立教大学経済学部長、郭洋春(カク・ヤンチュン)氏
50年後、100年後の日本社会をどうするのか。私は日本の21世紀の成長戦略は「農業を目玉にした観光産業」だと思います。観光産業は、実は、運輸、飲食、広告、小売り、製造など多岐にわたる総合産業です。
日本を訪れる外国人観光客の4人のうち3人はアジアから、特に韓国、中国です。彼らの目的は何だと思いますか?食事なんです。おいしくて安心・安全な日本の農産物は一番の魅力です。
(中略)
欧米人は日本の田園風景を見て感動します。人間の手が加わることで、こんなすばらしい風景ができるのかと。それを生産効率が悪いから集約しようというのは魅力をつぶすものです。
こんなことを各地で話すと、「目からうろこ」だと言います。日本の農業は「生産性が低い遅れた産業だ」と言われ続けてきたからです。
自然の恵みを最大限生かした”農業”を目玉にした成長戦略こそ、歴史と伝統、文化、自然を後世に残しつつ、日本が発展する道だと考えています。