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変わらない電通-ブラック巨大企業

2016年12月02日 | 社会・経済

My News Japan 2016.11.30

 電通、NHK取材に「自浄能力がない」と感想を述べた若手社員を「戒告」の懲戒処分にして自浄能力のなさを改めて示す

  電通が、社長セッションのあとでNHKの出待ち取材に答え「自浄能力がない会社だなと思う」等と感想を述べた20代社員に、始末書を書かせて「戒告」の懲戒処分を下していたことがわかった。先週(11月21日の週)の局会や部会等を通して、大半の現場社員に知れわたった。社員からは「ごく普通の意見で何も処分されるような内容ではない」「経営側にとって都合の悪い話が出ないよう、締め付ける目的」「かわいそう」といった同情の声ばかりが聞かれた。NHKは本人を特定できる形で、かつ「40代社員」と見た目で適当に判断して年齢を偽った報道を行い、翌日になって該当部分を丸ごと削除。誤報のうえ、取材協力者に報道被害を与え、処分で電通社内を萎縮させ、視聴者には説明なく突然「なかったこと」にするという、報道倫理が欠落した、ずさんな仕事ぶりだった。

◇「内容なし」石井社長の説明

 厚労省が午前中から強制捜査に踏み切った、11月7日(月)。午後には、もともと予定されていた「社長セッション」、すなわち石井直社長から社員に向けての、「我々の働き方の進化に向けて」と題した説明会が開かれた。

社員によると、石井社長からの説明は、レジメを見ながら、一方的なスピーチ形式で、およそ40分強、続いた。大枠として、3つの問題点→3つの視点からの改革→4つの具体策→2つの投資、という順番に説明された(左記概要を参照)。どれも当り前のことばかりで、逆にこれまでの経営不在ぶりが際立つ内容だ。

 問題点の第一として挙げた「デジタル領域などが広がった結果、仕事量が増大した」などは、誰もが認識している市場環境の変化なので、対応せず放置した経営者の無能ぶりを示すもの。全般的に、昭和時代から何も変えてこなかった“化石ぶり”が際立つ内容だ。

 社員に対しても、響くものがなかったようだ。「リアルタイムで聞いていましたが、可もなく不可もなく。かなり内容のない説明だった、という印象だけです」(若手社員)

 確かに、具体策が曖昧で、数字も固有名詞も期限も何らのコミットメントがなく、検討項目をあげつらってポーズを見せただけ、という印象だ。(しかも、過度に体育会系な社風に触れないなど、本質的な問題点の認識も間違っている)

 そして、「様々な社員のみなさんの声を取り入れて、みなさんとともに新しい電通を作っていければ、と思っています」と述べ、最後に、あらかじめ用意された、いくつかの質問に答えたという。そのなかの1つが、以下だ。

――具体的に、どの業務を減らすのか?

 石井社長「ここではお答えできません。なぜならば、業務そのものに関しては、個別に、取引相手のある話だから。先日来、社内の文書が外に漏れている。業務そのものに関する内容は、相手様があるから、答えられない。情報が漏れることについて申し上げれば、ご自分の考えを述べることはもちろん構わないが、社内の情報を外に出すことは、明確な社規違反です」

 以上が、社長セッションの概要であった。「社員のみなさんの声を取り入れて」「ご自分の考えを述べることはもちろん構わない」と述べていることに注目していただきたい。その直後に、「社員のみなさん」の1人が「ご自分の考えを述べ」たら、即刻、処分されたからだ。

 経営者は、口先ではなく、行動で判断される。本音では、何も変わろうとする気などない、ということだろう。

◇日本の貧しい労働者事情を象徴

 事件や不祥事が起きると、マスコミが社員の受け止め方を報道するため、「出待ち」してコメントを求めるのは世界の民主国家共通。リーマンショックが起きれば、リーマンブラザーズ証券本社から出てきた社員が(時に笑顔で堂々と)取材に答え、その様子が世界中に報道される。

 海外では顔を出して堂々と自分の意見を述べる姿が報道されるケースも多いが(※内部告発的なシビアな問題は別)、日本では、労働者が少々の批判的感想を述べた程度で、人事で不当な扱いを受けたり、懲戒処分されてしまうことが予想されるため(そして今回、処分が現実のものとなった)、残念ながら、そういう報道はできない。

 企業内においては、憲法第21条(表現の自由)は通用せず、労働者の人権は不当に制限されている。処分されても、労組も、何も言わない。過労死が起きる背景には、人権意識の低い経営者による、こうした過度な労使の主従関係、「支配―隷属関係」がある。特に軍隊的・体育会的な社風の電通のような会社では顕著だ。

