時事解説「ディストピア」

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北朝鮮とドラマ

2013-11-29 20:14:35 | 北朝鮮
先日放映していたニュース番組で
北朝鮮の現状とやらが報道されていた。

毎度おなじみの貧しさを強調しつつ
「悪いのはキム共産党、さぁブッ倒そうぜ!」
という主張を暗にほのめかす番組だった。


他国を侵略もせず、領土権を主張もせず、日本に対して賠償も
叫ばないこの国を徹底的に攻撃するのは何故なのだろうか?


政治家なら、軍備を拡大するために
身近な国を悪者扱いしなくてはならないのだろう。


政治家とは癒着がないはずのテレビ局が
ぐにょぐにょと偏向した報道をするのは不可思議だ。
(裏でつながってんだろうか・・・?)


番組は韓流ドラマの海賊版を売る子供を映し、
「北朝鮮では韓流ドラマは視聴しても売買しても罰せられる」
とテロップで流していた。



そんなわけないじゃん・・・


意外に思われるかもしれないが、韓流ドラマは
北朝鮮の若者の間で流行しているようで、
それを紹介している記事もいくつか存在する。


http://news.livedoor.com/article/detail/8174781/
http://blogos.com/article/30334/?axis=&p=2
http://www.wowkorea.jp/news/korea/2011/0105/10078732.html


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北朝鮮住民の間では最近韓国製品の人気が高まっており、
若者の間では韓国のドラマや映画が流行していることが分かった。


統計庁は5日、北朝鮮主要統計指標報告書の付録で、
「開かれた北韓(北朝鮮)通信」を引用し、北朝鮮での
韓流ブームを詳しく紹介した。


北朝鮮で流通している韓国製品はミキサー、
温風器、ガスレンジ、ガスボンベ、ガスストーブ、
圧力釜、ふきん、手袋などで、これらの製品には
韓国の商品名が付いているという。

 
北朝鮮当局の厳格な市場統制にもかかわらず、
韓国製のシャンプーやリンスが平壌の幹部の夫人を
中心に流行している。平壌では韓国メーカーのシャンプーと
リンスは1個40~50中国人民元(約495~619円)で、
せっけんは1個1.5ドルで取引されている。


このほか、韓国製のネックレスが約500ドル、
イヤリングは70~80ドルで流通しており、韓国製の香水、
防臭剤、自動車用芳香剤、冷蔵庫用脱臭剤、
トイレ用の芳香剤・脱臭剤など生活用品の人気も高まっている。


一方、平壌をはじめ北朝鮮の大都市や
中朝国境地域の若者の間では、中国製のMP3プレーヤーや
ノートパソコンで韓国の映画やドラマを観賞するのが
ブームとなっている。映画やドラマが保存された
メモリーチップを購入し、視聴するのが主流のようだ。


ここ数年間、北朝鮮では「ブルー」
「友へ チング」「花嫁はギャングスター1~3」
「将軍の息子」などの映画や「オールイン 運命の愛」
「警察特攻隊」「黄色いハンカチ」「秋の童話」「冬のソナタ」
「天国の階段」「ジュリエットの男」「野人時代」などのドラマが出回っている。

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このように思いっきり
ドラマは視聴されている。


そんなに文化統制がされているなら
ブームになるわけがないじゃないか。

2年前の記事だからーと言えばそれまでだが、
そもそも韓流ドラマの視聴を禁じる理由がないだろう。


もともとは同じ国なのだから、
高句麗や李氏朝鮮など過去の王朝を舞台にした
時代劇の内容を危険視するわけがないし、
政治色のない恋愛ドラマなどザラにある。


日本だって洋楽や洋画を見ているが、
それを通じて日本政府を転覆させようだなんて
思うやつは出てこない。日本の昼ドラと違って
韓流にはベッドシーンなどの下らないお色気もない。
どう考えても禁じる必要なんてないのである。


散々自由がないとバッシングされてきた
ソ連でおいてさえ発禁になるのは
あからさまな反共プロパガンダの小説だった
『動物農場』などの政治色が強い一部の作品であって、
表現の自由というものは基本的には守られていた。


発禁というのは内容に対して禁じるのであって、
韓国が作るものなら何でもかんでもNoだなんてありえない。


韓国の保守系新聞である中央日報が北朝鮮で市民80人が
この罪で公開処刑されたという報道があったようだが、
向こうの産経新聞みたいなメディアの情報を鵜呑みに
して良いものだろうか?忘れてはならないが今の韓国は
北朝鮮を先制攻撃する演習を毎年アメリカと行っているのであり、
そういうのをジャンジャンやれー!と炊き付けているのが
この中央日報をはじめとした向こうの保守系言論だ。


そもそも、この取材映像はどうやって撮られたのか。
番組では映像に映った場所が北朝鮮のどこなのかを
明らかにしなかった。むろん、いつ撮ったのかも。
こういう出所が謎の映像を
そのまま頂戴して公衆に垂れ流すというのは頂けない。


何度も言うが、相手の虚像を攻撃しても意味がないのである。
彼を知り己を知れば百戦危うからず。
誤情報を基に戦略を立ててもしくじるだけだ。

実際、去年の人工衛星発射の際の日本の対応は
あまりにもお粗末だった。日本の領空を飛ばなかった
際には自衛隊を動員して厳重警戒させておきながら、
実際に沖縄上空を通過した二回目の発射時には
何ら警戒していなかったのである。

国民に向けた軍事化の口実づくりにせずに、
本気でこの国にの安全を保障するつもりなら、
まずは周囲の国の実像を掴むところから始めなければならないだろう。