見た目、20代後半から30代前半のニット帽をかぶった男性が
キョロキョロ店内を見回しながらご来店。
ギフトの並ぶ棚を丁寧にご覧になってから、和ギフト、洋ギフトをそれぞれ選ばれお会計されました。
お会計中も店内を不思議そうなまなざしでキョロキョロ。
「あの・・ここって、昔 駄菓子屋だったとこですよね・・?」
自信なさそうにおっしゃるので、
「そうなんですよ。」
と 答えた後、祖父が亡くなってから 孫である私達姉妹が継いだのですが
お煎餅とお饅頭は継ぎつつ、店主(姉)がもともとパティシエだったので
洋菓子もやらせてもらっている、ということと、
前の建物が非常に古くて限界だったので、新しく建て替えた、という事を説明しました。
「はぁ、そうですか。。
・・あの、裏の畑ももうないんですか?」
不安そうにおっしゃるお客さん。
「裏の畑はまだありますが、、裏の畑に遊びに来られてたんですか?」
と、聞き返すと、
「はい、たまにトイレを借りるのに入ってました。」
とお客さん。
そうなんです。おじいちゃんの生きている時には
裏の畑におじいちゃん専用のトイレ(と言っても、作物の肥やしにするための肥溜)があって、
駄菓子を買いに来た男の子達が 突然トイレに行きたくなった時には
そこを貸していたようなのです。
彼も、そのひとりだったようで。
ここら辺で生まれ育った子なんだなぁ。。としんみり。
「随分変わって、前のお店の面影がありませんね。」
と ちょっと残念そうにおっしゃるお客さんに、
「そうですね、昔のお店の写真ならあそこにあるんですが。」
と 私も申し訳ない気持ちで 手をかざしました。
おばあちゃんは変わらず元気でいてくれるけど、
大好きだったおじいちゃんはもういなくて、お店もすっかり変わってしまった。
時は必ず流れていくものだけど、やはりここで幼少時代を過ごした人達には
切ないことですよね。
今年はそのおじいちゃんの7回忌です。
いやはや、時の流れは本当に速い。
おじいちゃんがこの場所で働いていた面影は薄れていくかもしれないけれど
その意志は私達が大切に大切に継いでいきたいと思いました。