 従って日本では、報道にあたっては、コメント内容に会社に対する批評や意見が含まれる場合は、当人の許可を得ない限り、相対的な「弱者」である取材先を守るため、クビ下映像にするか、モザイクをかけて特定できない形にするのが一般的な報道倫理である。顔が出ているインタビューでは、本音などとても話せないため、その話には、そもそもニュースバリューもない。

 今回の戒告処分は、こうした日本の貧しい労働者事情を象徴するケースである。過労死はもちろんだが、その後の会社の取り組みに対して批判的な感想を述べる社員への一方的な処分も、同じ「労働者の人権軽視」という土壌から生まれている。石井社長が、こうした問題の本質を理解しておらず、会社に変わる気がないことがよくわかる。

◇NHKで全国放送された批判的な感想

 この社長セッションが終わり、電通ホール(電通本社ビル隣接)から出てきた社員は、次々と待ち構えていたマスコミから、コメントを求められた。多くは、黙っていた。そのなかに、正直に感想を述べた若手社員がいた。内容から判断するに、これは本音だ。

 NHK NEWSウェブでは「外から圧力がかからないと変わらないのは悲しいことで、『自分たちのことは自分たちで』という考えがない。自浄能力のない会社だ」と報じられた(冒頭画像参照)。NHK『ニュース7』の字幕では、「捜索が入って急に騒ぎ出すのは自浄能力のない会社だなと思う」と記された。

 電通の過労死事件は今回が初めてではなく、実際に再発したという事実があるのだから、「自浄能力のない会社だなと思う」という発言は、論理的に正しい客観的事実を述べているにすぎないし、社内の業務内容についてしゃべっているわけでもない。きわめて一般的な感想にすぎない。

 だが、電通は体育会系・軍隊気質の社風。規律を重んじ、上の言うことは絶対で、意見を言う者は「口ごたえ」とみなされ、許されない。小さな会議ですら、1年目が意見を言うなどとんでもない、というカルチャーだという。だから、上から押し付けられる理不尽に大量な仕事を断れず、過労死事件が起こったのである。社長のスピーチに対して、20代の若造が感想を述べるなど、とんでもない口答え、なのだった。

 この感想に逆ギレした石井社長は、電通として、この20代社員に、戒告処分を言い渡した。

 「戒告」とは、電通の懲戒処分のうち、懲戒審査会を開かないで下すことができるが、始末書は書かせるもの。給与の減額はともなわないものの、軽いものでもない。その下の「厳重注意」よりも重いランクだ。

 通常、この程度の感想を述べたことを理由に始末書を書かせて戒告の懲戒処分にするなど、他社ではまずありえない。異常な軍隊的カルチャーを裏付ける形となった。

 上司から、この処分が行われた件について知らされた若手社員によると、「処分の理由は、取材対応については許可がいるため、だそうですが、社内規定のどの条文に違反するのかなど、詳細の説明はなく、不明です」。問答無用で粛清、ということである。

 もし会社の許可がない取材が不可能となったら、大本営発表以外の情報が世の中に存在しなくなり、報道やジャーナリズムによる監視機能が働かなくなる。その結果の1つが、今回の過労死事件の再発であった。再発防止を誓うなら、逆に、「社外に取り組み内容を情報発信して、社外のフィードバックもどんどん受けよう」と言わなければならない。

◇社員に知れ渡り、萎縮効果

 この処分は、事実なのか――。他の複数の電通社員に聞くと、いずれも処分の事実を知っていた。「社長が極端にリークを恐れているようで、そのような処分がなされたのでしょう」(ベテラン社員)、「情報統制し、締め付ける目的でしょう。(顔を出して言うなら)もっとうまい言い方をすればよかった」(中堅社員)。皆に知れわたっているのだ。

 処分されたのは、入社5年未満、「MC」(メンバークラス)ランクの20代社員。見た目が老けているからといって「40代」と嘘を全国に放送してしまうNHKの報道倫理も、かなりお粗末だ.

 


 

電通が“夜の部会”でやってること――「パワハラ・セクハラ当り前」な体育会系バカ騒ぎ飲み会カルチャーを、元社員が証言
 
電通の社員が全員必須で作る「dentsu」みずほ銀カードと、電通時代の給与明細を提示するインタビュイー
 組織的な残業時間改ざんの疑いで当局の強制捜査を受けたほか、違法な長時間労働による過労死、クライアントへの巨額の架空請求など、問題噴出の電通。社長方針に感想を述べただけで懲戒処分が下る恐怖政治のため、社内は萎縮している。実際、現場ではどのような手口が用いられ、背景にどのような社風があるのか。また、厚労省が「くるみん」認定するほど、女性にとっての現場の労働環境は充実しているのか。「表面化しているのは氷山の一角です」――2010年代に新卒で電通に総合職として非コネ枠で入社し、連日におよぶ強制参加の飲み会やセクハラ・パワハラなど常軌を逸したカルチャーを経験し、早々に会社を去った元社員(現20代)に、部員が参加必須となる夜の部会(別途、昼の部会がある)の実態をはじめ、職場で体験したブラックな労働環境について話を聞いた。

