バイロイト祝祭管弦楽団。1953年7月~8月、バイロイト祝祭劇場での録音です。戦後、初めてのバイロイトでの『ローエングリン』ですね。
やはり、バイロイトの演奏はいいですねえ。特に、1960年代までのもには、なかなかの充実度であります。まずは、カイルベルトですが、まず序曲からして、ゆったりとしたテンポで、非常に丁寧な演奏です。輪郭がしっかりとして実に安定している響きの中から、白鳥の騎士への憧憬が浮かび上がるようであります。また、エルザの大聖堂への入場でも、実に雄弁な語り口で壮大なスケールで大聖堂の威容が目前に迫ってきますねえ。そして、場面場面でも歌唱とのバランスが非常に巧みです。やはり、カペルマイスターの面目躍如であります。また、バイロイトの合唱もいいですねえ。特に、このローエングリンでは合唱がいろんな場面での重要な役割なんですが、迫力があり、場面に応じた歌声が聴けます。
そして、この1953年の公演、主役4人の存在感は半端ではないですねえ。中でも、ヴィントガッセンとヴァルナイです。ヴィントガッセンのローエングリンは、翌年のヨッフムとの公演のものだけですかね。私的には最高のヘルデン・テノールと信じているのですが、ヴィントガッセンのローエングリンが聴けるのは実にうれしい。この人のローエングリンは、気高さやその美声と存在感では他を抜きんでていると思いますね。ローエングリンの崇高な光輝く騎士のように、ヴィントガッセンの美声が響きます。そして、ヴァルナイですねえ。この人の声と巧さはやはりスゴい。第二幕ではスティーバーのエルザとの絡みがありますが、スティーバーのエルザは少々物足りない。少し低めの声なんですが、ヴァルナイと比べるとねえ。ただ第二幕では、ヴァルナイは少々押さえ気味。オヤ?と思っていると、大聖堂への入場のあとの豹変したオルトルートではヴァルナイも一変して実に堂々とした自己主張が聴けて、このあたりの巧さもいいですねえ。そして、ヴィントガッセン。第1幕の登場の場面の神々しさ、そして第3幕でのエルザとは、実に柔らかい歌唱。最後の「はるかな国」ではもう言うことはありません。やはり、ローエングリン、いいなあ。
でも、ほんとに『レコード芸術』残念ですねえ。若いときの紙面では、いろんなレコード会社の広告も多く、これも楽しみでした。なんとか季刊くらいで頑張ってくれれば嬉しいですがねえ。8月からは、『音楽の友』を買うしかないかなあ。
(TELDEC 4509-93674-2 1994年 輸入盤)
それにしても当時のバイロイトはヴィーラント・ワーグナーの新しい演出がすばらしい効果をあげていましたね。
今のバイロイトも先鋭的な演出が多いですが、あまり共感できないのは自分が時代についていけないのか、演出が独りよがりすぎるのかどちらでしょうか?