時事解説「ディストピア」

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大学教員の雇用問題

2013-11-11 23:12:27 | 日本政治
大学講師の雇用問題という自分にとって
とても関係ある問題が今日の赤旗の社説で取り扱われていた。



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大学で有期雇用されている教員・研究者、職員を5年で
「雇い止め」する動きが広がり、「大学のブラック企業化だ」
と問題になっています。

こうした中で、自民党は、大学や研究機関での
有期雇用期限を5年から10年に延ばす法改定を
今国会に提出する構えだと報じられています。

問題の解決どころか、有期雇用の乱用をいっそうまねく危険があります。


今年4月全面施行の労働契約法改正で、
有期雇用契約を更新して通算5年を超えた労働者は、
申し込めば無期契約に転換できるようになりました。

ところが大学や研究機関では更新上限を
5年に設定する就業規則の変更が広がり、
有期雇用の研究者の中で「雇い止め」への懸念が強まっています。
自民党案はこれへの対応といわれていますがとんでもないことです。


自民党案は、無期雇用への転換権を先延ばしするだけです。
「雇い止め」を防止する措置もなく、10年働いても正規雇用に就けず、
「使い捨て」の危険もあります。

無期雇用のポストの10年の有期雇用への代替を可能にし、
有期雇用の乱用をもまねきかねません。

(中略)

根本的な解決のためには、有期雇用の乱用をやめて、
抜本的な正規雇用化が必要です。国立大学の任期付き教員は
この5年間で倍増し、1万5千人に達しています。

首都大学東京や横浜市立大学など、全員任期制を導入した大学は、
いずれも優秀な研究者が流出し、大学の評価を落とし、
任期制の見直しを迫られています。

若手研究者の正規雇用のポストが抑制され、
35歳以下の大学教員の割合が19%(1989年)から
11・9%(2010年)に低下しています。


若手研究者の多くが博士号をとっても安定した就職先がなく、
有期雇用で使い捨てられる
状況のもとで、
優秀な若者が研究職に希望を失い、
大学院の博士課程に進学する若者が減っています。


日本の学術の将来に関わる大問題です。


大学の現場が本当に求めているのは
有期雇用の延長ではなく正規雇用化です。


ノーベル賞受賞者の山中伸弥京都大学教授も
“iPS細胞研究所の9割は有期雇用。10年たつと40歳。
そこで終わりとなれば行く場所がない。
正社員化をお願いしたい”と語っています。

(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-11-10/2013111002.01_1.html)
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私の現場でも、「どうしてこんな老人が・・・???」という
教授がゴロゴロいる一方で、優秀な研究者が非常勤講師で
なんとか耐え忍んでいるという状況になっている。

最近記憶に新しいのがインディアン史研究者の鎌田遵先生で、
岩波書店や大月書店で本を書いているのにしばらく非常勤講師だった。

あれほどインディアン史で次世代のリーダーシップを取るだろう
研究者が非常勤である一方で、極右に協力するいい加減な政治学者や
経済学者、文学者、哲学者が学会に何一つ貢献しないくせに
月に数十万の給料を頂いている。大学研究者に共産党の支持者が
多いのも十分頷けることだ。ここでは悪党が栄え善人が餓える。

大学で学生を教えながら良い研究を発表するというのは
正直、金銭面を考えると非常に厳しいものだ。

それは本人の実力というのもあることにはあるが、
ポストが限られているのに高齢の研究者がいつになっても
椅子を渡してくれないというのもある。

本来は、そのような研究費だけかっさらう研究者を
駆逐するためにあった規制緩和なのに、若手研究者を
奴隷労働させるシステムになってしまっている。


それだけならまだしも、歴史的に明らかに間違いだと
わかっている極右史観を論じる連中が教授を名乗っていたり、
原子力ムラが好例だが、権力者とつるんで利権を貪る奴もいる。

エコノミストとか経産省の元官僚が
博士課程に進学もせずに簡単に教授職に就いてしまう。

はっきり言って不公平な雇用システムになっているのだ。
こういう中で若手で研究者を目指す人間が減るのは当たり前だ。

過ぎたるは及ばざるがごとし・・・と言いたいのか、
今のポストドクターの雇用状況は凄まじいものである。

何とかしてほしいのだが、政府は逆に既得権益者を
守る方向に進むらしい・・・いい加減にしてほしいものだ。