【Digest】
◇残業75時間つけたら、部長から「成果ないでしょ」
◇夜の部会でピンクレディーやAKBをやる
◇入社した月から飲み方を教わる
◇「これを食べるまで帰らせないからな」
◇床がゲロまみれになるまで飲む
◇スク水やアニメコスプレで富士登山する新人
◇電通ではセクハラ=「男女間のこじれ」で片づける
◇病気で休む=「負けグセがつく」という発想
◇「女性が働きやすい」なんてありえない
◇「根性があるように見える人」が採用されやすい
◇仕事の進め方がアナログ、意見を言える雰囲気は全くない
◇局をまたぐ異動はマイナスの理由ではできず、逃げ場なし

◇残業75時間つけたら、部長から「成果ないでしょ」
 ――電通では残業を、どうやって改ざんしているんでしょう?

 残業時間は月70時間以内に抑えろ、夜12時を超えたらつけるな、「穴あき」にしろ、と上司から言われていました。具体的には、新入社員に対して、「教育係」の下にいる「直上(ちょくうえ)」という入社3年目くらいの先輩が、勤務表の出し方を指導します。

 「穴あき」とは、たとえば実際に働いた通り9~23時で毎日入れたら月70時間をオーバーするので、14時でいったん切って、4時間の空白を入れ、18~21時につける。そうすると、その日の勤務時間を4時間減らせます。空白の時間は、仕事以外の休憩時間ということになって、カウントされません。

 手動でPC上から申告するだけなので、それが可能でした。もちろん実際には空白時間も働いていますが、そうしろ、と直上から指導されました。体育会系のカルチャーなので、年次が1つでも上の人から言われることは「絶対」なんです。

編集長・渡邉(インタビュアー)

 ――明確な労基法違反ですが、従わないと何が起きますか?

 一度、月75時間をつけたら、部長から怒られて、「新人なんだから、そんなに仕事させられてないはずだし、成果もないでしょ。先輩は66時間しかつけてないんだぞ」と言われました。70時間をオーバーすると、直上が部長から怒られるんです。

 直上から、穴あきだらけの勤怠管理表を見せられて「こうするんだよ」と言われ、従わざるをえませんでした。

 休日出勤しても、自分では勝手に出勤をつけられません。特に、飲み会の踊りやネタ合わせで出社した時はつけられませんでした。

◇夜の部会でピンクレディーやAKBをやる
 ――過労死した高橋さんは、通常業務に加えて、職場の宴会のための出し物や映像の作成を、休日返上でやっていたそうですが、そんな芸人みたいな仕事があるんでしょうか?踊りやネタって、何するんですか?

 あります。女性社員のコスプレでは、部長の年代でもわかるように、ピンクレディーの「UFO」を踊ったり、AKBをやったりするんです。かなりクオリティーの高いものも求められていて、自分が登場する動画を編集して作成し、動画を流したあとで自分が実際に飲み会の会場に登場して、踊ってプレゼンして、ということもしました。

 入社6年目くらいまでの若手の先輩がチェック役となって、新人がスベると、その指導役の先輩が怒られるんです。

 ――どういう場で、踊りや出し物が求められるんでしょう?

 部員が全員参加する、飲み屋などで行われる夜の「部会」で求められます。あとは、取引先の人が来る飲み会、二次会が随時あって、ほかには、忘年会や、先輩の結婚式など。

※電通の「部会」=週1回、社内規定にもとづいて、ライン部長が部員を集めて社の上層部方針や連絡事項等を共有するのが、昼の部会。夜の部会は、部署によって、1~2か月に1回または不定期で、飲み屋などで行う部の飲み会。その他もろもろの飲み会よりも、最も盛り上げること・出し物のクオリティが求められる場の一つとされている。別途、部の上の組織である局員(数百人規模)が集う、夜の「局会」もある。

 飲み会の参加者は、担当先が入る場合と、部会など社内だけの内輪の場合があり、部署によります。頻度も部署によりますが、多い部署だと週4ほども飲み会があります。

 メディア系の場合、媒体社(新聞社、テレビ局、出版社の広告担当部署など)の社員が入り、営業系の場合はクライアント企業の社員が入る。プランニング系はいずれか一方が入るか、社内だけが多いが、頻度は減る。

 ――飲み会の時間や、出し物のネタ合わせで休日出勤した時間は、残業時間にカウントされないんですか?

 もちろんカウントされません。会社から20時ごろに、飲み会の会場へと向かい、深夜2時3時~朝まで。飲み会に割く時間が多くて、その時間は残業に入らないので、会社での残業は実質で約100時間どまりですが、それ以外に飲み会で深夜まで時間を拘束されるんです。

 だから、平日は睡眠時間を削られます。眠れても1日4~5時間。有休も、ほぼ消化しないのが当り前でした。私の場合は、土日だけは休めていました。

◇入社した月から飲み方を教わる
 ――1年目の最初からそうなんですか?

 新入社員は、まず入社後1ヵ月の間(4月末まで)、1班10人前後の研修班に分かれて、入社20年目くらいのリーダー、10~15年目くらいのサブリーダーがつきます。

 日中は人事局の新人育成担当の部署から研修を受け、リーダー・サブリーダーにお世話になるのは主に夜。私の代では、連日、飲み会に連れて行ってもらい、そこで飲み会の基本マナーや飲み会でのコミュニケーションのコツなどを叩きこまれました。電通では「リーダー・サブリーダー制度」と呼ばれていました。

 入社1ヵ月研修では、班ごとに飲み歩いて、飲み会のマナー(作法)を教え込まれ、飲むことに慣らされていきます。電通の飲み会マナーは、概ね以下の通りです。

【電通が社内で徹底している飲み会の作法】
・自分より目上の人が箸を開けるまで、自分は開けてはならない。
・酒が半分になったら即座に(その瞬間に)つぐ。
・カラオケは全力で盛り上げろ。
・見送るときは姿が見えなくなるまで立って見送れ。
・上から目線言葉やニュアンスに敏感になれ(「本日の幹事をする~」と言ったら、「『させて頂く』だろうが!」と怒鳴られる)。
・自分より年次が上の人が残っているのに途中で帰るのは絶対NG。(よって飲み会が終わるのは早くて24時、大体26~27時、遅いと朝)
・飲み会やカラオケでは「雰囲気を読め」。(失敗するとものすごく怒られる。50代局長の前で「青い山脈」を歌うのはNG。女性社員が、男性ボーカルの歌ばかりもNG。「AKBかモー娘のかわいい曲を歌え」と怒られる)

 この最初の1ヵ月研修の終わりに配属が発表され、次はゴールデンウィーク明けから、現場配属となって、局での研修が始まります(期間は局によってバラバラ)。それから秋までが、試用期間。配属先によって、飲み会の頻度は大きく変わります。メディア系と営業系の部署は、プランニング系の部署よりも飲み会は多いと思います。

 社内・社外にかかわらず、飲み会の席での失礼が絶対に許されないカルチャーのため、飲み会が終わった後に、先輩社員が若手だけを連れて「反省会」を行い、深夜にえんえんと説教があることも多かったです。

 とにかく飲み会の回数が多く、時間が長く、作法が徹底されており、飲みかたが激しい。

◇「これを食べるまで帰らせないからな」
 ――飲むばかりで、食べないんですか。

 いわゆる「食育」をする先輩もいます。飲み会が終わった深夜3時などに「もう一軒行くぞ」と連れて行かれ、私の場合は新橋の安いチェーンの寿司屋が多かったのですが、非常に多い量を頼み、「根性鍛えてやる」「これを食べるまで帰らせないからな」といったことが、何度かありました。

 どうしても食べられないときは先輩が席を立った隙に寿司をこっそり捨てたり、ガリを先輩のほうに移動させたりして、しのぎました。こういったことは、他の1年目社員も経験していたと思います。

 私は食べさせられることには、それほど苦痛を感じなかったのですが、「非常にツラい」と言っている同期も何人かいました。

 こういうコミュニケーションによって社内ネットワークができて新しい仕事を生み出す、という考えだそうです。

 ――飲み会で「靴にビールを入れて飲まされる」という話が、91年の過労死事件以来、話題になっていましたが、まだやっていますか?

 「靴ビール」は、私自身はやったことも目撃したこともありませんが、私が入社した年に3年目だった先輩が「オレやったことある」と明言していましたから、少なくとも、かなり最近まで起きていますし、私が見た飲み会の雰囲気から、そのくらいは普通にやっていてもおかしくない、と思います。

◇床がゲロまみれになるまで飲む
 ――電通の飲み方の激しさというのは、どんなときに感じましたか?

 私が実際に参加した飲み会では、男性社員が全裸になって、床がゲロまみれになるまで飲んで吐きますし、女性社員も上半身脱いでる人が本当にいるんです。